1月27日、東京の日本記者クラブと自由報道協会の二カ所で、前にもお知らせした市民と科学者による内部被曝問題研究会」の発足の記者会見がおこなわれました。会見では研究会発足の経緯と歴史的背景、その意義などが報告され、さっそく下記のような 「内部被曝の拡大と健康被害を防ぐ為に政府がとるべき安全対策への提言」が発表されました。
この提言と、また二つの会見のビデオは→内部被曝研究会のホームページ(左欄)から全部が見られます。
特に日本記者クラブでの肥田舜太郎医師の体験談は貴重なものですし、また松井英介医師の要領を得た問題点の説明はわかりやすいものでした。全体としてもナガサキ・ヒロシマ以来の日本の核被害の歴史を改めて考えさされる非常に意義深い記者会見でした。
会見で使われた資料は→日本記者クラブのホームページから下ろせますが、これです;
松井英介氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/9171730f8056aab9a5562dfd9aa6abd9.pdf
沢田昭二氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/1cdb72375b37cd1e83fbb44a0fd2d363.pdf
内部被曝研の提言書
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/afe7f753fcfb6240a2d0e4f98a4dcf63.pdf
この提言と、また二つの会見のビデオは→内部被曝研究会のホームページ(左欄)から全部が見られます。
特に日本記者クラブでの肥田舜太郎医師の体験談は貴重なものですし、また松井英介医師の要領を得た問題点の説明はわかりやすいものでした。全体としてもナガサキ・ヒロシマ以来の日本の核被害の歴史を改めて考えさされる非常に意義深い記者会見でした。
会見で使われた資料は→日本記者クラブのホームページから下ろせますが、これです;
松井英介氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/9171730f8056aab9a5562dfd9aa6abd9.pdf
沢田昭二氏
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/1cdb72375b37cd1e83fbb44a0fd2d363.pdf
内部被曝研の提言書
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/01/afe7f753fcfb6240a2d0e4f98a4dcf63.pdf
会見をしたのは、肥田舜太郎(被曝医師)、澤田昭二(素粒子物理学、被爆者)、松井英介(医師、放射線医学、呼吸器病学)、矢ヶ崎克馬(物性物理学)、生井兵治(遺伝学)、高橋博子(歴史学)、岩田渉(市民放射能測定所・理事)、大石又七(第五福竜丸元乗組員)らのみなさんです。
特に、「最後の被曝医師」として、少なくとも6000人の被爆者と臨床医として接してこられた95歳の肥田舜太郎医師の発言は、非常に貴重な歴史の証人の言葉ですので、是非ご覧ください。この方の体験と意見は、世界史的な価値があります。
主催者自由報道協会による率直な感想はこちらで;
その他の報道は以下のようなものがあります;
毎日新聞;内部被曝:危険性訴え研究会設立へ 年内にも国際会議開催
共同通信;被ばく研究の団体設立へ 政府批判の研究者ら
時事通信;年1ミリ以上「集団疎開を」=広島被爆の医師ら、政府に提言
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012012700946
記者クラブでの会見では、米国の水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」元乗組員の大石又七さんも参加されていました。典型的な内部被曝の被害者の発言は貴重です。
さらに肥田医師の研究会への思いも同会ホームページでご覧ください。世界史的な歴史の証言者の思いがよくわかります。
以下提言です;
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内部被曝の拡大と健康被害を防ぐ為に政府がとるべき安全対策
(提言)
市民と科学者の内部被曝問題研究会
東日本大震災にさいして起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故(東電事故)は深刻な被害をもたらしています。広範な地域が汚染され、多くの
人々が被曝して、いのちと暮らしを脅かされています。これに対して私たち「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は、日本政府に対して、「人間は核=原子力 とともに生きていける」との考えを根本的に改め、汚染地域には住み得ず、農林水産業はできない、との前提で、国家100年の計を策定することを求め、緊急 にいくつかの提言を行いたいと思います。
原発事故による放射線被曝の主要なものは、呼吸や飲食を通しての内部被曝です。政府や政府に助言する専門家は、被曝影響の評価を主として測定しや
