昨日、6月13日、ドイツの首相官邸で関係閣僚と州首相による協議で、連邦議会で審議中の脱原発決定後の最大の後始末である→ハイレベル核廃棄物処分施設の立地選定手続き法案を、今の第17期連邦議会の会期の最終日である7月5日までに両院で承認成立させることで与野党が超党派で合意しました。
これでドイツは、2011年7月8日に脱原発法を超党派で決議してちょうど2年を経て、原子力発電時代が残す最大の負担処理への道筋を決定することになります。
2年前に世界の原子力ロビーに大打撃を与えたこの両院での決議に関しては、わたしも日本語では通信社より早く伝えています。→連邦衆議院。→連邦参議院決議。
その後、残された最終処理問題については同年11月に→「最終処理施設選定振り出しに」で詳しく報告しました。 その上で日本でも有名になったゴアレーベンの闘争をリアルタイムで数日連続で報告しました、興味のある方は→その1からご覧ください。
さて、今回の法案に関しては、週刊金曜日が4月の与野党合意の後にかなり正確に伝えていますので、ご覧ください。環境ジャーナリスト川名英之氏による 要点だけですが、かなり正確にまとめてある→優れた報告です。
その後、5月になってから議会で審議が始まりましたが、2015年に英仏の再処理施設から返還される26基の核廃棄物の中間処理施設をどこにするかで審議が中断、昨日まで今会期末までの成立が危ぶまれていました。これまで搬入されて来たゴアレーベンにある中間処理施設へのこれ以上の搬入はニーダーザクセン州政府(社会民主党・緑の党の連立政権)が、ゴアレーベンの闘争を後ろ盾にして拒否し、他の3つの州の原発敷地内の中間処理施設が引き受けるとの合意があったのですが、保守政権のバイエルン州とヘッセン州が9月の総選挙と同時に行われる州選挙を前に同意せず、暗礁に乗り上げた状態でした。
そこで、昨日の協議で、この問題の解決は9月の総選挙を経ての次期政権で来年1月頃に解決するとの棚上げ案に社会民主党と緑の党が妥協同意して、とりあえず法案の成立合意に至ったのです。野党両党がいわばメルケル政権に塩を送った形で法案成立になりそうです。9月の総選挙を巡る各党の思惑が複雑に背後で動いていますので、確実に法案が成立するか否かは、土壇場まで不明の要素もまだあります。メディアでは全般的には、実に後味のわるい政界の妥協であると受け止められています。
法案が成立してもこの問題は、ドイツでは最短でもあと50年は非常に重い社会的負担であり続けることだけは避けられません。原発政策は事故を起こさなくともこれからの数世代に重大な危険負担を残す反社会的な現代の原罪のひとつなのです。
そんな中、最悪の事故での自国民の取り返しのつかぬ苦しみをよそに、原発を売りつけに、安倍晋三首相は来週ポーランドなど諸国を訪れます。大半の同行記者はまた原発セールスマン安倍の宣伝係の役割をせっせと果たすのでしょう。罪深く憐れな旅の一団ですね。我が祖国日本も落ちに落ちたり、嗚呼!
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