2012年12月15日土曜日

134:宇都宮けんじ・山本太郎・未来の党など脱原発候補に一票を/下地真樹准教授の即刻釈放を

 いよいよ、16日の投票日までに、あと一日となりました。本日(14日金曜日)も遠いベルリンから日本の選挙戦をモニターしましたが、投票日が近づくにつれ欧州のメディアも日本のメディアの報じる自民党単独過半数の予測にそって、安倍極右政権を危惧する報道が出て来ています。
ドイツ語圏報道でもシュピーゲル誌は→「フクシマにもかかわらず日本は右へ漂流」、また同誌は東アジアの軍事的緊張に関しても日中韓国のナショナリズムの台頭に関して→「未来の市場が危機地帯へ」、さらにウイーンのスタンダード紙は→「日本は古い海岸に座礁する」などとかなり詳しく報道し始めました。
 もし、大手メディアの予想通りの結果になれば、ましてや安倍政権が維新の会と国会で手を組むようなことになれば、日本はアジアだけでなく世界の民主主義国諸国からノン・グラータの国として見做され、本格的に孤立することだけは間違いありません。

それにしても選挙戦を遠くから観察してつくづく感じたことのひとつに、日本も選挙権を18歳からにすべきであるということです。ドイツでは成人年齢が18歳なので、大学生となればみな選挙に参加します。日本では大学生も半数は選挙権がないのはとんでもないことです。ドイツの緑の党は、若者の政治参加を促すために、選挙権年齢を16歳からとするべきと主張していますし、最近登場して来た海賊党の中には、何とゼロ歳から選挙権は与えられるべきだとの主張も出ており、これにはわたしも驚きました。
今、日本では多くの高校生や中学生が脱原発実現のために選挙権を欲しいと願っているのは間違いないでしょう。若年層の投票率が日本では極端に低い原因もこの辺りにあるようです。若者にこそ国家社会の将来を託さねばならないのですからこれは実現すべきでしょう。義務教育を終えた16歳からは選挙権を得るべきだとわたしも思います。自立して将来への責任を取る第一歩なのです。学校だけでなく社会教育が大切なのは、下記のようにネコですら環境によっては政治に興味を持つかもしれないのです。

今日は、岩上さんの中継実況で荻窪駅前での山本太郎氏の街頭演説、官邸前の金曜デモでの彼を含めた宇都宮けんじ氏、またついにそこに登場した小沢一郎氏の演説などを観ましたが、山本、宇都宮の両氏だけは何としても当選させたいものです。ふたりとの疲れ果てていながら、最後の力を振り絞っている姿は感動的なものです。日本の良心の象徴です。
安倍反動政権が成立しても、宇都宮東京都知事と山本衆議院議員が実現すれば、彼らは間違いなく次の闘いの中心となってくれることは間違いないからです。

ドイツの脱原発の歴史を振り返ってみても三世代にわたる苦しい闘いです。フクシマ事故で日本ではそれを一世代でやり遂げなければならないので、その大変さはなおさらです。
とにかく、日曜日には宇都宮けんじ、山本太郎、そして日本未来の党など脱原発を本当に推進する人々に一票を投票しましょう。

 ベルリンから我が家のとら猫も選挙戦を見ながら応援しました。これはわたしのブログのある読者の方のツイッター情報から山本太郎氏の荻窪駅での写真を、えらく熱心に見ているアズキという名の猫です。見かけはヨーロッパ山猫そっくりの、とっても可愛いしっぽ美人のMädchenです。「門前のネコ習わぬ経を覚える」といったところでしょう。




以前にもここで主張しましたが、→ 白ネコでも黒ネコでも脱原発基本法を支持するネコは良いネコです。未来の党の候補者がいない選挙区では、もちろん社会民主党や共産党の候補を応援しましょう。

 今日の南ドイツ新聞の特派員は「日本では社会民主党と共産党など左翼政党が埋没してしまっている」と 報道していました。これはその通りで、バランスを失って極端な右傾化が起こる警告であると思います。



さてもうひとつ、どうしても我慢できないことがあります。大阪でガレキ受け入れ反対運動に熱心な阪南大学准教授の下地真樹氏が今月9日、不当にも逮捕されいまだに勾留されていることです。
即刻釈放することを要求します。そして日曜日には投票に参加させるべきです。
彼の一昨日の→獄中からの声明を掲載しておきます。これは明らかに脱原発運動を弾圧しようとする権力犯罪です。許しがたいことです。もしもこんなことで起訴などされれば、間違いなく日本の脱原発運動を巡るスキャンダルとして国際的に報道されることになります。民主主義社会ではあり得ない醜聞です。そのことを大阪の検察にあらかじめ警告しておきます。こんなことが許されるならば、まさにナチスが権力を掌握した1930年代の情勢の到来の兆候とされてもやむを得ません。

もし釈放しないのであれば、投票日翌日の月曜日には、明らかに公職選挙法に違反して公示後にツイッターで選挙運動を行った橋下徹大阪市長を即時逮捕すべきです。法の前では平等であるのが法治国家の原則だからです。
わたしはもちろんインターネットでの選挙運動も許されるべきだとの点では、橋下氏とこれだけは例外的に同じ意見ですが、とはいえ大阪検察がここで下地氏への逮捕令状を出しておきながら明瞭な違法行為を確信的に行っている橋下氏を見逃すのであれば、それは法治国家の検察ではありません。
公平にも橋下氏がこの件で逮捕されれば、もちろんわたしも断固として、彼の釈放を要求します。インターネットでの選挙運動は原則的に許されるべきであるからです。

以下下地准教授の声明の引用です。
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 逮捕状の被疑事実は、すべて、事実ではありません。当日現場にいた公安の警察官もすべてを見ていたはずなのに、堂々と事実と異なる被疑事実に基づいて逮捕を行ったことに、とても驚いています。
 なぜ警察がウソをついてまで私を逮捕するのか。それは私が、原発の再稼働に反対し、放射能の拡散に反対する市民運動に参加してきたからであり、とりわけ、運動の中で出会った警察の不正行為についても厳しく批判してきたからです。悪いことはなにもしていません。

 いま、私たちが暮らす日本は、そして世界は、危機的な状況にあります。福島の原発事故はいまだ収束せず、4号機の使用済み核燃料プールが倒壊すれば、日 本だけでなく、世界が終わると言っても過言ではない大惨禍をもたらすことになるでしょう。放射能汚染への対応もまったくできておらず、食品その他の流通を 通じて、汚染は拡大しつつあります。そんな中、「電気が足りない」とうそぶき、原発を使い続けようとしているのです。すべてが狂っているとしか言いようが ありません。

