2011年11月29日火曜日

54の11:ゴアレーベン阻止闘争:終幕の抵抗と反核運動の勝利

 (15)核廃棄物125時間余で中間貯蔵施設に到着。

高レベル核廃棄物容器を積んだ11台の専用車輛が積み替え施設を18時36分に出発。
車列はゆっくりとした速度で南ルートを進行、途上で抗議行動を受けて停車しながら、ゴアレーベン中間貯蔵施設に19時50分に到着しました。ラアーグ出発以来125時間余の最長記録で、昨年の92時間を大きく更新しました。
この輸送中の午後八時のニュースで、公共第一テレビ放送ARDのレポーターは「脱原発決定にもかかわらず、反原発運動は納まらない。ゴアレーベンの核燃料最終処理施設の問題に切りがつけられない限り、反原発運動は納まらないことが明確になった」と述べ、現地市民運動側のスポークスマンであるヴォルフガング・エムケ氏は「ドイツの反核運動は、今回より生き生きとしてきた」 と語りました。

さらに到着後の22時15分からのARDのニュース解説者は「脱原発を決定しても、国会の調査委員会でも次々と疑問が明らかになっている35年間にわたる根拠の疑わしいゴアレーベン最終処分施設に予算を付けている試掘を中止しない限り、このような余分とも言える争いを治めることは不可能である」と真正面からドイツ政府の最終処分施設に関する政策を厳しく批判しました。
これは、明らかに反原発運動市民運動の勝利といえます。何よりもゴアレーベンの市民たちの大きな勝利です。岩塩層の試掘を止めて最終処分施設の立地をゼロからやり直せとの主張です。
中間貯蔵施設に向う核燃料廃棄物 dapd
道路周辺では数千人のデモ隊と警察部隊との全力を挙げた文字どおりの最終戦が展開されました。
特に行程の最終地点にさしかかるラーセというエルベ河に近い広大な農地と牧場付近ではデモ隊が麦わらの巨大な固まり(これは農閑期のドイツの農地ではあちこちにあります)に火をつけて河からの風で煙幕を張っています。
dapd
それに対して警察は放水車10台を集中して消火とデモ隊を追い散らしたため、一帯は息もできないほどの状態になったとのことです。
dpa
かなりのデモ参加者が負傷し逮捕されたようです。
dpa

また、20時頃には、時速10キロほどで進行する先頭の車輛の上に突然ふたりの人物がよじ登り、約20分間ほど車列の行進を止めています。20キロ足らずに 二時間以上かかったのはこれらの抵抗のためです。
現地の市民運動のラジオ放送は、勝利宣言と支援に感謝の挨拶をして先ほど放送を終えました。
フィーナレの写真です。燃える麦わらの煙に曇る牧場。旗はゴアレーベンの闘いの源泉である「ヴェントラント自由共和国」のシンボル。

2011年ゴアレーベン阻止闘争のフィナーレ:dapd

(11月29日0時)

読者のみなさまへお報せ:以上5日間駆け足で事態を追いかけて来ましたが、この大闘争の総括を近いうちに書き込みます。ドイツのメディアでも数日かかります。
また27日の夕方には福島県からの被害者のみなさまがベルリンを訪問されて報告集会がありましたので
その報告も近日中にいたします。
(29日12時追加)

54の10:ゴアレーベン阻止闘争最終段階:最後の抵抗

11月23日午後にフランスのラアーグを高レベル核廃棄物の輸送列車が出発してから丸5日を経過して、ようやく2011年の第13回搬入阻止闘争も最終段階に入りました。
今日の早朝にダンネンベルクの積み替え施設に到着した輸送列車から核燃料容器11基は重量トラックに10数時間をかけて積み替えられて、中間貯蔵施設まで最後の輸送を残すのみになっています。
そこまで、ルートはふたつあり、いずれも19〜20キロメートルほどです。反原発のデモ隊も警備の警察官も、取材の記者たちも寒い中での長期戦でかなり疲労が目立っているようです。

(14)最後の抵抗
警察は今日も、一帯をデモ禁止地帯にしていますが、数多くの最後の抵抗が試みられています。
 まず農民は、仕事に出かける口実で早朝からトラクターを連ねて道路封鎖を試みています。

