さて、そんな安倍首相に腹を立てているベルリンの日本の若者たちによって生まれた、SAYONARA NUKES BERLIN (→Facebook →HP ここには自らの報告や面白い情報があるのでご覧ください。例えばドイツのセシウム汚染されたブルーベリージャムの話しなど)が、6月2日の日本での大規模な脱原発デモに連帯して、同日と翌日にベルリンで足が地に着いた活動を行いました。報告が約一週間遅れましたが、今回はそれを写真で紹介します。このブログではすでに何度も彼らの活発なデモについて報告しました。最近は→「ベルリンで若者たちのデモが誕生」で見れます。
6月2日には、日本と連帯してデモを行おうとも考えたようですが、実はこの日、ベルリンでは伝統的な→環境フェスティバルが行われるので、それに参加して活動の宣伝と日本の脱原発の1000万人署名を集めることにしたとのことです。
この判断は、正しいものでした。実はこのところ西、中央ヨーロッパは最悪の天候が続き、何とパリの方がモスクワより気温が低い状態が長く続いているのです。そのためドイツでも大雨による大洪水となり、ベルリンでもこの日もデモができる天気ではなかったからです。
ドイツに住んで長いわたしも初めて体験する悪天候で、昔なら飢饉で餓死者が避けられないような状態ですが、まずはいかに酷いかを報道写真などを拝借して少し見ていただきます。(いつものとおり写真をクリックすれば全てがパノラマで見れます)。
これは、ドイツ南部の街、パッサウ市です。ここは中央のドナウ川に二つの川が 合流する街ですが、今週始めには街の中心が水没してしまいました。この街では1501年以来の大洪水であるとの報道もあります。
DPA |
白鳥がノックして、「家の中だいじょうぶ?」 |
パッサウ市を訪ねたメルケル首相: DPA |
前置きはこれぐらいにして、本題の報告です。
毎年ブランデンブルグ門に通じる大通りで行われつ環境フェスティバルは、環境保護NGOの連合会が主催し、それに市民団体や政府機関、公共放送も参加しての大規模なものです。恒例となっているのはこの日、行われる自転車のラリーです。ですから、毎年自転車の新製品が登場するので、わたしも自転車で散歩がてら見学に出かけるのですが、この日は朝から、断続的に雨が降り、最高気温も12度ほどなので、あきらめて午後から電車で出かけました。
ブランデンブルク門に設けられt舞台にも、雨のため観客はまばらです。
大通りには、出店が200近く出ていますが、SAYONARA NUKESの出店は、直ぐ見つかりました。なにしろ旗印が鮮明なので目立ちます。
人出は例年に比べてまばらですが、やってますね、今では日本人の脱原発デモでは名物の、パーフォーマンスの名優カズマ君が、ちゃんと雨傘をかぶって演技中。
人出はまばらでも、退屈せず朗らかな雰囲気です。
独自のデザインのTシャツ、バッジなど、「特産品」が並んでいます。以前紹介しました→セバスチャンおじさんの絵本もありますね。この絵本は日本で評判が高くなり、韓国語、中国語版も出版の話しが出ているそうです。いいですね。これはわたしが予言した通り、古典的価値が出る本です。ちなみにベルリンでは、ペスタロッチ通の「やましな書店」で販売されているとのことです。
それでも、傘をさして立ち止まる人もちらほら。
市民の関心は高いのです。
そこで、わたしは今年の様子を見に、一回りしました。一件隣は、ベルリンのベーシック反原発団体、Anti Atom Berlinの店。いつも一緒にデモをやるパートナーで、姉妹組織のようなもの。「今年は、日本人が初めて店を出したのでとても嬉しい」とのことです。
なにやら、立派な車がありますね。何だろう・・・
入ってみると、ドイツ連邦放射線防御庁の宣伝カーで、携帯電話の電磁波の測定をやっています。携帯電話の電磁波の危険性は、長く指摘されていますが、ついに政府機関が啓蒙に乗り出したようです。測定装置に携帯を近づけると、モニターに値が出ます。話しを聴きますと、非常に値の高い危険な携帯機器は多いと、担当のお役人が述べていました。
