2011年9月26日月曜日

36:野田首相国連演説:「南ドイツ新聞」の論評など

日本の原発に関しての最近の「南ドイツ新聞」の記事をふたつ紹介しておきます。
いずれもクリストフ・ナイドハルト特派員によるものです。

ひとつは9月24日掲載の野田首相の国連演説に関する論評です。結論部だけは直訳しておきます:
http://jetzt.sueddeutsche.de/texte/anzeigen/530998

タイトル:「転換ではない転換」
リード:原発の反対派から支持派へ;なぜ日本の首相は立場を変えたか

要旨は「就任演説で原発の新規建設はできないと言っていた野田首相は、国連演説では原発は気候変動対策に必要なので日本の原発をより安全なものにすると述べた」、「これはおそらく、意思が変わったのではなく日本ではよく見られる発言姿勢であると思われる」「日本人はフレンドリーにニコニコしながらハイ、ハイと同意する。誰かを怒らしてしまったら、黙ってしまう。この姿勢は日常生活では攻撃性を防げるかもしれないが、政治では決断を阻害してしまう」
「しかし日本にもこのような曖昧な立場を捨てる政治家もいる」として、菅直人前首相の脱原発発言と、最近の鉢呂大臣の「死の街」発言を挙げ、なぜこのふたりが排除されたかについて、このふたりは政治家王朝の出身ではないと説明した上で以下のように述べています。

Die beiden waren Außenseiter, die sich nicht an die Regeln der politischen Elite hielten, die mit der Atomlobby unter einer Decke steckt. Zu dieser Elite gehören in Japan auch die Medien, die wie die meisten Politiker von den AKW-Betreibern großzügig unterstützt werden.

このふたりは原子力ロビーといっしょに同じ毛布にくるまっている政治エリートたちの規則を守ろうとしない部外者である。日本ではメディアもまた、大半の政治家同様に原発事業主から気前の良い援助を受けているエリートに属している。

Japans Elite hat keine Ideologie, sie duldet viele Meinungen - je nach Gesprächspartner. Ihr einziges Ziel ist es, Macht und Status zu erhalten. Dafür ist nicht wichtig, was einer denkt, sondern mit wem er verbandelt ist. Und weiter ist bedeutsam, dass kein Außenseiter diese Oligarchie spaltet. Noda versucht derzeit, diese Elite zu beruhigen. Er nennt das 'Stabilität schaffen'. Da stören Leute wie Kan und Hachiro, die Stellung beziehen, statt nur Lippenbekenntnisse abzugeben.

日本のエリートにはイデオロギーはなく、話し相手によってさまざまな意見も容認する。彼らのたったひとつの目的は、権力とステータスの保持である。このためには誰が何を考えているかは重要ではなく、彼が誰と結びついているかが重要なのだ。これに加えて大事なのは部外者がこのオルガルフィー(寡占制度)を分裂させないことである。野田がいまやっていることはこのエリートをなだめようとしているのである。彼はこれを「安定をつくる」と称している。菅や鉢呂のような口先だけではない立場を表明する人たちはまさにこのじゃまをすることになるのである。

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梶村;第12回(7月15日)で紹介した同紙の「永田町のノミのサーカス」の続きですね。今回はさらに具体的に、原発ロビーに金で買われている政治家だけでなくそれとぐるになっているメディアもまともに突っ込んで批判しています。日本の戦後政治体制の非民主性を鋭く突いているといえるでしょう。
日本の大新聞のエリート記者さんたちは耳が痛いので、このような「口先だけでない批判」には、いつものようにそれこそ無視することしかできないでしょうね。指摘されているように「黙る」のです。

この論評を紹介するために「南ドイツ新聞」電子版で探したところ、何と同紙の若者向けのページにありました。つまり日本のメディアと政治家の堕落ぶりはドイツの若者用のテキストとして紹介されているのです。このようにして若者は批判力を身につけます。またこのようにして日本の恥はドイツのエリート層に定着しつつあります。