戦略地点ラッセでトラクターの侵入を止める警官隊:写真:Mark Mühlhaus/Attenzione

昨年はこの作戦で警察のロギスチックが妨害されたために、ことしは素早く対応していると報道されています。トラクターを巡って各地で小競り合いが起こっています。

また昨年はキャスクを搭載した車列が積み替え施設を出発しようとすと、出口近くの交差点にビール配達の偽装をしたグリーンピースのトラックが容易には撤去できない工夫をして長時間道路を塞ぐ作戦が成功しています。まるで映画のようでした。
今年は当然この作戦を警戒していましたが、それでも行われました。
DPA




 南ルートの真ん中当たりの道路上にグリーンピースのトラックが道を塞いで駐車したので、後部の扉を開けようとしても溶接してあるので、警官が車の上からスコップでこじ開けました。


車内の活動家 DPA
すると、車内には男女ふたりが道路に車内から降ろしたコンクリートの固まりに両足を固定しているのが判明。


仕掛けはこのコンクリートの固まり:写真: Mark Mühlhaus/Attenzione
 この仕掛けは昨年の大型トラックと同じ仕様であったようで、今年は小型でもあり警察は数時間で撤去に成功しています。

警備側は今日は晴天でもあるのでヘリコプターで上空からデモ隊の動きを監視し、道路上各地点にデモ隊が集まると、放水車も使って排除するいたちごっこが繰り返されました。
しかし、最後の抵抗の拠点は中間貯蔵施設の入り口に近い森の中の道路での座り込みです。これは毎年の伝統であるともいえます。朝から森の中を通って三々五々集まったのは1000人ほどです。中には昨晩からここで夜明かししたひともいるとの報道もあります。
中間貯蔵施設前の道路占拠.dapd
昨年はここの占拠による道路封鎖が最大の行動でした。今年もかなりの人数です。
今日は、積み替え施設での作業が終わる15時から警察の退去警告が出され、暗くなりつつある16時前から強制排除が始められ、ここではかなり乱暴に、1時間ほどの短時間に完全に排除されており。公共放送でも警察のやり方への批判があります。

鉄道線路ではなく平地ですので、警官を大勢一度に投入でき危険が少ないからです。手足をもたれて道路脇の森の中に放り出されてかなり痛い目に遭ったようです。
写真: Mark Mühlhaus/Attenzione
上の写真は排除が終わった後の道路上の様子ですが、ゴアレーベン阻止闘争に特有である麦わらを詰めたジャガイモ袋が放置されています。これは農民はデモ隊に配布するもので、軽くて、線路や道路上の坐り込みには便利で、警棒による攻撃のまたとない楯になるので必需品です。

先ほどついに、輸送の車列が出発したようです。今年の大闘争のフィナーレを迎た現場は非常に緊張しているとレポーターが伝えています。
(28日20時)

2011年11月28日月曜日

54の9:ゴアレーベン阻止闘争本番:警察が農民に異例の声明文

(13)警察が農民に降伏声明を発表し農民が勝利宣言

この項は、時間系列からすれば先の54の8の以前に相当します。昨日27日の日曜日の54の7の続きです。
ハーリングの保線工事dpa
ハーリングの「ゲス」に日曜日朝から収容されたいた占拠者は、午前11時にまずは、未成年者が釈放され、弁護士と地元出身の緑の党ヨーロッパ議会のレベッカ・ハームス議員らによる交渉で、順次バスで近くのリュッチョウ地方裁判所に運ばれ人定確認の上で釈放されたと報道されています。
その間、占拠者が排除されたハーリングの線路は、写真のように、線路の修理補強工事が行われました。
このあたりはかなり古い単線で非常に重い輸送列車が通過するには、細心の注意が必要でもあります。