 この半年か1年の間に、政府がどのような施策を行うか、それによって私たちの未来は大きく変わるでしょう。日々、学生たちの顔を見ながら思います。二十 歳そこそこの彼らが私と同じ四十歳になる頃、どんな世界に暮らすことになるのかと。そのたびに、今回の原発事故を防げなかったこと、先輩世代として申し訳 なく思います。彼らには罪はないのですから。せめて、少しでもマシな世界を残せるよう、微力を尽くしたいと思っています。事故はすでに起きてしまいました から、時間はあまり残されていません。しかし、希望はあります。

 私は、いま、動くことができなくなりました。でも、諦めてはいません。こうして、私の声を外に届けることもできます。そして、もっと多くのみなさんが行動してくれれば、声をあげてくれれば、きっとまだ間に合います。
 私はとりわけ、私と同じように大学で教えている人、医師や科学者などなんらかの意味で専門家と呼ばれている人たちに呼びかけたいと思います。「無知で冷 静さを欠いている」かのように見える市民にこそ学んで下さい。その声が無視され、軽んじられている人のために語って下さい。

 真実は、批判と応答を通じて初めて、姿を現します。政府をはじめとする権威が語ることではなく、その反対側に立ち、権威に対して反問することを通じて真 実が明らかになるように行動して下さい。まちがってもいいのです。常に弱い側に立ち、その軽んじられる言葉や存在を擁護し、自らが仮にまちがうとしても、 逆説的に、権威との言説の応酬の中で真実が明らかになるように、語って下さい。あなたの専門分野が何であるかは、関係がありません。勇気をもって下さい。

 最後に、私がもっとも深く関わってきた震災がれきの問題について述べます。大阪市は11月末に試験焼却を強行し、来年2月の本焼却開始に向けて着々と準備を進めています。
何度もあちこちで述べてきましたように、震災がれきの広域処理は誰のためにもなりません。それは被災地支援どころか復興予算の横取りであり、かえって復興 の足を引っぱります。同時に、放射能をばらまき、かつ、汚染地の人々に放射能を受忍させ、加害者である東京電力の責任を軽減するものです。代償は、私たち の、子どもたちの、そして、これから生まれてくる子どもたちの命です。こんなデタラメな施策が許されていいはずがありません。絶対に止めなければなりませ ん。これまでともに学び、取り組んできたみなさん、諦めずに戦ってください。また、これまで震災がれき問題について知らなかったみなさん、是非、今からで も知って力を貸して下さい。これは、私たちの未来そのものを守るための戦いです。

 私はいつ出られるかわかりません。でも、いつかきっと出られます。姿は見えなくても、心はともにあります。この間、不当に逮捕されている他の仲間たちもきっと同じ気持ちです。みなさんに会える日をたのしみにしています。

                2012.12.12 下地真樹


2012年12月4日火曜日

133:偉いぞ山本太郎!東京8区から立候補・君はフクシマが生んだ日本の最良の息子だ/嘉田さんも応援

 前回でも指摘し注目していた、山本太郎氏がついに石原親子の地盤である東京8区に殴り込みをかけました。
またまた、田中龍作ジャーナルから写真をお借りします(ベルリンからなので無断借用をお許し下さい。「明日うらしま」には東京特派員がいませんので)。

 詳しくは→こちら石原親子と戦う山本太郎候補をご覧ください。
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日本を取り戻すぞ拳を突き上げる山本太郎候補者。 =4日午前高円寺駅前写真諏訪撮影

諏訪記者の写真説明にもあるように「日本を取り戻すぞ」と叫び、古い日本の政治家の政治基盤に飛び込んだ、山本太郎氏はフクシマ事故が生んだ日本の最良の息子のひとりです。

フクシマ事故の本当の深刻さを真っ正面から捉えて、それを若い世代の言葉で率直に表現できる候補者としてはとても優秀です。しかも無所属個人の一人一党の原則を貫く、独立した姿勢にも敬意を表します。偉い奴です。

昨日彼は都知事候補の宇都宮けんじ氏を応援し街宣で演説しています。彼の選挙事務所には、すでに供託金も寄付で集まったとのこと、まさに市民の代表です。

日本の大メディアの記者のみなさん、彼の演説と主張にはとっても耳が痛いでしょうが、せめて詳しいレポぐらいは報道して下さい。当選してから、いつものように外国の報道を横目に、しょぼしょぼと書くのでは遅すぎますよ。

ついでですが、山本氏を応援している、まだ結成したばかりの日本の緑の党の衆議院立候補者の推薦リストがありますので、こちらも参考にしてください。

 →緑の党衆議院選挙立候補者推薦リスト

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追加です。12月4日には、高円寺に嘉田おっかさんが、太郎くんの応援に駆けつけたようです。フクシマ後の日本の日本の最良のおっ母さんと息子の写真。日本では珍しい光景も。
マドモワゼルさんから借用
反原発親子の抱擁 

2012年12月2日日曜日

132:脱原発基本法案に賛成する衆議院立候補者リストが公表されました。海外の有権者も投票の参考にしてください。山本太郎さんにも注目しましょう

 日本が国策としての原発推進から転換し、国策として脱原発を実現するためには必要不可避であるのが、脱原発の法制化です。
そのための脱原発基本法案が9月7日、会期末に超党派の市民議員立法案として衆議院に提案され、次期国会での継続審議となったことは、→当時すでにお知らせしましたとおりです。

これを支える市民団体「脱原発法基本法制定全国ネットワーク」が、12月4日の公示を前に、全国の立候補予定者に同法案の賛否を問うアンケートを行い、本日そのリストを公表しました。これです→脱原発基本法に対する衆議院選挙候補者の賛否

 回答結果は、以下の4つに分けて、選挙区・ブロックごとに表示しました。
  • 賛成(脱原発)
  • 反対(原発推進)
  • 回答無し(原発推進ないし原発黙認)
  • その他
 脱原発基本法案に賛成する候補者にはこの脱原発法のロゴマークが付いているので一目瞭然です。


公示の4日までにまだまだ更新されるとのことですが、16日の投票の判断への基準になりますので、参考にしてください。これが付いている立候補予定者は193人にもなっておりもっと増えるでしょう。彼らが当選すれば、脱原発派が次期国会で過半数を超えることはけっして不可能ではありません。
地方区で、ロゴマークの候補者がいない場合は、上記分類の「その他」に入る「共産党その他」の候補者への投票をこの際はお勧めします。

(追加です:山本太郎さんが、多くの誘いにもかかわらず、独自の党「今はひとりの党」を立ち上げて立候補する決断をし、自由報道協会で記者会見をしました。実に切実な思いのこもった決意ですので是非ご覧ください。
-->→自由報道協会主催 山本太郎氏(新党結成)記者会見 
 このような真っ正面を向いた元気な若者が日本を救うのです。彼がどのような形で、またどこの選挙区から立候補するかは現時点では不明ですが、立候補すればおそらく基本法には賛成するでしょうから、ロゴマークがひとつ増えることになりますので追加しておきます。彼の動きと主張に注目しましょう。彼は一年前にゴアレーベンの闘争現場も尋ねてた偉い奴です。気に入りました。今度ベルリンを訪問の際には、世界で一番美味いビールをおごりますので、頑張って下さい。)

