2012年3月30日金曜日

80;NHKが ZDF「フクシマの嘘」のハーノ記者にインタヴュー/的を射た「信頼の喪失という災害」

わたしは全く知らなかったのですが、NHKが3月12日のBS1の朝の番組「世界の扉」で、ドイツ公共第2テレビ「フクシマの嘘」を制作した→ヨハネス・ハーノ特派員にインタヴューをしています。
 大滝ベルリン支局長のドイツのフクシマ報道の紹介から始まるこの番組は、同じ公共放送でありながらなぜ、こんなに落差があるのかと自己検証と反省を目的としたような意外な番組です。是非ご覧下さい。
NHKは昨年末に紹介しましたように、センセーショナルともいえるレポート→「停戦量被曝・揺らぐ国際基準」を放送し、国際組織ICRPの虚構の基準値を暴いて日本の原子力村が拠って立つ土台を揺さぶる快挙を行いましたが、今回のインタヴューはNHK内部の危機感を表現したものではないのかと思えます。
→「原発のない社会をめざす 」というブログからインタヴューの書き下ろしの一部をお借りします;


Q震災直後に賞賛された日本人のイメージに変化は?

ハーノ記者

変わりません
ただ、一年前とは大きく印象が変わったこともあります。
多くの被災地に行きましたが
被災者はもう政府を信頼していません
電力会社も信頼していません
メディアも信頼していません
置き去りにされたと感じています
被災者同士で助け合い、支え合っていますが
国のエリート達に見捨てられたと思っています
それが以前と印象が変わった点です
この国のエリート達はもう何もしてくれないんだと
それが私の印象です


Q日本の政府や東電・メディアにひとこと
 
ハーノ記者

重要なのは誠実さです
今回の災害は四つです
地震、津波、原発事故、そして信頼の喪失の四つです
もし政府や電力会社が誠意を持っているのなら
日本のためになることしかしてはいけません
もし彼らが国民の信頼を取り戻したいなら
全て包み隠さずに究明するべきです

   

ここ一年間、日本人記者を尻目に何度も被災地に足を運び、ここでもすでに紹介をしましたようにすぐれたルポを制作し続けた人物の、これらの言葉には重いものがあります。特に四つ目の災害として「信頼の喪失」を挙げているのは、的を射ています。信頼を喪失しているのは「置き去りにされた」と感じている被災地の人々だけはありません。日本の政府とメディアを含むエリートの大半が国際社会からも信頼をすっかり失っているのです。
このインタヴューはそのことをNHKが自覚し始めていることの証左であればと願います。

ではメディアが信頼を取り戻すには何が必要なのか? ハーノ記者はこの番組の終わりで、身を以てそれを示しています。3月11日、気仙沼で黙祷する市民たちの哀悼の姿に共感して涙するジャーナリスト。この誠実さがなによりも大切なのです。そして、わたしには日本の記者たちには、誠実さへの勇気が抜けているように思えます。

そういえば、3月11日のZDFの夜のニュースで、彼は気仙沼からの実況で「日本は震災一年後の今、ポジティブな文化的な転換点にある」との旨の報告をしていたことが思い出されます。この発言の背景にはこのNHKのインタヴューがあったのかもしれません。であれば、彼もこの日のインタヴューに勇気づけられたのかもしれません。確かめてみたいものです。

 

 


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