この間、ハーリングのさらに遠方のリューネブルグでは、日曜日の午前1時頃から、下の写真のように女性一人を含む青年4人が線路にくくりつけることに成功し、近くに迫った輸送列車の運行を阻止しました。線路の下に埋めた鉄パイプの中に片腕を固定する、これは伝統的な戦術です。
しかしこれにも工夫がしてあり、簡単には怪我をさせずに排除はできません。
彼らは警察の技術部隊によって、数時間かけてひとりずつ排除されましたが、最後のひとりが排除されたのは午後4時です。すなわち彼らは15時間も列車の進行を阻止しました。
線路にくくりつけた4名:Reuters
さて、他方早朝7時からヒッツアッカーの線路を占拠した若い女性ひとりを含むピラミッドの農民4人の経過は次のとおりです。
警察を降参させた農民4人:DPA
テレビの現場からの実況では、先に述べました警察の技術部隊が、まずはピラミッドのスチール製の覆いを部分的に切断して構造の検証を始めました。
農民のフリッツ・ポットマーさんの奇麗な奥さんも駆けつけて「がんばれのキス」。ピラミッドの上部が警察の作業で切り取られているのが見える。AP
 この間支援のために三々五々集まり、線路に座り込む市民は1000人ほどにふくれあがっています。
 現場は気温は昨年より高く8度ほどですが、予報通り小雨まじりの強風の悪天候が続いています。
多くの報道によれば、日没になり警察はついに降参したようです。すなわち、「自主的に立ち退いてほしい」との申し入れをしたのです。警察が異例の前代未聞ともいえる「降伏声明」を公表していますので、それを詳しく報告しましょう。
以下は22時のTAZ紙の報道です:

22時16分:農民自由意志で阻止を中止

ヒッツアッカー。早朝時からコンクリートピラミッドにくくりつけて線路を塞いでいた4人の農民は阻止行動を自由意志で停止した。
彼らのスポークスマンが(現場で)声明を読み上げた。そのなかで特に:農民たちは警察官の部分的には容赦のないやり方で彼らの健康がこれ以上は守れない。自由意志による行動の終結に対して、彼らは警察による、阻止行動を承認して賞賛する声明を要求したとのことだ。

22.16 Uhr: Bauern beenden freiwillig ihre Blockade

Hitzacker. Die vier Bauern, die seit den Morgenstunden in einer Betonpyramide angekettet die Gleise blockieren, geben ihre Blockade freiwillig auf. Ein Sprecher verlas eine Erklärung. Darin sagen sie unter anderem, dass durch das teilweise unbesonnene Vorgehen der Polizei ihre Sicherheit nicht mehr bewährleistet sei. Im Gegenzug für das freiwillige Ende ihrer Aktion forderten sie eine Erklärung der Polizei, die die Blockade anerkennend würdigt. 

これに応じ公開された(警察の)報告は以下のとおり:
「本日の日曜日朝の7時15分ごろから農民緊急共同体の活動家4人が、ヒッツアッカーの線路上にあらかじめ運び込まれたコンクリートピラミッドに身体をくくりつけた。現場に投入された警察技術官は長時間に渡るピラミッドでの作業の結果、これが観察したところでは熟考され、入念に考案された、また活動家によれば安全なシステムであることを確認する。警察はこれ以上の作業によって活動家が身体と生命に損害を被ることを虞れがあるため、現場で緻密な対話を実施した。警察は現状では容認される時間内にこの人たちを負傷させずに解放できる状態ではない。そこで活動家たちは自らの健康の保護のために行動を終える決断をした」 

Diese Mitteilung ist unterdessen veröffentlicht:
"Am heutigen Sonntagmorgen ketteten sich vier Aktivisten der bäuerlichen Notgemeinschaft gegen 07.15 Uhr in einer Betonpyramide an, die zuvor auf die Gleise nahe Hitzacker verbracht wurde. Die vor Ort eingesetzten Polizeitechniker stellten nach mehrstündiger Arbeit an der Pyramide fest, dass hier augenscheinlich ein durchdachtes, ausgeklügeltes und nach Angaben der Aktivisten sicheres System vorliegt. Die Polizei befürchtete, dass die Aktivisten durch weitere Arbeiten Schäden an Leib und Leben davontragen könnten, so dass intensive Gespräche vor Ort geführt wurden. Die Polizei sieht sich nach derzeitigem Stand in zumutbarer Zeit nicht in der Lage, die Personen unverletzt zu befreien. Die Aktivisten haben nunmehr entschieden, zur Sicherung der eigenen Gesundheit die Aktion zu beenden."