 いずれにせよ原発推進派にとっては脅威ですから、このリストの存在を口コミでも、ツイッターなどでもできるだけ広げてましょう。また世界中に広がっている海外在住の有権者のみなさんにも、非常に便利な判断基準ですので参考にして下さい。特に情報が限られている海外在住の有権者者には貴重な参考となるでしょう。
 海外在住者で原発推進の日本人は圧倒的な少数派であると思います。少なくともドイツでは「原発賛成」などとは、フクシマの後では、とても恥ずかしくて口に出来ないので聴いたことがありません。

このアンケートに付いては朝日新聞が以下のように伝えています。引用します。
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→衆院選予定者脱原発アンケート結果公表 市民団体


 脱原発の法制化を目指す弁護士や作家らでつくる「脱原発法制定全国ネットワーク」は1日、衆院選立候補予定者約1300人に脱原発の賛否を聞いたアンケートの結果を公表した。
 ネットワークの働きかけで9月に国会に提出された「脱原発基本法案」(廃案)は、遅くとも2025年までの脱原発を掲げる。
 アンケートでは法案成立への賛否を聞いた。賛同したのは日本未来の党民主党などの193人。反対は日本維新の会の1人で、自民党公明党などの673人は「回答なし」。即時の脱原発を掲げる共産党など394人は「その他」と答えた。無所属には賛否を問えていない。
 結果はウェブサイト(http://www.datsugenpatsu.org/)でも公表。4日の公示前まで随時更新する。
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個人的なお知らせとお礼

ついでになりますが、この項を書いているうちに、当「明日うらしま」の訪問者が、わずかではありますが、ちょうど150、000になりました。18ヶ月でこれですからわずかなものです。しかし細々ながらですが、アクセス数は次第に増加しています。熱心な読者のみなさまと、紹介して下さっているブロッガーの友人のみなさまに心からお礼申し上げます。  
その内、日本からのアクセスがおよそ3分の2、海外からが3分の1ほどです。ドイツはもちろんですが北米と欧州諸国、面白いのは東欧諸国からのアクセスがかなりあることです。
内容では長期にわたって読まれている項目がいくつかあるのが特徴でこれが一番の喜びです。
 
 宇都宮健児氏と同年で、同じアナログ人間のわたしのミニコミ「覚え書き情報」としては満足しています。なにしろ、携帯電話が大嫌いで、通信はメールと電話だけ。ツイッターやFacebookは、何度もお誘いがありますがやりません。
むかし夏目漱石が電話を自宅に引いた時に、架かってくる電話に辟易して「電話は架けるためにある」と主張し、受話器を常時外したままにしたため、電話局が大変困ったという逸話がありますそれに似ているかもしれません。
こんなわたしに呆れたある新聞記者が、「でももっと上手がいる」との話しをしてくれました。「ジョン・ダワー氏はメールもやらないし、電話にも出ない。合うためには手紙を書くしかないのです」とのことです。「あれだけの大著を書く人物としては当然でしょう」というのがわたしの感想です。

そのくせ、至極勝手なことに、このブログの若い読者の皆さんのツイッターは、情報源として一方的に覗かせてもらっています。早い情報もさることながら、海外在住のわたしにとって、とても大切なのは遠い日本の空気を読むことができるからです。お名前は挙げませんが、この点でも読者のみなさまに心から感謝を申し上げておきます。

2012年11月30日金曜日

131:都知事衆議院同時選挙は日本の希望と絶望の大きな分岐嶺。宇都宮・嘉田コンビで世界に誇れる日本にしよう

 昨日、東京都知事選が公示され、いよいよ12月16日の衆議院選挙と同日選挙戦が本格的に始まりました。
ベルリンから初日の都知事選街頭演説やと、党首討論会などを見ていると、この東京都知事選と国政選挙は、日本の戦後史にとって最初の険しい分岐嶺となることがよくわかります。

このことは宇都宮けんじ、猪瀬直樹の両都知事候補者の最初の街頭演説の様子がよく物語っています。
 そのルポのひとつ田中龍作ジャーナル → --> 【都知事選】こんなの初めて 国政選挙と同じ対立構図から心から感謝してお借りする次の二枚の写真がよく物語っています。

社民党の福島みずほ党首(左端)らと共に「ガンバロー」の拳をつきあげる宇都宮けんじ候補。「人にやさしい東京」がキャッチフレーズだ。=29日午前11時頃、有楽町マリオン前。写真:諏訪撮影

猪瀬直樹候補左端石原前知事と橋下大阪市長らに見守られながら第一声をあげた29日午前11時頃新宿西口写真田中撮影

 多党乱立で非常に有権者にはわかりにくい衆議院選挙とは逆に、都知事選はこの二枚の写真のように非常にわかりやすいですね。
とはいえ、田中龍作氏も書いているように、国政選挙の方も構造はまったく同じになったのです。 それは、日本社会の希望派と絶望派の戦いであり、有権者がどちらを選ぶのかという単純明快な選挙となりました。

単に写真で見れる両候補者の気品の落差だけではなく、主張の対称性、すなわち
「希望国際派=脱原発・福祉と女性尊重・護憲平和」 「絶望国粋派=原発維持・弱者棄民・改憲軍国化」という対立構造が、ここに来て明確になったのです。上の写真はこの意味で象徴的です。
 そして今、日本人に問われているのは「あなたは、どちらに生活と命を預けますか」ということだけなのです。判りやすいですね。

心もとなくも情けないのは、ネットでモニターする限りでは日本の大手メディアが、あいもかわらず視野狭窄で、懲りもせず「日本未来の党は小沢の傀儡」などと、くだらないことばかりに熱を上げて、広い視野での報道を阻害していることです。このような、いじめっ子の憂さ晴らしのようなみっともない記事が、社会をだめにしていることを恥じるべきです。

それに反して、上の写真現場での、宇都宮けんじ氏の有楽町での第一声の動画を見れば、希望があふれてきます。是非ご覧ください宇都宮けんじの街頭演説第一声です。
このYou Tubeの動画は日本の古くさい公職選挙法に触れて、消されないために東京有楽町観光案内」であるとのタイトルと解説が付けられているのが実に面白いのです。それ自体がユーモアに満ちた知性の傑作ですので 早めに見て下さい。

Kenji Obama of Tokyo
 それはともかく、立候補には資金もない貧しい弁護士である宇都宮けんじ氏は、明らかに市民のボランティアの力で、東京から発生する台風の眼になりつつあります。

