明日の2018年5月5日は、カール・マルクスの生誕200周年記念日です。彼が生まれ育ったドイツ西部のトリーア市を中心に地元のラインラント・プファルツ州では州を挙げての記念事業が鳴り物入りで始まります。日本のメディアでもかなり報道されることになると思います。
まずは、中国政府からの贈り物として中国共産党の芸術家の手になるマルクスのかなり大きな立像がトリーアで5日に除幕されます。除幕までは顔の部分だけが公開されています。
本日除幕されるマルクス立像の頭部 dpa |
ソ連型社会主義の崩壊後も、世界史は資本主義が必然的、不可避的にもたらす負の問題を解決することがまだまだできてはいないので至極当然のことです。議論はまだまだ続くでしょう。
公共テレビも先日からマルクスの家族友人関係を軸にしたドラマや、彼が育った地元の歴史的背景を解説したドキュメントなどを放送して「人間マルクスとその時代背景」を先週から伝えています。
わたしが見たものの中で二つだけ紹介します。かなり質も高く勉強にもなりました。
いずれもドイツ語ですが、最初のものは今月27日までネットで見ることができるそうです:まずはArte の→「カール・マルクス ドイツの預言者」
もう一つはこれも地元公共テレビSWRのドキュメント→「カール・マルクス 故郷の時代」こちらは向こう一年間見れます。
しかし今日はいわばお祭り騒ぎとなりそうです。すでに先日朝日新聞が報道していましたが、地元の観光局が土産物としてマルクスの肖像を印刷した額面0ユーロの紙幣を発行。なんと3ユーロで売り出して飛ぶように売れているようです。シュピーゲル誌は電子版で「マルクスをだしにした資本蓄積だ」などと面白く伝えています。
マルクスのゼロユーロ紙幣 dpa |
(5月8日追加:手に入りましたのでそのオリジナルの写真を紹介します。)これですがなかなか手の込んだ印刷で、報道によれば25000枚発行されたとのことです。なかなか手の込んだ印刷で、裏面にはヨーロッパの主要都市の歴史的建造物がデザインされており。ブラッセルの小便小僧も見えます。額面はゼロユーロですが、中国ではもうかなりの高値になっており、さらにこれの偽札も出回るかもしれませんので要注意です。
さて、この紙幣の交換価値はどうなるのでしょうか?
多分、日本の国債はまた近いうちに紙くずになりますが、これはそうはならないでしょうね。
Karl Marx 0-euro note Photo.Asu Urasima Berlin |
Karl Marx 0-euro note Photo.Asu Urasima Berlin |
ローマ時代の遺跡を背景に。トリーアのワインの女王 dpa |
彼女は地元紙に「中国ではワインの美味しさがまだ広まっていないので。宣伝します」と張り切って述べたそうです。中国での人気にあやかった商魂に、マルクスもきっとびっくりしているでしょう。
さて、お祭り騒ぎは別にして上述のように、→数々の展示会などが企画されています。
その主な一つ、マルクスの生家はドイツ社会民主党のエーベルト財団が所有している「カール・マルクスの家・博物館」となっていますが、そこでの記念展覧会が開催されます。そして今日、史上初めて展示公開されるものがあります。
マルクスの椅子 dpa |
そういえば今年は1848年の共産党宣言から170年になります。どうやらこの椅子からマルクスがスーパースターの妖怪となって立ち上がり、世界を再び徘徊しそうですね。
必然でしょう。
(余談ですが、この「必然」という言葉はドイツ語のnotwendigからの翻訳語かもしれません。名詞はNotwendigkeitは必然性。)