というわけで警察の技術面での降伏声明と引き換えに農民4人は自主的に行動を終えました。15時間頑張りました。報道によれば交渉の中では、近くまで迫って停車している輸送列車を数キロメートル後退させよとの要求も出したが、それは実現できなかったとのことです。

(14)ヒッツハッカーの占拠も排除

農民に連帯してヒッツハッカーで600メートルにわたり線路上に座り込んでいた占拠者800人の 排除が始まったのは真夜中を過ぎた午前0時30分。ちょうどこの頃から、嵐も過ぎて晴れる。
ヒッツアッカーの占拠者の排除:dapd

この写真のように占拠者の排除は警察側も非常に丁寧に行っています。約800名が排除されたのは
午前3時です。

この時の雰囲気を現場からTAZ紙は次のように伝えています:

0時30分:排除始まる。
ヒッツアッカー。警察が線路上の排除を始めた。ひとりの警察官がスピーカーで次のように呼びかけた。
占拠者たちにも役人がすでに非常に長く投入されており、したがって身体的に負担がかかっていることを考慮されたい。そこでデモ隊は協力的に振舞ってほしい。これに対し反原発側はシュプレヒコールで、「警官は警棒を捨ててデモに参加せよ」と応答した。
0.30 Uhr: Räumung beginnt
Hitzacker. Die Polizei beginnt mit der Räumung der Schienen. Ein Polizist sagt durch den Lautsprecher, die Blockierer mögen bedenken, dass die Beamten schon sehr lange im Einsatz und deshalb körperlich belastet seien. Die Demonstranten mögen sich deshalb kooperativ verhalten. Die Atomkraftgegner antworten mit Sprechchören: Die Polizei solle "die Knüppel wegwerfen" und sich "in die Demo einreihen."

(以上28日、月曜日早朝までの報告) 

54の8:ゴアレーベン阻止闘争本番:輸送列車終点に到着

(12)輸送列車終点に到着

現在11月28日、月曜日の朝8時です。核燃料廃棄物の輸送列車は4時17分に鉄道輸送の終点であるダンネンベルクの 積み替え施設に到着し、さきほど今回輸送されてきた11基のキャスク(容器)の最初の1基が、陸上輸送の重量トラックへ積み替えられたところです。

わたしは、昨日午後以降所用で不在でしたので、54の7からの経過報告は次に廻して、とりあえず現状をお報せします。
これからキャスク積み替えは少なくとも午前中はかかり、それからゴアレーベンの高レベル核廃棄物中間貯蔵施設までの約19キロメートルを陸上輸送します。すでに道路上の各地点で抗議行動が展開されており阻止闘争は最終場面に入ります。

この写真はロイターが配信した終点に近づく輸送列車の赤外線写真です。キャスクが先頭の機関車よりもはるかに高温であることが判ります。
Reuters


これとは別にグリーンピースが、積み替え施設に近い個人宅の庭の14メートルの距離から、ゆっくり終点に向う列車のキャスクの中性子線量を測量しています。それによれば4から4,5マイクロシーベルトでありこの地域の自然放射能の500倍です。「これはわたしがこの春にフクシマで測定した値だ」と専門家のトビアス・リードルは述べています(TAZより)
Greenpeace misst im Garten eines Privathauses in 14 Metern Entfernung vom Verladebahnhof die Neutronenstrahlung der Castoren, wenn sie langsam Richtung Verladekran vorbeirollen. Sie beträgt 4 bis 4,5 Mikrosievert. Das 500fache der natürlichen Hintergrundstrahlung. "Das haben wir im Frühjahr auch in Fukushima gemessen", sagt Nuklearexperte Tobias Riedl.  (TAZ)
 (28日8時)

 グリンピースの測定の様子を先ほどのテレビニュースが伝えていましたが、リードル氏は「この線量を数時間あびると年間許容量を被曝してしまう。輸送を警備する警察官や、積み替えの作業員の健康が心配される」とも述べています。積み替え作業中の写真がでました。
到着した列車からクレーンで右の車輛に積み替えられるキャスク dapd
(10時15分)