すいガンマ線に頼っています。しかし、内部被曝では、ベータ線やアルファ線がガンマ線よりもはるかに大きな影響を与えます。政府と東電は、ベータ線を放出 するストロンチウム90や、アルファ線を放出するプルトニウム239などの測定をほとんど行っていません。内部被曝の特性とその健康影響を意図的に無視し
続けているのです。
その背景には、アメリカの核戦略や原発推進政策があります。これらの政策の影響下で組織された国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関 (IAEA)、国連科学委員会(UNSCEAR)などの機関は、広島・長崎原爆の放射性降下物による被曝影響を無視した放射線影響研究所の研究に依存して います。日本政府は福島原発事故の被曝に関しても、「100mSv以下では病気を引き起こす有意な証拠はない」とするなど、事実を覆い隠し、被曝限度に高 い線量値を設定して、市民のいのちを守ろうとはしていません。また、世界保健機構(WHO)はIAEAと放射線被曝問題を除外する協定を結んでいます。
東電事故以来、政府はICRPの勧告を受けて、被曝限度値を通常の年間1mSvのところを突如20mSvにつり上げました。事故があったからといっ て、人間の放射線に対する抵抗力が20倍になるというようなことは金輪際ありません。本来は事故を引き起こした東電と原発推進を図ってきた政府の責任で、 住民の被曝回避にあたらねばならなりません。逆に、この措置は住民の保護を放棄し、住民を長期にわたり被曝さるにまかせて、事故を起こした者の責任と負担
を軽くするためのものです。住民のいのちを犠牲にする棄民政策です。
日本国憲法第二十五条には、主権者として保障されるべき権利として、「すべて国民は、 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記され、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努め
なければならない。」と記述されているのです。
事故後10ヶ月を経過し、事故の被害は全住民に広がろうとし、今なお拡大の一途をたどっています。放射能汚染は福島に留まらず、日本全域に広がって
います。陸だけでなく海の放射能汚染も深刻です。放射能汚染は、長期間続き、被曝の被害はますます深刻になることが予測されます。
中でも深刻なのは、放射 性物質を含んだ食物が、全国に流通していることです。原則的な考え方、根本的な方法で、食物をとおしての被曝回避を図らねば、全住民が深刻な被曝を受け続
けることとなります。子どもの「安全な環境で成長し教育を受ける権利」は侵され続けます。
野田佳彦首相は「原子炉が冷温停止状態に達し発電所の事故そのものは収束に至ったと判断」し、「事故収束に向けた道筋のステップ2が完了した」と
宣言しました(2011・12・16)。しかし、圧力容器の下部にはメルトスルーで生じた穴が空いており、核燃料の状態も把握されていません。四号機の倒 壊も懸念されています。汚染水を垂れ流しながら「安定冷却できている」とするにはあまりにも不安定な状態です。いつまた核分裂などの暴走が起こるかわかり
ません。今、幕引きができるような状態では全く無いのです。
私たちは次のような提言を行い、政府が速やかに実施することを求めます。
- 住民の安全を保障できる体制確立
原発を安全神話で進めてきた「原子力村」による委員組織ではなく、公正な立場から客観的に判断できる委員会を構成し、原子炉の破壊状況と原因を究明するとともに、住民の安全を最優先する立場から情報の迅速な全面公開を行うことを求める。 - 子どもと被曝弱者を守る
少なくとも、法定の年間1mSv以上の、放射能汚染が高い地域に在住する子ど もを、即刻集団疎開させる。乳幼児、妊産婦、病人等の被曝弱者を即刻安全地域に移すこと。全ての保育園、幼稚園、学校の給食食材の安全を確保するために、 産地を選び、きめ細かく精度の高い放射能測定を行う。 - 安全な食品確保と汚染の無い食糧大増産
住民に放射能汚染の無い食糧を提供すること。「健康を維持でき る限度値」(現在の限度値の100分の1程度)を設定して限度値以上の汚染食品は市場に出さない。東電、政府の責任で生産者にも消費者にも生活保障と健康 保障を行う。これからずっと続く食糧汚染を避けるために、休耕地を利用するなどして、非汚染地域で食糧大増産を行う。高汚染地の生産者には移住して生産の 担い手になる権利を保障する。水産物の汚染も非常に危険な状態に入っている。全ての漁港・市場に放射線計測器を設置し、汚染されたものが流通しない体制を つくる。漁業者には補償を行う。 - 除染、がれきなどの汚染物処理
ずさんな除染は非常に危険であり、効果も期待できない。一般住民に、除染作業による被曝をさせてはならない。放射能拡散を防ぐため、汚染がれきなどは、放射性物質を放出した東電の責任において収集し、原発敷地内に戻す。 - 精度の高い検診・医療体制の確立
内部被曝を軽視するICRP等により、現状の医学・医療現場は放射線 の影響を過少評価している。からだのあらゆる部位にあらゆる疾病の出現が懸念される。これらを丁寧に治療できる医療体制を即刻実現する。保障対象の疾病を 制限することなしに、放射能被害者の無料の検診・医療制度を確立する。