2011年9月26日月曜日

36:野田首相国連演説:「南ドイツ新聞」の論評など

日本の原発に関しての最近の「南ドイツ新聞」の記事をふたつ紹介しておきます。
いずれもクリストフ・ナイドハルト特派員によるものです。

ひとつは9月24日掲載の野田首相の国連演説に関する論評です。結論部だけは直訳しておきます:
http://jetzt.sueddeutsche.de/texte/anzeigen/530998

タイトル:「転換ではない転換」
リード:原発の反対派から支持派へ;なぜ日本の首相は立場を変えたか

要旨は「就任演説で原発の新規建設はできないと言っていた野田首相は、国連演説では原発は気候変動対策に必要なので日本の原発をより安全なものにすると述べた」、「これはおそらく、意思が変わったのではなく日本ではよく見られる発言姿勢であると思われる」「日本人はフレンドリーにニコニコしながらハイ、ハイと同意する。誰かを怒らしてしまったら、黙ってしまう。この姿勢は日常生活では攻撃性を防げるかもしれないが、政治では決断を阻害してしまう」
「しかし日本にもこのような曖昧な立場を捨てる政治家もいる」として、菅直人前首相の脱原発発言と、最近の鉢呂大臣の「死の街」発言を挙げ、なぜこのふたりが排除されたかについて、このふたりは政治家王朝の出身ではないと説明した上で以下のように述べています。

Die beiden waren Außenseiter, die sich nicht an die Regeln der politischen Elite hielten, die mit der Atomlobby unter einer Decke steckt. Zu dieser Elite gehören in Japan auch die Medien, die wie die meisten Politiker von den AKW-Betreibern großzügig unterstützt werden.

このふたりは原子力ロビーといっしょに同じ毛布にくるまっている政治エリートたちの規則を守ろうとしない部外者である。日本ではメディアもまた、大半の政治家同様に原発事業主から気前の良い援助を受けているエリートに属している。

Japans Elite hat keine Ideologie, sie duldet viele Meinungen - je nach Gesprächspartner. Ihr einziges Ziel ist es, Macht und Status zu erhalten. Dafür ist nicht wichtig, was einer denkt, sondern mit wem er verbandelt ist. Und weiter ist bedeutsam, dass kein Außenseiter diese Oligarchie spaltet. Noda versucht derzeit, diese Elite zu beruhigen. Er nennt das 'Stabilität schaffen'. Da stören Leute wie Kan und Hachiro, die Stellung beziehen, statt nur Lippenbekenntnisse abzugeben.

日本のエリートにはイデオロギーはなく、話し相手によってさまざまな意見も容認する。彼らのたったひとつの目的は、権力とステータスの保持である。このためには誰が何を考えているかは重要ではなく、彼が誰と結びついているかが重要なのだ。これに加えて大事なのは部外者がこのオルガルフィー(寡占制度)を分裂させないことである。野田がいまやっていることはこのエリートをなだめようとしているのである。彼はこれを「安定をつくる」と称している。菅や鉢呂のような口先だけではない立場を表明する人たちはまさにこのじゃまをすることになるのである。

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梶村;第12回(7月15日)で紹介した同紙の「永田町のノミのサーカス」の続きですね。今回はさらに具体的に、原発ロビーに金で買われている政治家だけでなくそれとぐるになっているメディアもまともに突っ込んで批判しています。日本の戦後政治体制の非民主性を鋭く突いているといえるでしょう。
日本の大新聞のエリート記者さんたちは耳が痛いので、このような「口先だけでない批判」には、いつものようにそれこそ無視することしかできないでしょうね。指摘されているように「黙る」のです。

この論評を紹介するために「南ドイツ新聞」電子版で探したところ、何と同紙の若者向けのページにありました。つまり日本のメディアと政治家の堕落ぶりはドイツの若者用のテキストとして紹介されているのです。このようにして若者は批判力を身につけます。またこのようにして日本の恥はドイツのエリート層に定着しつつあります。