2011年11月27日日曜日

54の7:ゴアレーベン阻止闘争本番:占拠排除され農民が登場

(11)線路の占拠排除され、入れ替わりに農民ピラミッド登場
ハーリンゲンの鉄道線路上を座り込んでいた数千人の市民に対し、警察は27日午前2時頃からくり返し、自主的に撤退することを呼びかけ、午前3時の3度目の最終呼びかけの後で強制排除にとりかかりました。
排除される占拠者 写真:Reuters

なにしろ数キロの長さの座り込みです、今回はちょうど真ん中あたりから排除を始めたと報道されています。
警察官排除部隊はよく訓練されており、非常に紳士的に対応します。上の写真で判るようにヘルメットを脱いで、ひとりずつに「立ち上がって自主的に立ち退きますか」と問いかけ、拒否されると実力でひとりずつを運び出します。現場のTAZの記者によると、ある女性は問いかけに「ではわたしの荷物を運んで」と答えると警察官は「喜んで」と彼女のリックをもって線路から退却に付き添ったとのことです。
占拠者の反応は様々です。あくまで自主退避を拒んだ人は実力で近くの広場に設営された「臨時逮捕者集中所『ゲサ』/die improvisierten Gefangenensammelstelle ("GeSa") 」まで運ばれます。これは警察の車輛で円形に囲まれた場所で、野天ですが中には医療施設などのテントもあります。この警察の戦術は昨年から始まったもので、放置すればまた線路占拠に引き返すのを防ぐのが目的です。したがって「今年も昨年同様に、輸送列車が通過してダンネンベルクの積み替え施設に到着するまでは収容されることになる」との警察の証言を現場の記者は伝えています。
他方、今年は前記の女性のように自分の足で退却した者は「ゲサ」には収容されずに、自由行動となります。この人たちの大半は近くの市民キャンプなどの拠点へ帰り、休息を取って次の行動に供えているようです。

午前3時に始まった排除は、したがって時間がかかり全員の排除が終わったのは午前7時40分でした。
排除してみると、なんと線路の下の敷石が8メートルにわたり完全に剥がされ、レールが浮き上がってい箇所がありました。暗闇にまぎれてのしわざです。保線には時間がかかるでしょう。
「ゲサ」に閉じ込められている人数は訳1500人であると報道されています。おそらく占拠者の半数ほどであると推定されます。このやり方は昨年から「人定尋問もなしに閉じ込めるので違法である」と指摘されており、市民側は今年もそれを主張し「直ちに釈放するよう」に要求しています。
ただ、今年は昨年と違い、警察側のサービスも良く、ちゃんとコーヒーやソーセージなどの提供もあり、大半の人々は風はかなり強くなっているが雨が降っていないので、野天で仮眠しているとTAZは伝えています。

ところが、この占拠者が完全に排除されるのと入れ替わりに、今度は午前7時30分からヒッツアッカーという全く別の場所で、農民たちの線路占拠行動が始まりました。
ヒッツアッカーの農民ピラミッド TAZ 写真:Annika Stenzel




TAZ 写真:Roland Geisheimer / Attenzione
この写真には解説が必要です。ゴアレーベンの農民の「特許」ともいえる非暴力直接行動であるからです。線路上に置かれたピラミッドは中の構造が秘密のコンクリート製で4面の下部に穴があり、そこから4人の農民が片方の腕を内部に入れて抜けないように固定します。重いので持ち上げると大怪我をします。したがってこのピラミッドを分解する前に、どのように腕が固定されているかを知らねばなりません。これが非常に難しいのです。
実は数年前から始まったこの戦術が警察が最も頭を悩ますもので、というのは毎年固定する内部構造が「進歩」しているからです。ヘッセン州の警察の専門家がこれを担当しており、先週の南ドイツ新聞でのインタヴューで担当官は、昨年のピラミッドの出来は「技術的にもマイスター級であった」と賞賛しています。
先ほどの報道によれば、現場で検証している担当官が「これは大変そうだ」と、うなっているとのことです。どうやら農民たちの「最新特許」が登場したようです。
12時の時点で約200人が連帯して現場の線路に座り込んでいます。