もうひとつは、同記者が福井県の「原発銀座」を訊ねての優れたルポですが、これも小さな同県の住民が原発ロビーにまるっきり買収されている実情をリアルに報告した優れたものです。
ほんとうはこれを全文翻訳して紹介したいのですが、かなり長文なので目下時間がありません。しかしこちらの方はルポですからあまり難しくないのでどこかの大学のドイツ語の授業で翻訳テキストにしていただけませんか?
関西の大学だと実感が伴い良い演習になるのではないかと思います。

タイトル; 「アトム状に分裂した幸福」9月20日掲載
http://www.sueddeutsche.de/politik/praefektur-fukui-in-japan-glueck-zerlegt-in-atome-1.1145364

2011年9月23日金曜日

35:野田首相国連演説は「汚い核兵器/原発」による無差別テロの容認宣言である/追伸あり

昨日、2011年9月22日、ニューヨークの国連で野田首相が行ったフクシマ事故に関する演説は、一夜明けたいまだに首相官邸のホームページに掲載されていません。
これ自体が日本国民を無視した許し難い姿勢の現れです:
http://www.kantei.go.jp/
また総会ではない「会合」なので国連のホームページでも読めません。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=39655&Cr=nuclear&Cr1=

しかたがないので、これまで出てきている英文全文と通信社の「要旨」に頼るしかありません。
いずれ詳しく批判を書きますが、この演説は:

 1)9月19日の東京の6万人デモに集まった日本市民、この日全国でデモに参加し1000万人署名を集めた人々、またとりわけ、この日明治公園でのフクシマのハイロアクションの武藤類子さんの演説に対する日本政府の回答であると受けとめることができます。
武藤さん演説:
http://daysjapanblog.seesaa.net/article/226934666.html

2) 野田演説は「脱原発」に一切触れていないどころか、人類史上最悪の事故進行中にもかかわらず、さらにこの技術を「世界最高の安全性に向けて」徹底的に追究すると決意を述べ、驚くべきことに原発輸出まで行うと述べ、結論で以下のように述べています:

I am confident that, for Fukushima, the day will come when it is remembered as ''the place where, through people's strong will and courage, a new era was opened for the future of humankind.'' 
人類が英知によって原発事故の突きつけた挑戦を克服し、福島が「人々の強い意志と勇気によって人類の未来を切り開いた場所」として思い起こされる日が訪れると確信する。 (共同通信配信「要旨」)

これは、すでに「第21:原発中毒の人々と『人生の嘘』」で報告した原子力委員会の鈴木達治郎氏の思想、すなわちフクシマ事故の被災者を「聖なる犠牲者」として祭り上げようとするものと同じです:
http://tkajimura.blogspot.com/2011/08/blog-post_28.html

 3)この演説は、野田首相が、いまだにいつ何時、最悪の事態を招くかもしれない「集中治療室の患者」でありつづけている日本の実情を無視し、原発事故の本質が、人類だけでなく生きとし生くるものを永遠に脅かす「汚い核兵器」による無差別テロであることを実証しているにもかかわらず、これを正当化はせずとも容認する原発中毒の患者であり、原発推進原理主義者であることを、国際舞台で宣言したものであることだけは断定できます。

このような首相の政府は無責任にも国民を平気で地獄に道連れにします。かつての大日本帝国陸海軍と全く変わっていないドジョウ首相の本音がでました。
恐ろしいことです。

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追伸です。ようやく外務省のホームページに掲載されました。首相官邸は機能していないようですね。
内閣広報は写真だけを提供しています:
原子力安全及び核セキュリティに関する国連ハイレベル会合 野田総理大臣スピーチ 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20110923_101225.html

 これによると結論部分のオリジナルは以下の通り:

14.私は、確信いたします。人類が、その英知によって、今般の事故の突きつけた挑戦を必ずや克服することを。福島が、「人々の強い意思と勇気によって、人類の未来を切り拓いた場所」として思い起こされる日が訪れることを。そして、本日の会議が、原子力安全を最高水準に高めるため、我々が共に次なる行動をとる一里塚となることを。日本は、今回の事故の当事国として、全力でその責務を担い、行動することをお誓いして、私の挨拶といたします。