そこから前回で紹介した新党「日本未来の党」の台風の眼となり、東京知事選から衆議院選挙にまで拡大する大きな台風になることを大いに期待しています。
そうなれば、絶望国粋派を猪瀬直樹氏だけでなく、全国でも吹き飛ばし、「東京が変われば日本が変わる、日本が変われば世界が変わる」の宇都宮さんの当初からの呼びかけが実現されることになります。
その意味で、この同時選挙は長く深い日本特有な閉塞感を吹き飛ばし、世界に誇れる日本社会の出発点になるまたとない機会です。
実現すれば、アメリカのメディアは「東京のオバマ・ウツノミヤ」と紹介するでしょう。

公職選挙法でツイッターも出来なくなっているので、インターネットでは公式サイトなども新しくなっています。 以下主なところを挙げておきます。

「人にやさしい東京をつくる会」公式サイト(ここからサポーターの皆さんの情報源に多くのところにアクセスできます)

宇都宮けんじブログ(応援メッセージなど)

勝手連情報サイト(宇都宮さんを台風の目にする草の根情報)

また、かだ由紀子代表の→日本未来の党の公式サイトが先ほどできました。

宇都宮けんじさんと嘉田由紀子さんを中心に、12月16日同時選挙が、閉塞日本に未来への風穴を開ける大型台風になることを期待し、まずは、

宇都宮けんじさんを市民の力で都知事に選び、東京を世界の希望の首都にしましょう。
そして、かだ由紀子さんとのコンビで世界に誇れる日本を実現しましょう!!

(ちなみに、ドイツで力をつけている海賊オレンジカラーです。日本のイエローペパーはそれにひっかけてろくでもない偽情報を出さないように!)

2012年11月28日水曜日

130:これが泥田の蓮の華「日本未来の党」の政策要綱です /白ネコも黒ネコも三毛ネコもどらネコも即脱原発の良いネコを衆議院選挙で当選させよう

 昨日、日本のメディアでは「第二の第三極」などと、自己撞着した表現で報道されている、滋賀県知事により公表された「日本未来の党の政策綱領」は以下の通りです。

この内容は、フクシマ事故の放射能汚染で何十万人の人々が塗炭の苦しみに陥っている日本、また欧州での冷戦終結後20年の新自由主義経済の過酷な現実下で基本的人権が踏みにじられ、民主主義が窒息しつつある日本の泥田のような社会の過酷な現実に抵抗して、琵琶湖の瀬田の唐橋の下に咲いた蓮の華のような美しい政治宣言であるかのようです。
産經新聞の琵琶湖を背景にした記者会見の写真をお借りします。

-->
琵琶湖を背景に記者会見する嘉田知事。産経恵守乾

 もうすぐ公示される衆議院選挙で分散している脱原発諸勢力を統合するためにアドホックに結成された新党の要綱としては、極めて優れたものであると言えるでしょう。
すでに書きましたように→「白ネコであれ黒ネコであれ脱原発基本法支持は良いネコ」です。この新党には、さらに三毛ネコもどらネコも駆けつけそうです。それでも良いネコです。自民、維新、民主の原発維持、エセ脱原発の旧勢力とは違います。
とりあえずは、圧倒的な日本市民の脱原発の意思を選挙で無駄にせず、次期衆議院で脱原発法を実現できる勢力の統合基盤となってほしいものです。蓮華が夢ではなく現実であることは、有権者という水面下の蓮根が一番良く知っています。そのことに気付いていないだけなのです。

ここでひとつだけ、注釈をしておきます。以下の要綱の最初の部分に昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに 5 兆円規模の産業と3 8万人の雇用が生まれ、地域が活性化しています」とありますが、これはあまり正しくありません。正しくは「昨年に最終的に脱原発を決めたドイツ・・」というべきです。

かつての社会民主党と緑の党の連立シュレーダー政権が2022年までの脱原発を電力業界との合意で決定したのは2000年6月で、連邦議会で脱原発法が決議されたのは2002年のことです。現メルケル政権は2009年に政権を獲得した際に、原発ロビーの意を汲んで原発の稼動期間を32年からさらに14年も引き延ばす政策を2010年末に実施したところ、寝ていた反原発運動が一挙に再興しました。ところがそこに起きたフクシマ事故で政権維持を図るために方針を180度転換して元の木阿弥の脱原発法に、今度は保守政党も同意して、全社会的最終的な脱原発の合意が実現したのです。(この詳しい経過については、梶村「脱原発の不可逆の転換へ歩みだしたドイツ」『世界』2011年8月号に書いておきました。)
したがって、再生エネルギー産業が成長し、多くの地域で雇用が生まれているのは、昨年からではなく正しくは、2000年からの12年間の実績によるものです。

ついでに、最近のことも付け加えておきますと、今年のドイツの再生エネルギー発電量は、原発の18%を追い抜き、25%になりそうです。また、風力発電量が膨大になり今年はオランダやフランスへの電力輸出量が記録的なものになりそうです。
すなわちドイツはエコ電力の輸出国になりつつあります。もちろん自然エネルギー源への転換には多くの技術的、過渡的な難題もありますが、高価な天然ガスや、膨大な負担となる廃棄物を遺す原子力発電と違い、請求書を出してこない尽きることもない太陽や風の自然の力による再生エネルギー発電の恩恵を享受する社会に大きく踏みだしているのです。
日本の未来もここにあります。

フクシマという過酷で高い代償を支払うことになった日本では、すでに原発ゼロ社会を事実上実現しています。ドイツよりも早期に脱原発社会を実現することは決して夢ではないのです。是非ともドイツを追い抜く決定を12月16日の衆議院選挙でしてほしいものです。
この政策綱領に同意する当選者が過半数を占めれば、それは実現できるのです。そのとき、世界は日本の民主主義の成熟を賞賛するでしょう。

以下引用です。

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                      日本未来の党 政策要綱 

原発のない再生可能エネルギー社会へ
 卒原発  

原発稼働ゼロから全原発廃炉の道筋を創ります。
安全や雇用・経済対策など「原発稼働ゼロ」の現実で直面する課題に責任ある対応をし全ての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道のりを定めます。 原発に代わって再生可能エネルギーを普及させるエネルギーの大転換で、地域産業を育成 し雇用を拡大させます。昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに 5 兆円規模の産業と3 8万人の雇用が生まれ、地域が活性化しています。

● 東京電力は破綻処理し、国が直轄して福島第一原発からの放射能汚染の拡大を防ぎ、責任をもって損害賠償や被ばく安全に対応する。
● もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止、世界最高水準の安全規制、大間原発など新増設の禁止、使用済み核燃料の総量規制からなる「卒原発プログラム」を定める。
● 原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策などを実施し、国民生活や経済の混乱を避けつつ、全原発の廃炉への道のりを定める。
● 発送電分離など電力システム改革を貫徹して公正な競争を促し、地域分散ネットワーク型のエネルギー地域主権を実現する。
● 大胆な省エネルギーと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現して、石油・石炭への依存度を減らし、地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。