最新のスエーデンでの大規模な疫学調査では、「子どもの携帯電話の電磁波による脳腫瘍の罹患率は大人の3倍から4倍に及ぶ」との結果が発表されています。子どもに携帯電話を持たせることはできるだけ避け、常時携帯させることは必ず止めた方が良いのです。
その向かいのお店には、カエルのロゴがあります。 見たことがないので訪ねてみると、ベルリンの東北の端のマルヒョウ地区をまるきり自然保護区域にしようと計画している市民団体です。コウノトリもやってくる自然が残され、大都会内では貴重であるとのことです。多彩な活動をやっているとのことでわたしも知らなかったので、一度訪ねてみたいと思います。ベルリンは広いのです。
行列があるので何だろう? これはエコロジートイレです。ついにトイレも緑となりそうです。
これは、NABUという大きな自然保護団体の出店で、この日のテーマはオオカミです。ドイツのオオカミは絶滅していましたが、冷戦後の平和の配当に文字どおりあやかって東欧から移動するオオカミが少しずつ増えています。話しを聴くと今では旧東ドイツからハンブルク近くまで目撃され、150頭ほどになっているとのことです。しかし定着するにはまだ少なすぎるので、市民の理解と啓蒙が必要だとのことです。「赤ずきんちゃん」以来の偏見を正すのは大変だということでしょう。
オオカミの糞と毛皮を観察するサンプルも展示してありました。
トイレと、糞の後では順序が逆ですが、今では市民生活にすっかり定着した自然食のパン屋さん。ドイツの市民には欠かせない重要な食品です。価格も安くなりありがたいことです。この味を覚えたら必需品になります。
でも、このようなお祭りでは、やはり子どもたちにも人気があるのは自然食のクレープスですね。自然食のジャムがついていますからそりゃ美味いのです。
さてこのフェスティバルの例年の主役は、なんといっても自転車です。毎年のトレンドが見られるのです。近年の乗用車離れに対応して、増えているのが貨物自転車です。ありとあらゆるスタイルが並んでいます。日本では戦後に自転車リヤカーがありましたが、その復活のようなものです。
寒くて震えそうな時に、目についたのがベルリンの全国紙TAZ・タッツ紙の車です。
名前にプレスとエスプレッソをかけたコーヒー屋を出しています。この新聞はドイツの68年世代が創設した批判的な日刊紙で、優秀なジャーナリストを多く育てたリベラル左派の代表です。同紙が脱原発に果たした役割にも大きなものがあります。
これは電気自動車で充電していました。
ところが、しばらく行くと、coffee-bike・自転車コヒーがあるではありませんか。これは見たことがありません。伝統的カフェーの雰囲気もすばらしい。
これが店内です。ほめると「苦労した手作りの店だよ」と持ち主。これが自転車だとはとても思えませんね。これぞドイツの職人気質の現れでしょう。
こちらの、自転車食堂は、モダンで広く合理的にできています。ソーセージ、スープなどかなりのメニューがあるようでした。
というように、自転車商店街を楽しんでいると、よく見る人物が自転車を押してやってきました。→ハンス=クリスチャン・シュトレーベレ連邦議員です。
緑の党左派の長老で、弁護士、上記のTAZ紙を創り上げたひとり。徹底したドイツ軍海外派遣反対主義者で各党派から恐れられ、かつ尊敬されている人物です。
以前小田実氏の「正義の戦争はあるか」というNHKのドキュメントでは、小田氏はアメリカではいまだに日本を牛耳るアミテージと対談しましたが、ドイツでは対極に当たる彼と対談してもらいました。わたしはそれ以来の知り合いです。
何しろ彼は、国会にも自転車でやってきます。わたしの近所に住んでいるので電車にも自転車とともに乗り込んでくる彼によく会います。1998年からの 長い国会議員ですが、ここ2期の総選挙ではベルリンの彼の選挙区では常に最大得票数を得ています。緑の党支持者を越える支持層があるのです。もう75歳ですが、この9月の総選挙にも立候補するとのことです。