大事故が世界にもたらした被害も、国民の苦悩も全く無視し、国連で原発推進の突撃喇叭を吹くとんでもない人物です。
「事故の責任を全力で担う」ならば、全力で原発を廃止してほしいというのが国民の意思です。こんな首相は国民の煮えたぎる怒りのなかで、柳川鍋のドジョウのようにセシウム豆腐の中で往生していただくしかありません。これを、とりあえずこれから半年間の闘争目的としましょう。

ついでですが、玄葉外相のスピーチも読めます:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20110923_101750.html

こちらの方は、フクシマ近くの出身のせいか少しましです。

「中長期的には原発の安全性を高めて活用しながら、依存度を引き下げていきます。」
との言葉があり、また被害者の気持ちを伝えようとはしています。高校生の作文のようですが、野田首相よりはるかに正直です。

2011年9月21日水曜日

33の補足:ベルリン選挙で得票数の計算間違いか/赤緑連立成立危うし/追加「連立協定」について

第33で報告しましたように、18日のベルリン議会選挙の結果、赤緑の連立政権が成立の可能性が強いと報告しましたが、今夕の報道によると、リヒテンベルク区のひとつの投票所での票集計の計算間違いで社会民主党が1議席失い左翼党1議席増える可能性が出たとのことです。
もしそうなれば、赤緑連立は過半数プラス1議席となり、これでは非常に不安定な連立となるため、連立交渉の行方は混沌となりそうです。安定した赤黒の大連立となり緑の党は野党になる可能性があります。

ドイツの選挙制度は(1)政党を選ぶ比例代表制と(2)個人候補者を選ぶ複合制度になっているため、かなり複雑で 、過剰議席追加制度で最終議席数が選挙のたびに変わり、わずかな得票集計の間違いが全体の力関係に大きな影響を与えることが、希なケースですがあります。この場合もそうなる可能性が出た疑いがあります。
下手すれば、昨日の暫定集計結果が修正され、最終集計結果がでる10月6日まで公式な結果が分からないというとんでもない事態になる可能性もあります。

しかし、これも予期せぬ海賊党の大躍進がもたらすカオス/大混乱とも言えないことはありません。
昨日、緑の党のトリッティン氏は「次の総選挙で海賊党が連邦議会に進出すれば、赤緑連立が不可能になり、大連立の可能性しかなくなるかもしれない」と警告していますが、まさにその懸念がベルリンですでに現実となったのかもしれません。

いやはや、若者の海賊党恐るべし。しかし面白い! さてどうなるか?

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22日の追伸です。上記のように選挙の暫定最終集計が公式に発表された翌日になって、集計に間違いがあったことがわかり、それによって議席配分が変わるというのは、ベルリンの選挙ではこれまでなかったようです。大半のメディアでは、すでに最終議席配分が以下のようになると報道されています:

社会民主党:47、キリスト教民主同盟:39、緑の党;29、左翼党:20、海賊党:15。

この結果では全議席は149(過半数75)、赤緑連立では76、赤黒連立では86となります。
おそらく、ほぼ間違いなく最終的にはこうなるでしょうが、しかしこれはまだ公式には確定していません。
公式のベルリンの選挙管理委員会の暫定最終集計では、わたしが当日に報告したとおりの別の結果(第33の報告)が掲載されておりまだ変更されていません:
http://www.wahlen-berlin.de/home.asp
http://www.wahlen-berlin.de/wahlen/BE2011/Ergebnis/mandateah/mandateah.asp?sel1=1052&sel2=0670

困ったものです。これに加えて、昨日は西ベルリンの住宅街のゴミ箱から、379通もの記入され郵送された不在者投票の封筒が発見され、大騒ぎになり警察が捜査を始めています。
この選挙区ではこのぐらいの票では議席配分に変化は無いと選管が述べていますが、これも困ったものです。 選管の最終的公式結果は10月6日の発表となるとのことです。

さて、政党の方はこんなごたごたをよそ目に
最初の赤緑の連立の予備会談を終えて。9月21日ベルリン市役所,写真DPA
来るべき連立交渉の予備会談に入っています。ドイツでの選挙後の政党間の連立交渉はドイツ人らしくなかなか、メリハリの利いたもので定式化しています。戦後になっても政党政治が定着できなかった日本との違いがこんなところに顕著に出ていますので、少し詳しく書いておきましょう(日本の陣笠国会議員諸氏の参考にもなるでしょうから)。