全員参加型社会へ
 活子ども・女性  

子どもや女性の声なき声をきちんと政治に反映させます。
女性が社会の中で活き活きと活躍し、子どもが笑顔ですこやかに育つ社会が当たり前の社会 でなければいけません。日本の未来を担ってくれるはずの子どもが減少している原因の一つ は「子どもを産みにくい、育てにくい」という不安を多くの女性が抱いているからです。そ の状況を打破し、同時に、子どもたちが「この国に生まれて良かった」と思える社会を実現 します。
● 子ども一人当たりの中学卒業まで年間31万 2000 円の手当を支給し、その一部を「子 育て応援券」(バウチャー)とする
● 結婚・出産が女性のキャリア形成に不利にならない社会を創る
● 子どもが虐待や育児放棄にあわないよう親の子育て環境の改善を図る
● 離婚・別居時に両親が子どもの共同養育計画を作成することを義務化する

 ● 家庭・学校・地域が一体となって「子育て」「子育ち」を応援する社会を創る
 ● 高校授業料の無償化などを堅持する
● いじめの撲滅に向け小・中学生への「心の教育」を実施する
● 配偶者暴力に対し刑事罰を課すよう法改正する


安心・安全を実感できる社会へ 
 守暮らし  
みなさんの生活に対する不安を取り除きます。
地域内でお金が循環し、地域の人たちが元気になるような内発的経済を発展させることなど により、暮らしの根底を支える「雇用」の不安を払拭します。あわせて、年金・医療制度を 充実させることで、人々の暮らしを守ります。
● ワークシェアリングを促進し、家庭と仕事の両立ができる社会を創造するとともに、完 全雇用を実現する
● 子育て、医療、福祉、教育分野での産業・木材などのバイオマス資源などの活用による 環境配慮型産業の振興や個別所得補償などによる農林漁業の活性化により雇用の創出 を進める
● 若い世代の人材育成・キャリア形成を促進する
● 非正規社員の正規社員化を促し、安心して働ける現場を整備する

● 税を財源とする最低保障年金と所得比例年金の構築により年金制度の一元化を図る

 ● 地域包括ケア、在宅介護支援体制を強化して、介護制度を充実させる
● 国民皆保険を堅持し、医療保険制度の一元化を目指す
● 後期高齢者医療制度は廃止する


家計の復活へ
脱増税  
消費増税法は凍結します。
国民の平均所得を引き上げるために、家計を圧迫する行政の規制・ムダを徹底的になくすと ともに、内発的経済の発展を促進します。それにより、デフレ脱却と経済の再生を実現しま す。その結果、円高の是正や、税収の増加、財政再建も可能になり、消費増税の必要がなく なります。 デフレ、個人所得の低下が続く中での増税は、ますます消費を冷え込ませ、中小零細企業の 倒産などを招きます。したがって、税収はかえって落ち込むことになります。この点からも 増税法は凍結します。
● 必要な財源は、特別会計の全面見直しをはじめとする政治改革、行財政改革、地域主権 改革によって捻出する。
● 業界・業種によって損税・益税が生ずるなどの現行消費税の欠陥を是正する。 


行政・司法の抜本改革の断行へ
制官僚  

国民・地域の立場に立った行政・司法に改めます。
震災復興の遅れ、復興予算のあきれた流用に象徴されるように、国民の視点を失った中央の 官僚が全てを決めて人々に押しつける仕組みは、人々に多大な損害を与えています。官僚の 暴走を止め、地域のことは地域で決める「地域が主役の社会」を実現します。
● 政治主導を貫徹できる公務員制度改革を実施する
● 天下り全面禁止と政府関係法人の廃止でムダと利権をなくす
● 国の補助金と政策経費は原則、自主財源として地方に交付する 

 ● 国の地方支分部局を広域連合へ移譲する
● 司法官僚による国民の権利侵害を止めさせる措置を早急に講ずる 

● 行政・司法苦情処理第三者委員会を国会内に設置する 

主権国家としての権利を堅持へ
誇外交  

食品の安全・医療制度を守り、品格ある外交を展開します。
日本は、自立と共生の理念の下で、自ら主張し信頼を築く外交を展開しなければならず、独 立国家としての責任に基づいた日米関係を構築しなければなりません。TPP(環太平洋戦略的 経済連携協定)は、単なる自由貿易協定ではありません。牛肉など食品の安全基準、医療保 険などすべてをアメリカのルールに合わせようというものです。だから交渉入りに反対です。
● 自由貿易のための FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)は積極的に推進する
 ● 食料安全保障の観点からも食料自給率 50%を目指す
● 東アジア外交を重視し、アジアの平和の調整機能を果たす
● 安全保障基本法の制定と国連平和維持活動への参加を進める

● テロ、大災害にも対応できる日本版 NSC を創設する
● 多様な資源外交により安定的なエネルギーの確保を図る
● 「拉致国家」の汚名を返上するためハーグ条約を早期に批准するとともに国内の子どもの連れ去り行為を禁止する

2012年11月26日月曜日

129:日本をけんじ!、宇都宮けんじ!、原宿で若者勝手連が街宣に元気に進出。

 う〜ん、これには参った。昨日25日の夕方、若者勝手連が東京の原宿駅前で、都知事選に立候補表明した宇都宮けんじさんの応援に街頭に進出しました。

これが実に素晴らしいのです。ここでご覧ください。→  【宇都宮けんじ】さんを応援する街宣活動
すっかり定着した「東京なのに宇都宮、弁護士なのにけんじ」のスローガンもまじえての街宣ですが、この若者にしか出来ないパーフォーマンスのエネルギーはすばらしいのですが、そのなかでも「日本をけんじ(堅持)!、宇都宮けんじ!」という語呂合わせは、天才的です。
日本の若者の創造力は大したものですね。 いやはや脱帽しました。もしわたしが、この街宣に行き当たれば、お礼に道玄坂辺りで若者たちに晩飯をおごったのですが。

このような若者の動きがこれから3週間の選挙戦で広がれば、石原のアンシャンレジーム(旧体制)は確実に突破されるでしょう。日本の戦後史のなかでも画期的なことになる可能性が実現されます。

このような若者たちの動きが出てくる背景のひとつには次のような宇都宮さんの意見があるからでしょう。以下は「希望都市、東京へ。宇都宮けんじ通信」からの引用です。

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風営法によるダンス規制、都条例によるマンガ・アニメ・ゲームの表現規制に反対
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 宇都宮けんじさんは、原発再稼働反対の抗議行動における「官邸前見守り弁護
団」のひとり。警察の警備体制強化により抗議行動が著しく制約され、 また、
参加者を撮影するなど肖像権侵害とみられる状況が発生していることに対し、弁
護団は、市民の表現の自由を尊重し、過剰警備をしないよう求め る声明を出し
ています。
 何よりも表現の自由を大切にする宇都宮さん。風営法でダンスが規制されてい
ること、また都条例によるマンガ・アニメ・ゲームの表現規制にも反 対。
「Let's DANCE 法律家の会」の呼びかけ人でもあります。14日のキックオフ集会
で、参加者との間で交わされた頼もしい言葉を紹介します。

