この番組にはこのブログで紹介してきたゴアレーベンの→マリアンネ・フッリツェンさんから始まり、多くのドイツ市民が登場しています。読者はこの番組の→取材現場がここであることにも気づかれるでしょう。「脱原発の裏側」というより「背景」とした方が良いのですが、この取材に便乗してマリアンネさんの資料館を訪ねたのですが、今やドイツの歴史文化としての反原発運動の発祥の地のひとつ「自由共和国ヴェントラント」のパスポートを長老のマリアンネさんから発行してもらって喜ぶ金平記者の写真をお目にかけましょう。
Shigenori Kanehira, Marianne Fritzen. Photo:Taichiro Kajimura |
また、この共和国の旗は昨年のゴアレーベンの→核燃料廃棄物阻止闘争の報告のフイナーレで借用した上のものがそれです。
この番組は短いものですが、ゴアレーベンから教育現場、緑の党からグリーンピースまで幅広く取材し、金平記者はフクシマ事故後の日本の情勢との「全く反対向き」とも言える落差に驚いているようです。
なぜこのようになったのか、この問いかけに答えるような取材と番組をさらに続けてほしいものです。簡単ではありませんが、まずこの取材で原発問題ではメディアそのものも日独では大きな落差があることを、きっちりと認識して表現していることは、まずその一歩といえましょう。
また一方で、お報せしましたように、ちょうど同じ頃にドイツの公共第二放送ZDFが日本で取材した →「フクシマの嘘」が日本語字幕入りで見れますので、未見の方はこちらも是非ご覧下さい。メディアの批判力の落差が顕著です。これはまた、社会のすなわち市民の批判力の落差でもあることが、この日独の同時期の番組をあわせて見れば明らかになっています。
市民の批判力の落差を現している写真を繰り返しになりますがもう一度挙げておきます。
マリアンネさんたちの資料館にあるゴアレーベンの闘争の古い写真です。農民のトラクターの看板にあるのは「原子力経済;親父は金持ち、息子は貧乏、孫は早死に」との予言です。日本は市民の批判力の貧困のため、これがフクシマで現実になってしまいました。
この苦く厳しい現実に打ち克つためには、直ちに原発を全廃し原子力経済から抜け出すことしかありません。それが実現できないようでは、日本は間違いなく放射能汚染で亡びます。世界にとっても深刻な取り返しのつかない危機をもたらすことになります。
追加です。
この報告を大沼安史さんが早速ブログで→「ドイツでの裸の抵抗を学ぼう!」と 以下のように紹介されています;
大沼 TBSの番組で、ゴアレーベンの農民たちが、裸になって抵抗の決意を示した「裸のカレンダー」が紹介されていた。
トルストイが「復活」を書いて、印税でカナダに移住させた、ロシアの非暴力・平和主義のドホボルの人たちの抵抗手段も、裸になっての抗議だった!
フクシマでも、裸での抵抗が始まるかも知れない!
さすがに大沼さんだけあって歴史的洞察が深いですね。
そこで追加です。前にフクシマ一周年の抗議運動を報告でほとんど日本では知られなかった→ポーランドでのデモを紹介しました 。ドイツからも応援に行った少数の抗議行動でしたが、さすがはトルストイの伝統のあるスラブ系のポーランドだけあって、この日、ゴアレーベンのマリアンネさんも驚くばかりの裸の抗議行動がありました。
フクシマ一周年。ポーランドでの反原発デモ 写真DPA |
三つ目は見事な芸術的手仕事だ。写真DPA |
ドイツの通信社が配信してシュピーゲル誌や大衆紙なども電子版で報道していましたが、下の写真に「三つ目は見事な芸術的手仕事だ」とありました。放射能での奇形を警告する文字通り強烈な裸の抵抗運動のひとつです。
ポーランドではドイツ国境近くに二基の原発建設計画があり、国境を超えての反原発運動の連帯が始まっています。
さて、大沼さんの『世界が見た福島原発災害』の→第三巻「いのち・女たち・連帯」が先日発刊されました。大沼さんが驚くべき情熱と怒りで休みなくサイバーテロにも負けずに、毎日「世界中の報道のデスク」を行っていることはよく知られていますが、それを「編集長」としてまとめあげた第三弾です。わたしのドイツ情報も子気味よく引用され視野の広い鋭い分析をなさっています。膨大な英文情報の行間を読む能力の持ち主なので、日本の外務省も必読書としているとの噂も耳にしました。それはそうでしょう必ず情報源を明示してあるからです。
貴重な記録として推薦させていただきます。フクシマは21世紀の世界的大事故なのです。この災害は一年を過ぎた今でも、まだ始まったばかりの過酷事故です。本書を読めば世界中の危機感がよく理解できます。日本の霞ヶ関は台風の眼のように無風であり、また情報のブラックボックスそのものです。直面している事態の深刻さを市民も、政治家もメディアもまだまだ自覚できていないのです。
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