連立協定/Koalitionsvertrag はいかにしてできるか

一般的には、まづは第一党が可能性が高いと判断した連立候補の党の親玉を呼び、正式な連立協議に入ることができるか否かを確かめるための政策についての予備会談をします。
社民党のヴォヴェライト市長は21日にまず緑の党のキュナスト氏らを市役所に呼び、最初の話し合いを行いました。ベルリンの両党のトップ各5名だけが会談に参加しています。面白いのは、この話し合いには各党のスポークスマンは外されます。具体的な内容が外に漏れる、とりわけありうる連立相手の他党に漏れるのを防ぐためです。
写真は予定されていた2時間を越えて、昼飯の「ジャガイモスープ」をはさんで4時間後に出てきた短い記者会見で、話し合いの「印象」を語るヴォヴェライト市長とキュナスト氏です。両者とも「非常に良い雰囲気で、具体的な話し合いができ、満足している」と述べ、両党の最大の争点となっている市内のアウトバーン建設などについての「具体的」話し合いの内容は一切述べません。
メディアの印象は全般に「過半数ギリギリだが、雰囲気としては赤緑の本格的な連立交渉が始まりそうだ」というものです。

これに続き、本日22日には市長はキリスト教民主同盟(CDU)のヘンケル氏を招き話し合いをしました。これは予定通りの2時間で終わり、したがってジャガイモスープも出なかったようです。両者とも「お互いの一致点と違いがはっきりした」と述べているだけです。
しかも緑の党とは明日の金曜日に第二回目の前交渉をすることになっていますが、CDUとはその予定がないとのことです。
したがって、明日の緑の党との再度の予備会談が順調であれば、社会民主党は来週月曜日に緑の党と正式な連立協議にはいることを決定するであろうというのが、いまのところの大方の見方です。

その上で、正式な連立交渉が始まれば、今度は各党の政策分野の専門党員が入れ替わり立ち代わり大勢参加して、財政、教育、交通といった各分野の具体的な政策を協議し連立政策を練り上げます。
このようにして、最終的には「連立政策協定書」を作成し、それに両党トップが署名してようやく、新政権が成立し議会が招集されます。
このような連立政党政治の手順を踏むため、選挙後に新政権が正式に発足するまでには、州政府段階では最低ひと月、連邦政府段階では2ヶ月かかるのが普通です。
この連立政策協定書というのは、いわば「連立政権のマニフェスト」とも言えるものです。昨年、日本に滞在していた時に与党民主党の国会議員のみなさんと話す機会があったのですが、「民主党のマニフェストなどは、ドイツの連邦政権の連立協定の目次だけのようなものですよ」と申し上げておきましたが、これは誇張でもなんでもない事実です。名目だけでなく実施する内実があるのです。それでも実行が難しいのが民主主義政治体制の現実です。

ちなみに最近のいくつかの連立協定を簡単に紹介しておきましょう。

現在のベルリン市政府の社会民主党と左翼党の2006年の連立協定です:
http://www.berlin.de/rbmskzl/koalitionsvereinbarung/
 21項目に渡り詳しく取り決められており、PDFでは86頁あります。

次に現在の連邦政府のキリスト教民主/社会同盟と自由民主党の2009年の連立協定です:
http://www.cdu.de/portal2009/29145.htm
約130頁あります。メルケル党首らの署名のある現物の写真を挙げておきます。

大作は2005年秋に成立した連邦政府の大連立のそれですが、これは約二ヶ月かかり約190頁もありました。二国間国際条約のようなものです。

現ドイツ連邦政府の連立協定正本2009年10月、連邦政府のホームページより

2011年9月20日火曜日

34:「ついに日本人も反原発デモをスタート」/ドイツでの報道

写真reuters
9月19日の東京での脱原発大デモについてドイツ語圏でも「ついに日本人も抗議デモを始めた」との印象で多くの良い写真を中心に伝え始めました。これが始まりであるとの期待がテノールです。