--風営法でダンスが規制されていることについてはどう考えるのか?
宇都宮さん:京都の中村弁護士がダンス規制について反対する運動を起こしてい
ますけれど、私もこの呼びかけ人のひとりになっています。風営法によ るダン
スの規制は許されないと考えています。

--石原都政下で改正された東京都の青少年育成条例によってマンガ・アニメ・
ゲームなどのコンテンツの表現規制が加速していますが。
宇都宮さん:私が会長になった時点でこの条例分が浮上したので日弁連としては
表現の自由を侵害する恐れがあるということで条例案を強く批判してい る。日
弁連会長を降りたとしても私自身は自分が責任を持って出した意見についてはい
ち個人として全うします。知事になっても見解を変えるつもりは ありません。
(ニュースサイト「BUZZAP!」より)

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さて、明日の27日には日比谷公園で大集会が行われます。以下もメールマガジンからの引用です。

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◆ 27日(火)@日比谷野外音楽堂 宇都宮けんじさんと東京から脱原発を! 大集会
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原発はきらいだ! もうコリゴリだ!
脱原発の東京を作ることは、脱原発の日本を、脱原発の世界を作ること。
原発のない社会を未来の子どもたちに。

鎌田慧さん、飯田哲也さん、神田香織さん、河合弘之さん他、豪華ゲストととも
に脱原発政策について語り合いましょう。期日も迫っています。14日 のキック
オフ集会以上の人びとで、日比谷野音を埋め尽くして脱原発の思いを伝えましょ
う! チラシはこちらから↓ダウンロードしてぜひぜひ広めて ください。
http://utsunomiyakenji.com/pdf/20121127hibiya_yaon_shukai_flyer.pdf


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追加です。25日の行われた自由報道協会での→ 東京都知事候補予定者合同討論記者会 
もご覧ください。東京の有権者がすべてこれを見れば間違いなく宇都宮氏に投票するでしょう。

さらにこのチラシ・ポスターは非常に良いものです。ご覧くださり活用お願いします。




2012年11月19日月曜日

128:野田ドジョウを喰らいそこねた安倍アヒル。野田総理と安倍総裁の国会党首討論について。候補者を仕分けして選ぼう。宇都宮勝手連チラシ追加

 さてみなさま、ここ数日風邪気味のところにイスラエルがまたパレスチナで酷い乱暴を働き始めた(シュピーゲル誌の最新記事と写真は→「人質となり苦しむガザの市民」)こともあり、少し遅くなりましたが、先週11月14日の衆議院での党首討論の国会中継をベルリンから視聴して感じたことをお知らせします。

11月14日党首討論 共同通信
ここで野田首相が安倍晋三自民党総裁との応酬で、突然2日後の「16日に解散しようじゃあありませんか」と、イタチの最後屁のように応え、安倍氏が意表をつかれる様子をみて、おもわず苦笑しました。
「泥沼でアヒルがドジョウを喰らいそこねたな」というのが、わたしの率直な感想でした。
意表をつかれた安倍氏 毎日新聞




それはまさに、「今日こそは喰らってやろう」と勇んでいたアヒルが、いきなりドジョウに「解散」という猛烈な泥を巻き上げられ、まんまと逃げられてしまった泥沼のひとつの光景のようで可笑しかったのです。

これについて、毎日新聞が電子版で左の写真に 党首討論で野田首相が16日解散について言及し驚いた表情を見せる自民党安倍総裁=国会内で2012年11月14日午後3時18分宮間俊樹撮との説明をつけていますが、その時の表情を巧みに捉えています。

ではなぜ、わたしがそのように感じたかには少し説明がいります。それは、今から5年前のことですが、わたしが安倍氏を「恥知らずのアヒルである」と批判したことがあるからです 。この批判は、実はこのブログでも昨年の8月に、別の文脈で→「原発中毒の人々と『人生の嘘』」として紹介したことがあります。
その時は、まさか安倍アヒル氏が、再度自民党の総裁に再選されるとは予想していませんでしたので、ふたたび以下に再掲しておきます。というのは、この人物が再び政権を取ることにでもなれば、アヒルとドジョウの茶番劇ではなく、新たな日本の悲劇『家鴨』が現実に演じられることになってしまうからです。

この解散劇ときたる衆議院選挙についてドイツでの報道は、極めて控えめで扱いも大きなものではありません。日本の政情は欧州ではではもうあまり関心をもたれなくなって来ています。経済も行き詰まり、毎年総理大臣が変わる衰弱した日本には、とっくに愛想をつかしているというのが実情です。
次の大きな財政破綻は日本であろうという見方が次第に強くなって来ています。大方の見方のように、もし安倍政権が再び成立すれば、これまでに輪をかけた財政出動によるインフレ政策で、円安誘導しか日本経済の出口はないのではないかとの見通しもあります。下手すればデフレから一挙にハイパーインフレもあり得ますし、そうなればあおりを食らうのは資産の少ない庶民であることは火を見るより明らかです。(安倍氏はさっそく日銀による建国国債の引き受けを提唱したりしていますが、これなどは行政が中央銀行の独立を侵すとんでもない借金中毒自民党のアヒルらしい思いつきです。)

選挙の結果に関する予測は、「自民党は古いままであり、期待された民主党も支持を失い、いずれにせよ多くの政治勢力に多極化して、次の政権はこれまで以上に、実行力のないものになるであろう」(南ドイツ新聞)といった冷静な見方が主なものです。いわば、日本がどれだけ落ち込むかが観察されているというのが実情です。
 わたしもそう思います。日本は第二次世界大戦後の最悪の政治経済危機は避けることは不可能です。これからおそらく10年以上は続く危機の始まりで、いまや第一の滝壺へ一挙に墜落中です。12月16日の都知事選と総選挙で多くの政治勢力が滝壺に沈むことは目に見えています。

このブログの読者のみなさまは、野田ドジョウ民主党にも、安倍アヒル自民党にも、ましてやハシズム維新などに何の希望も託すことはできないことをよくご存知でしょう。そして、このような時代の試練に耐え、確固とした持続する民主的社会を築く唯一の政策が、断固とした脱原発政策であり、再生エネルギー社会の構築であることもよくご存知でしょう。滝壺に転落した日本に浮かぶ瀬があるとすれば、これらの政策をまず第一に断固として実行するしかないのです。

というのも自然エネルギーへの社会転換の本質とは民主主義社会の実現だからなのです。つまり問われているのは経済の民主化なのです。エコノミーとエコロジーが一致する社会こそが、持続的民主主義を実現するのです。そしてこの課題はもちろん日本だけのものではありません。21世紀の人類的、普遍的な価値課題なのです。