この他に、ロビンウッドの人たちが線路脇の木に登って身体をくくりつけたり、敷石を剥がすゲリラ戦も各地で行われていたちごっこが続いています。

輸送列車は北方のマッシェンで昨日の18時40分以来停車したままです。
11時の記者会見で市民団体のスポークスマンのエムケ氏は「今年の闘いは歴史を書き換えるものとなった。輸送時間が間もなく最長を記録するからだ」と述べています。
昨年の2010年はラアーグ出発から貯蔵施設まで92時間ほどの最長記録でしたが、それがちょうど正午に更新されました。本番の闘争はまだ半ばです。
(以上27日日曜日午前)

54の6:ゴアレーベン阻止闘争;鉄道線路占拠増え続ける

 (10)増え続ける線路占拠者
特報で伝えました日本人8名も参加しているハーリンゲンの鉄道線路占拠に参加する人数は真夜中までに増え続け、市民運動の報道では3200人までにふくれあがっているとのことです。驚くべき数です。
この線路を通過しない限り搬入は不可能なので、あとは根気比べです。

一方で、農民たちは昨年同様に周辺の警備側のロギステック(兵站)をトラクターなどで分断しているので、現地の力関係は反原発側が昨年よりも有利なようです。

また今日の夕方からグリンピースの活動家3名が別の地点リューネベルクの線路に両腕を機材でくくりつける行動に出ましたが、警察は機材を切断するのは危険であるとの判断があったようで、線路/レールそのものを切断して真夜中までに3名を排除したと報道されています。
昨年もよく似た行動で、医師の判断で若い女性の腕を切断せざるを得ない寸前までいったことがあるので、今回はやむなくレールを切断したと思われます。
これらは、身体をかけた非暴力直接行動の限界形態のひとつです:
レールに両腕をくくりつける抵抗運動。それぞれに医師が付き添っている。dapd



 この様子の写真は;
 http://www.ndr.de/regional/niedersachsen/heide/castortransport/castor1231_v-contentgross.jpg
http://www.ardmediathek.de/ard/servlet/content/3517136?documentId=8876672

ハーリンゲンの占拠は真夜中をすぎて、すでに4000人を越えたようです。
運動側の医療班によると、これまでに負傷者は150人で大半が警察官の警棒、催涙スプレー、放水などが原因であるとされています。
輸送列車は終点ダンネンベルクの北方約100キロのメッシェンに26日18時40分から停車したままです。
明日は冬の嵐が来るので、主戦場の情勢は昨年よりもさらに混沌としてきました。

(以上27日1時30分)

54の特報:日本人8人も非暴力直接行動の座り込みに参加/TBSも登場

特報です:

市民運動の速報が先ほど伝えるところによれば、本日のダンネンベルクの中央集会に参加して挨拶をした8名の日本人も、ハーリンゲンの線路占拠に参加し座り込みに加わった。 

SA 21:49
Harlingen
PermalinkShare Auch die acht Gäste aus Japan, die auf der Kundgebung in Dannenberg gesprochen haben, sitzen inzwischen auf den Schienen in Harlingen.


素晴らしい日本人! おいらも参加したい!
これが事実で、明日まで頑張ることができれば、お巡りにどのように排除されたかをしっかり報告して下さい。歴史的な出来事です。ブラボー!

これは、わたしの知る限り、1988年5月に当時のヴァッカースドルフ再処理施設建設反対運動に参加して以来、日本人がグループとしてドイツの反核運動に連帯する初めての行動です。http://tkajimura.blogspot.com/2011/05/blog-post_22.html

涙がでます。23年ぶりとは!
現場は雨も降り始め風も強くなりつつあります。しかしすでに2500人になっているとのことです。

特報の追加です。
今日のダンネンベルク中央集会を日本のTBS/MBSのチームが取材する様子が、ドイツ公共第一テレビARDの夜の23時15分からのニュースTagesthmenのトップで報道されました。
日本のメディアがどのようにゴアレーベンの反核運動を取材するかの様子と、MBS三澤ベルリン支局長の的確な感想をインタヴューで伝えました。これもドイツの反原発運動と脱原発に日本がどのように反応するかについて敏感な関心をもっている証拠です。
明日には、ネットで見れるでしょう。

TBSのドイツからの報道もしっかりやってほしいものです。