いくつか挙げておきますが、以下のサイトの報道に通信社の写真に良いものがあります(特にシュピーゲル誌)のでご覧ください。

Japaner starten Demos gegen Atomkraft
http://www.rockefeller-news.com/25853/japaner-starten-demos-gegen-atomkraft/

Zehntausende Japaner demonstrieren gegen Atomkraft
http://www.spiegel.de/panorama/0,1518,787108,00.html

Immer mehr gehen auf die Straße
http://www.taz.de/Anti-Atomkraft-Demo-in-Tokio/!78370/

Zehntausende Japaner protestieren in Tokio gegen Atomkrafthttp://www.suedostschweiz.ch/politik/zehntausende-japaner-protestieren-tokio-gegen-atomkraft

http://www.n-tv.de/politik/Viele-Japaner-fuerchten-Atomkraft-article4336961.html
写真AFP

2011年9月19日月曜日

33:ベルリン州選挙で海賊党が議席乗っ取り、自民党惨敗で赤緑政権へ/海賊党について追加あり

本日(9月18日)行われたベルリン特別市(州のステータス)の議会選挙の投票締め切り後の出口調査の各政党の得票率の第1報から次のとおり伝えます。暫定確定率がでるまで順次書き入れます:
 なお、数値はARD(ドイツ公共第一放送)とZDF(同第二放送)発表のものを使います。
( )内は前回2006年の得票率%

*18時予測(ARD) *19時集計(ZDF)*24時43分暫定最終得票率*暫定獲得議席数

社会民主党
SPD    29、5  28、6      28、3(30、8)    48

キリスト教民主同盟
CDU       23、5  23、1      23、4(21、3)    39

緑の党
GRÜNE  18.0  17、9      17、6(13、1)    30

左翼党
LINKE   11、5  11、5      11、7(13、4)    20

自由民主党
FDP     2.0   2.0       1、8(7、6)      0  

海賊党
PRATEN   8、5   8、9       8、9(前回0、0)   15

その他    7.0   8、0       8、3
ーーーーーーーーーーーー全議席数152(149定数+3過剰議席)/過半数76
コメント:
*まずの大ニュースは海賊党がドイツの州選挙で一挙に議席を獲得したことです。
緑の党は前回に比べて大きく伸びていますが、明らかに急進リベラルの海賊党に
票を盗られています。もうひとつは連邦政府の連立与党の自由民主党が惨敗し
議席を失ったことが確定したことです。
これで、連邦のメルケル政権は非常に危うくなります。金融危機に面して、野党の支持する
少数政権になる可能性が現実的になるでしょう。(18時書き入れ)

 *今回の選挙は多くの集計予測でも開票から1時間でほぼ固まってきました。
先の第27で予測したように、おそらく社会民主党と緑の党の連立政権になると思われます。
いずれにせよこれまでの社会民主党と左翼党の連立は不可能です。社会民主党には緑の党とキリスト教民主同盟とのふたつの連立の選択肢がありますが、政策の一致点などから緑の党との連立を選択する可能性が大きいでしょう。赤緑のどちらの党員と支持者の多数もそれを望んでいます。
19時段階の得票率では全149議席の内で赤が47、緑が30の議席を獲得し合計で77議席で過半数の75議席を越えています。

さて、海賊党は14あるいは15議席を獲得しそうです。これは彼らが提出している候補者リストが15人ですので、全員当選の可能性もあります。いきなり9%というのは当事者自身が予測していない大躍進で、公共放送までが「海賊が議会を乗っ取り」とやっています。これは世界的なニュースとなるでしょう。民放などは「海賊が首都を乗っ取り」ですからね。

惨めなのは原発維持と新自由主義経済にしがみつき、ここ数日はポピュリズムでメルケル首相のギリシャの金融危機援助に公然と反対した自由民主党です。2%以下というのは歴史的惨敗というよりも、おそらくネオナチ党以下でしょうから、もはや政党としての存在価値を失ったとも言えます。メルケル政権はこの結果を受けて大きな試練に立ちます。自由民主党との連立を解消し、社会民主党との暫定大連立、あるいは野党の支持をとった少数政権として議会で政策毎に多数を確保し、その上で2013年の総選挙を前倒しにする可能性も現実味を帯びてきました。(19時30分書き込み)