ですから、今回の選挙ではこのような政策を本当に理解している候補者が誰かを、厳しく仕分けし、篩(ふるい)にかけて支持しましょう。東京都知事選では、言わずとしれた宇都宮健児氏だけです(文末に宇都宮けんじ勝手連チラシを追加)。人にやさしい東京は、自然にやさしい都民によって実現されます。
人にやさしい日本は、自然にやさしい市民によってしか実現できません。これを黙々と実践する日本人こそが本物の愛国者なのです。
そのような候補者はまだまだ少数かもしれません。いなければ擁立しましょう。そこからしか日本の再生はないのですから。

以下の原文は「金曜日」が2007年12月に発行した単行本 「-->日本はどなる2008に掲載されたものです。
安倍晋三氏がなぜ恥知らずのアヒルであるのかをご理解下されば幸いです。また、このような人物が再び日本の首相になれば、日本が国際社会で、間違いなくさらに輪をかけてみじめなことになるかもおわかりになると思います。こんな人物と滝壺で心中などもってのほかです。

以下引用
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   歴史改竄者たちにおける「人生の嘘」について

      ごく平凡な人間から人生の嘘を奪ってごらんなさい、
      それは同時に、彼の幸福を奪ってしまうことになりますよ。
                   (イプセン戯曲『野鴨』より)
  

   イプセンの戯曲「野鴨」

 これはノルウェーの作家ヘンリック・イプセンが、一八八四年に書き下ろした心理劇『野鴨』(注1)で、登場する医師に語らせた言葉だ。二〇〇七年九月十二日、突然の辞任表明をする安倍首相の表情を見ながら、この台詞を思い出した。
  内閣改造を終えて、国会で所信表明を行ったわずか二日後、衆議院本会議の開始直前のこの辞任劇は、日本の国政史はもちろん、おそらく世界の近代政治史でも前代未聞のできごとだろう。「日本の政治家とはこんなものか」と世界中が、その無責任ぶりに唖然とした。
 同年七月末の参議院選挙で大敗の後の八月の半ばごろから、東京の安倍番記者たちから「安倍自殺 説」が、ベルリンの日本人特派員の間にも届いていた。ために辞任表明後に入院したとの報道に、「あるいは」と、悲惨な自殺で終わるこの古典悲劇をさらに連想した。彼の内閣で現役大臣が自殺していることもあるからだ。
  だが、それもあっさり杞憂に終わった。退院を前に「これからも国会議員を続ける」と述べるのを聴いて、この人物が責任感などとはどだい無縁な俗物でしかないことがはっきりしたからだ。これでは、遺書に「安倍総理、日本国万歳」と書き残した松岡農水大臣(当時)の浮かぶ瀬もあるまい。

 ちょうど二年前のドイツの総選挙で、僅差で敗北したシュレダー首相は、大連立政権構築の交渉を 終えると、いさぎよく国会議員の席も後進に譲って政界を引退し、一介の弁護士となってしまった。「宰相の政治責任の取り方」とはこういったものなのだ。無責任ぶりをさらけ出した後も議席にしがみつく安倍氏のありかたとは見事な対照ぶりではないか。これで安倍氏はおそまつな喜劇の主人公として終わった。政治生命が失われていることが自覚ができない鈍感さは滑稽である。彼は誇り高い野鴨ではなく、恥知らずな家鴨(アヒル)だ。

  「辞任の理由は健康問題だ」と説明している。だが、健康を損ねるに到った根本原因を自覚していないようなので指摘しよう。ほかならぬ彼の歴史認識での「人生の嘘」が奪われ不幸になったからだ。
  イプセンの戯曲では、親友から妻の「人生の嘘」、すなわち娘が自分の実子ではないことを知らされた父親が、娘を愛することができなくなり、父親の愛を取り戻そうとする無実の娘が自殺してしまう悲劇だ。個人生活では、このような「嘘」は秘密のままであったほうが、しばしば幸福であろう。
 だが、イプセンのこの言葉を使い、個人でも「無意識な人生の嘘=自己欺瞞」を自覚することが、 精神の安定に役立つことを指摘したのがアドラー心理学である(以来欧米では、この概念は、社会学や文学でも援用され定着している)。ましてや、南京大虐 殺、沖縄の集団自決と「慰安婦」の軍による強制などの史実を、故意に抑圧する勢力がはびこり、そのことに無自覚である社会が健全であるとはとても言えな い。それは不安で不幸な社会だ。

  不良中学生内閣
 
  安倍内閣が成立した時、わたしは「これは歴史認識で不良仲間の生徒たちが校長室を占拠した中 学校のようなものだ」と喩えたことがある。なにも日本の国会議員諸氏を、まとめて侮辱するつもりはないが、ドイツの議会政治と比べての正直な感想だ。安倍政権の一年を回顧して、この見方が正しかったことは明らかだ。
 もちろんドイツの国会議員にもお粗末な知性の持ち主がおり、日本の議員にも優れた人物が少なく ないことはそのとおりだ。だが平均すれば、両国の国会議員は知性の質で、大学生と中学生ほどの落差がある。くわしく述べないが、その要因としては、まずは政治教育での鍛えられ方の違いがある。特別に顕著な点は、普遍的な人権擁護と、歴史認識についての厳しさでの極端な違いである。「女性は産む機械」などの発言は、ドイツでは田舎の村会議員でも辞職ものだ。
  何よりも、自国の戦 争犯罪を否定したり、相対化する発言は論外である。二〇〇二年に保守党のキリスト教民主同盟のマーチン・ホーマン議員が、地元の集会で、ロシア革命に多く のユダヤ人が参加していたことを指摘し、「この点ではユダヤ人を『犯罪者民族』と呼べるかもしれない」と発言したことが大問題となった。彼は、自会派からの議員の辞任勧告を拒否したため、党籍を剥奪され、たちまち政治生命を失った。メルケル党首(現首相)からは「この思考構造はドイツの民主主義とは一致しない」、また姉妹党のキリスト教社会同盟のシュトイバー党首からは「彼は憲法の枠外にはみだした」と断罪された。ドイツの戦後史で国会議員が党籍を剥奪されるのは初めてのことだ。
 さらにこの「犯罪者民族:Tätervolk」という言葉は、言語学者たちによる毎年恒例の 「最悪の言葉賞」に選ばれる「栄誉」に輝いた。その理由として、まず「集団の罪」というものはありえず、そして、ありもしないものをユダヤ民族に適用する のは、まぎれもない反ユダヤ主義、人種主義であるとの指摘があった。つまり、彼の世界観とは、根強い反共主義と反ユダヤ主義の結合であり、このような歴史 認識は、間違っており過去の亡霊でしかないということだ。だが彼自身は、なぜこの発言が問題であるのか理解できず、世界観の崩壊と政治生命の喪失ですっかり不幸になった。
 こうして彼の発言は「ホーマン事件」としてドイツ政治史に残ることとなった。ちなみに、第一次 世界大戦後に「戦争犯罪でドイツ人に集団の罪というものはない。罪は無責任に戦争を煽った政治家、軍、新聞などの指導部にある」と一九一九年にいち早く指摘したのは、前述の心理学者アドラーである。