一回りして、若者たちの出店に還ってくると、いつものデモの若者参加者が自前の旗をもって来ていました。 これぞ日本の誇れる若者ですね。
店には、日本人の観光客の一団が来ています。なにやらしきりに話し込んでいます。
耳を傾けてみると、若者たちの活動に大感激。おいてあるインドに原発を売り込む安倍首相を批判する報道記事にも「その通りだ、恥ずかしい」と、みなさん100万人署名に疎署名しただけでなく、署名用紙をホテルに持ち帰り、他の団体客からも署名を募り、日本に帰国してから東京に届けましょうとの協力ぶりです。日本の市民の関心の高さがこんなところにも現れている情景でした。
雨も小降りになって来て、ドイツ人市民も署名する人が続いています。
この日は、若者たちに協力して、長い間「慰安婦問題」に取り組んで来た知る人ぞ知る「ベルリン女の会」のみなさんも手分けして、署名集めをしました。長年ドイツ人に日本語を教えている女性につかまって、署名をしない若者はいないようでした。
署名だけでなく、特産グッズも売れていますね。貴重な資金集めです。
若者たちのロゴのTシャツを買った女性です。
閉店が近づいた頃に署名用紙を見てびっくり。こんな人出が少ない日でも、340筆ほどが集まったそうです。もう東京に送られ着く頃でしょう。
若者だけでなく、先ほどのシュトレーベレ連邦議員ももれなくつかまったようで、ちゃんと彼の署名もありました。天気さえ良ければこれの数倍は集まったことでしょう。
もちろん、おなじみ反原発ワンちゃんの訪問もありました。
以上が、6月2日の日本人若者たちの雨にも負けない脱原発活動の報告です。ドイツでは市民団体はもちろん、官民をあげての脱原発環境保護運動のなかに、生まれたばかりの日本の若者たちの活動が、そのまま極めて自然に組み込まれ歓迎されている様子が、伝わればとおもいます。これがこの国の民主主義のありようでもあり、社会の豊かさと信頼の源なのです。その中で、日本の若者たちが自主的にしっかり足が地に着いた活動を、一生懸命、しかしあまり無理をせず築いている様子が見てとれました。
とはいえ、若者たちは、この日の疲れも物ともせず、翌日の6月3日の月曜日の午前10時から、講演会を行っています。
ここで彼らにつかまったのは、ちょうどドイツの専門家たちと放射線防御の国際協力の相談にやって来た松井英介医師です。
この講演会は、ベルリン在住の若いお母さんたちを対象に内部被曝とその防御について日本語で行われています。わたしも遅れて様子を見に行ってびっくりしました。
会場には若い日本女性が50人以上も参加し、非常に熱心に耳を傾けているのです。かなり難しい内容もあるのですが、二時間にわたった休みなしの集中講義の雰囲気はある種の緊張感が感じられました。
ふつうの家庭のお母さんたちには、聞き慣れない内容ですが、一言も聞き逃さないという真剣さで張りつめた空気。
就学児童が学校に行っている時間帯に設定された講演ですが、お母さんから離せない乳児も6人ほど、時折その場で授乳されながらお母さんの膝ので大人しくしていました。
もちろん赤ちゃんたちの場所も設けてありました。
休憩後、質疑応答がありましたが、いづれも本当に子どもたちの健康を心配する真剣な質問ばかりでした。これをきっかけに真剣な勉強が始まるでしょう。
最後に、カズマ君がパーポーマンスをやりましたが、何と松井医師の話しを要約した低線量被曝による遺伝子切断を見事に表現したものでした。これは並の才能ではないと思わせる名演技で、お母さんたちの割れるような拍手を浴びたものです。
二日間の連日の活動を終えて、松井英介、和子ご夫妻と記念写真におさまるスタッフのみなさんです。
協力されたみなさん、連日大変ご苦労様でした。
若者たちのロゴです。
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