*夜中過ぎて暫定得票率がでました。ごらんのように赤緑の連立は過半数をわずかに1議席を上回る76議席だけです。赤黒の大連立では86議席で安定していますが、明日からの連立協議の結果、全体の利害関係からして、おそらく赤緑の連立となるというのが、大方の見方です。(25時半書き込み)

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一夜明けて、新聞のひとこま漫画です。
わが愛するベルリンの漫画家Sakuraiさんの 今日の作品、ベルリーナーツァイトング紙
タイトルは「船上に新人登場」。ヴォヴェライト市長:「おれは船長のままだ。他のことはどうでもいい」。後ろで緑の党の市長候補のキュナストさんが、ラップトップを肩に乗り込んで来た海賊に蹴飛ばされている。ベルリン丸船上。
Berliner Zeitung 19.9.2011 -Heiko Sakurai
 今回いきなり9%もの得票率で15議席を獲得した海賊党は、1979年の西ベルリンの選挙でキュナストさんらの緑の党(当時はまだ「アルタナティヴリステ」と名乗っていた)が登場したときのことを、ベルリン子に思い出させています。この時は、全体で3、7%の得票率で市議会には議席は取れませんでしたが、区議会では議席を獲得し、これがそれまで議会外野党の68年世代が議会に進出する嚆矢となりました。海賊党の党員はベルリンでは約1000人、平均年齢は31歳。全国で12000人、平均年齢29歳であるとのことです。つまりそれから32年後の今、まさに68年世代の子供の世代が親を蹴飛ばして登場した様子をこの漫画はみごとに捉えています。
今回の海賊党はいきなり市議会に殴り込んだので当時よりも驚きは大きいのですが、当時と雰囲気がよく似ています。ただインターネット世代ですので当時より動きが速いのです。これでおそらく次の総選挙では連邦議会進出も現実的になって来ました。2009年の総選挙では全国で2%を獲得しています。

余談ですが、昨日ちょうどこれを書いている時に、たまたま海賊党の若者と同い年ほどの大学生の息子が現れ、テレビでの報道を観ながら「面白い、卒業したら就職しないで海賊党に入ろうか」なんぞと言っておりました。

今回の海賊党が支持層以外の他党からかっぱらった72000票はどこからのものかと言えば、緑の党から16000、社会民主党から13000、左翼党から12000、そして前回の棄権票から21000も獲得していると分析されています。
悪天候にもかかわらず投票率が少し上がったのも海賊党のおかげが大きかったようです。いずれにせよ注目すべきことです。ドイツで新しいことが起こるのは、まずはベルリンから始まるのです。

なお、昨晩の結果を受けての海賊党と自由民主党の対照的な雰囲気の写真がシュピーゲル誌の電子版で観ることができます:
http://www.spiegel.de/fotostrecke/fotostrecke-72991.html

シュピーゲル誌も「一体こいつら何ものだ」と報道を始めています。
ここでは普通はあり得ないことですが15人の当選したそれぞれを写真で紹介しています:
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/0,1518,787001,00.html

2011年9月18日日曜日

お報せ:祝!大沼安史さん「個人新聞」復活

先にお報せしたように、ネット攻撃を受けた大沼安史さんの「個人新聞」が無事に回復し、再び大活躍を始められています。祝復活を申し上げます。

さすがは大沼さん、シュピーゲル誌のシーメンス社の完全原発撤退も早速伝えています:
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/09/post-5204.html

また復活に際して以下のような攻撃の実態を報告されていますので、是非参考にして下さい:

お知らせ] ネット「侵入」攻撃に注意

 http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/09/post-c348.html
このなかで大沼さんは、

知り合いの専門家によると、相当高度な技術レベルをもった方(あるいは集団)による「侵入」オペレーションではないか、とのことです。

こうしたパソコンに対する「ネット攻撃」とともに、私の電話の「盗聴」も行われた(行われている)との感触もっています。詳しくは申し上げませんが、ほぼ間違いのないことです。