  世界が見捨てた 

 では、一国の首相が同様な発言をしたらどうなるのか。安倍首相の「慰安婦強制否定発言」が、国際世論のなかでまったく同じことになった。そもそも安倍内閣の大半の閣僚が、国家主義(日本では靖国派として顕現する)と根強い反共主義の歴史認識の持ち主であり、この点では、冷戦体制崩壊と、その後の経済のグローバル化のなかでの世界的傾向に即したものだ。旧東欧諸国はもちろん、西欧諸国でも反共右派の 国家主義政党が、さまざまな装いで台頭しているのは事実だ。日本も例外ではない。ドイツですら、主に旧東独地域の地方・州議会に極右政党が議席を占めて、 現在でも大きな問題だ。
 ただ、日本では安倍内閣の成立により、彼らが政権を獲得してしまった。「美しい国」をスローガ ンに、教育基本法を改悪し、防衛庁を省に格上げし、国民投票法を実現し、さて一瀉千里に憲法改悪を実現しようとしたのが、ほかならぬ安倍政権だ。この政権がつまずいたのは、「政治と金」や「年金」であると一般的には信じられている。もちろんその要素も大きい。しかしこれらは、この政権の特徴ではなく、以前からの日本政治の構造的問題なのだ。特徴は歴史認識にあった。これが安倍首相のアキレス腱であった。
二〇〇七年二月の米下院外交委員会の慰安婦問題公聴会に関連し、自民党議連で河野談話を見直そうとする動きがあることについて、安倍首相は三月一日の記者会見で「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった。証拠はなかったのは事実」と答弁し、さらに五日の参議院予算委員会で「狭義の強制性」を「官憲が家に押し入って、人さらいのごとく連れて行く行為」と定義した。本人はいまだに自覚していないだろうが、これが安倍氏が「人生の嘘を信じ込んでいる」ことの告白となった。外交での安倍政権凋落の始まりだ。
 たちまち欧米のメディアが反発し「歴史修正主義者安倍と背後の極右勢力」に関する報道が始まっ た。さらに、十六日には辻元清美議員の質問書に対する政府答弁書で、同様の回答があったため、慰安婦問題を抱えるオランダのバルケンエンデ首相が激怒し、 日本大使が召喚された。対欧米の外交問題となったため「河野談話遵守」路線へ転換してアメリカやオランダに対応したものの、ことすでに遅しであった。
 
 当時わたしは「政府答弁書は安倍内閣が歴史修正主義の立場を採ることを閣議決定で表明したこと になる。撤回する以外に、国際社会ではいかなる弁明の余地もない」と指摘した(注2)。そのうえで『週刊金曜日』で、オランダ臨時軍法会議の強制売春を裏 付ける史料を連載で公表しつつ、同時に世界の動きも伝えた(注3)。その間、決定的であったのは安倍氏と同様な歴史観の極右議員らによる、ワシントンポス ト紙での広告掲載だ。日本の歴史改竄主義者たちが、その名に恥じない「歴史歪曲の事実=嘘」をわざわざ英文で掲載したのだからたまらない。アメリカで安倍氏を擁護する声はゼロになった。結果が参院選翌日の米下院本会議での「慰安婦問題での日本政府の謝罪要求決議」の反論なしの採択である。これは、アメリカの議会による同盟国日本の安倍政権に対する事実上の不信任決議に等しい。前代未聞の出来事であり、ここでアメリカは日本の極右勢力を、正体見たりと見捨てた。
 参院選惨敗、謝罪要求決議、内患外憂ここに極まり、安倍氏は食も細ったようだ。世界には決して通用しない彼の世界観が破綻したのだ。「史実の銃弾」に翼を撃ち抜かれた、あわれな家鴨となった。こうしてホーマン議員と同じく、安倍政権はその歴史認識で世界世論から排除された。

   信頼回復のために 

 さて福田政権は、安倍改造内閣のお下がりにすぎない。世界に通用しない改竄史観の閣僚、つまり不良仲間の中学生も、そのまま多く残っている。いずれにせよ、二〇〇八年の、遅くとも夏の総選挙までの過渡期政権にすぎない。
 また世界情勢も、〇八年はアメリカの大統領選挙後の民主党政権へ向けて大きく変化する。東北アジアでは、南北朝鮮が和解の歴史的な段階に入る可能性は大きい。小泉、安倍政権の偏狭な歴史観のために、北の核問題での六カ国協議ひとつでも、日本は外交で最後尾のお荷物になってしまっている。「拉致問題」に拉致されてしまって、動きのとれない政権ではいけない。必要なのは北朝鮮との国交樹立を具体的に政策化する政権だ。そこでは北朝鮮だけではなく、アジア諸国の「慰安婦」や強制労働の戦争犯罪被害者に対して国家責任を明らかにし、被害補償を実現する立法も不可欠である。
 それを実現する政府と議会を持った時に、日本の政治も失われた信頼を回復し、世界の大学生の仲間入りができるであろう。不幸の原因たる「人生の嘘」を自覚しない限り、決して人も社会も健康で幸せにはなれないのである。(引用本文おわり)

(以下の注は原文公開当時とずれがあるため現時点のものに改訂しました)
 
(注1)「人生の嘘」は、ノルウェー語:livslognen、ドイツ 語:Lebenslüge、英語:life lie 。引用文はドイツ語訳から梶村が翻訳した。イプセン没後百年(二〇〇六年)に、ノルウェー政府は世界中で彼の作品を紹介した。『野鴨』についても日本語で紹介があった。
(注2)梶村→「天日下の凅轍の鮒」、季刊『中帰連』2007年春号。

(注3)この連載と、そこで割愛された資料全文は、本校掲載後に単行本として週刊金曜日より2008年6月資料集→『「慰安婦」強制連行』として刊行され、この問題の研究基本文献となっている。

さらにその内のワシントンポスト紙での歴史改竄広告に対する批判記事は→英訳が公表「The Final Secret of Japanese war crimeされ、 -->各国政府および国連など国際機関での資料とされている。

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手前みそですが、(注3)の資料集はこの問題での必読書のひとつであるため、古本でも価格は落ちていないようです。少し高価ですが是非ご購読下さい。本当は安倍晋三氏のための文献なのですが、彼は読んでいないようですし、多分読んでも理解できないのでしょう。
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追加です。宇都宮さんの東京各地の勝手連のチラシが昨日あたりからいくつもでて来ているようです。みんなで利用しましょう。