 この問題は、同じようなことが他でも相当、起きており、組織的な犯行ではないか、と思われます。

 国会等で追及しなければなりません。

と書かれていますが、わたしも推定しているように、おそらく国家権力が背後にある違法攻撃であると考えて間違いないでしょう。であれば、これ自体が日本の原発推進勢力の実態ですから、是非とも国会で追究すべきでしょう。この段階では、政府に質問し「そのようなことはない」との言質をとっておくべきです。
後にそれが嘘であることがバレた時に責任が追究できるからです。これが民主主義の鉄則です。 

速報:独シーメンス社が原発事業から完全撤退表明/追加あり

速報です。
原子力発電事業の大手ドイツのシーメンス社のペーター・レッシャー社長がシュピーゲル誌のインタヴューで「同社は原子力発電事業から完全に撤退する」と表明しました。シュピーゲル誌電子版が先ほど伝えました:
http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/0,1518,786885,00.html

これによれば:

社長は「われわれにとって原発事業の章は終了した。この決断はフクシマ事故以降のドイツの社会と政治の脱原発への明瞭な回答である」と述べ、シーメンス社はこの分野では「一般の発電所にも使用できる蒸気タービン部門は維持するが、計画中のロシアのロスアトム社との原発建設のジョイントベンチャーはあり得ない」とのことです。
同社はすでに34%の資本参加していたフランスのアルバ社のドイツの子会社であるニュールンベルクのアルバNP社から、アルバ社に6億4800万ユーロ(およそ700億円)を支払うことで撤退することが決定している。

レッシャー社長は「ドイツのエネルギー政策転換は『世紀のプロジェクト』であるとし、2020年までに再生可能エネルギーを35%にすることは可能である」と述べた。

 ーーーーー
以上ですが、欧州ではアレバに次ぐ原発大手のシーメンスが、仏アルバ社との長年の腐れ縁を高額の手切れ金を支払ったうえで、ついに正式に脱原発戦略を表明したことは世界の原発の将来にとって大きなことです。また同社は社長の言葉にあるように、すでに再生エネルギー部門の構築(例えば分散型発電とコジェネなど)にむけて社内体制を大きく変える構造改革に着手しています。
日本の日立や三菱も日本社会と会社の将来のために原発部門からの撤退を具体化する時期でしょう。

今日はベルリン州議会の選挙の投票日です。日本時間の月曜日未明には暫定結果を速報します。この速報のように通信社より早いかどうかは分りませんが、分析は面白いでしょう。お楽しみに。

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明日発売のシュピーゲル誌(9月19日号)の本体(写真)から2頁に渡るインタヴューの重要な部分だけを翻訳しておきます(S:シュピーゲル、L:レッシャー社長):

 タイトル:「時代の一章は終結した」

まず福島の事故が起こった時、レッシャー社長が考えたことへの質問に答えて、「日本で4年家族と生活していた経験があるので、まず日本の友人と、シーメンス社の日本の社員の安全の心配をした。ドイツの州選挙や原発のことは考えなかった」との旨の回答に続いて:

L:しかしここドイツにおいて直ぐに明らかになったのは、ドイツ市民の多数は、この出来事が一体何であるのかを知覚したのです=フクシマは原子力の残余リスクに新たな顔を与えたのです。これにドイツはエネルギー転換政策で応じました。これがまたわたしたちシーメンスにおいても事情を変えました。

S:ということは、あなたはそれまでの儲かる原発事業から最終的に撤退するということですか?

L:その通りです。わたしたちは将来、例えば蒸気タービンなどは今まで通り提供します。しかしこれは単に原子力発電だけでなくガスや石炭発電にも使える技術に限られるということです。原子力発電施設の建設全体やそれへの資本参加には、もはや参加しません。この時代の一章(Kapitel)は私たちにとっては終結しまた。

S:フクシマの帰結としてですか?

L: それに加えて、ドイツ社会の原発撤退への社会的、政治的なはっきりとした姿勢に応じる回答としてです。

S:連邦政府から原発撤退への圧力はありましたか?

L:全くありませんでした。

(この項選挙結果速報のため中断し続きます)