もうひとつは、同記者が福井県の「原発銀座」を訊ねての優れたルポですが、これも小さな同県の住民が原発ロビーにまるっきり買収されている実情をリアルに報告した優れたものです。
ほんとうはこれを全文翻訳して紹介したいのですが、かなり長文なので目下時間がありません。しかしこちらの方はルポですからあまり難しくないのでどこかの大学のドイツ語の授業で翻訳テキストにしていただけませんか?
関西の大学だと実感が伴い良い演習になるのではないかと思います。

タイトル; 「アトム状に分裂した幸福」9月20日掲載
http://www.sueddeutsche.de/politik/praefektur-fukui-in-japan-glueck-zerlegt-in-atome-1.1145364

2011年9月23日金曜日

35:野田首相国連演説は「汚い核兵器/原発」による無差別テロの容認宣言である/追伸あり

昨日、2011年9月22日、ニューヨークの国連で野田首相が行ったフクシマ事故に関する演説は、一夜明けたいまだに首相官邸のホームページに掲載されていません。
これ自体が日本国民を無視した許し難い姿勢の現れです:
http://www.kantei.go.jp/
また総会ではない「会合」なので国連のホームページでも読めません。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=39655&Cr=nuclear&Cr1=

しかたがないので、これまで出てきている英文全文と通信社の「要旨」に頼るしかありません。
いずれ詳しく批判を書きますが、この演説は:

 1)9月19日の東京の6万人デモに集まった日本市民、この日全国でデモに参加し1000万人署名を集めた人々、またとりわけ、この日明治公園でのフクシマのハイロアクションの武藤類子さんの演説に対する日本政府の回答であると受けとめることができます。
武藤さん演説:
http://daysjapanblog.seesaa.net/article/226934666.html

2) 野田演説は「脱原発」に一切触れていないどころか、人類史上最悪の事故進行中にもかかわらず、さらにこの技術を「世界最高の安全性に向けて」徹底的に追究すると決意を述べ、驚くべきことに原発輸出まで行うと述べ、結論で以下のように述べています:

I am confident that, for Fukushima, the day will come when it is remembered as ''the place where, through people's strong will and courage, a new era was opened for the future of humankind.'' 
人類が英知によって原発事故の突きつけた挑戦を克服し、福島が「人々の強い意志と勇気によって人類の未来を切り開いた場所」として思い起こされる日が訪れると確信する。 (共同通信配信「要旨」)

これは、すでに「第21:原発中毒の人々と『人生の嘘』」で報告した原子力委員会の鈴木達治郎氏の思想、すなわちフクシマ事故の被災者を「聖なる犠牲者」として祭り上げようとするものと同じです:
http://tkajimura.blogspot.com/2011/08/blog-post_28.html

 3)この演説は、野田首相が、いまだにいつ何時、最悪の事態を招くかもしれない「集中治療室の患者」でありつづけている日本の実情を無視し、原発事故の本質が、人類だけでなく生きとし生くるものを永遠に脅かす「汚い核兵器」による無差別テロであることを実証しているにもかかわらず、これを正当化はせずとも容認する原発中毒の患者であり、原発推進原理主義者であることを、国際舞台で宣言したものであることだけは断定できます。

このような首相の政府は無責任にも国民を平気で地獄に道連れにします。かつての大日本帝国陸海軍と全く変わっていないドジョウ首相の本音がでました。
恐ろしいことです。

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追伸です。ようやく外務省のホームページに掲載されました。首相官邸は機能していないようですね。
内閣広報は写真だけを提供しています:
原子力安全及び核セキュリティに関する国連ハイレベル会合 野田総理大臣スピーチ 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20110923_101225.html

 これによると結論部分のオリジナルは以下の通り:

14.私は、確信いたします。人類が、その英知によって、今般の事故の突きつけた挑戦を必ずや克服することを。福島が、「人々の強い意思と勇気によって、人類の未来を切り拓いた場所」として思い起こされる日が訪れることを。そして、本日の会議が、原子力安全を最高水準に高めるため、我々が共に次なる行動をとる一里塚となることを。日本は、今回の事故の当事国として、全力でその責務を担い、行動することをお誓いして、私の挨拶といたします。

大事故が世界にもたらした被害も、国民の苦悩も全く無視し、国連で原発推進の突撃喇叭を吹くとんでもない人物です。
「事故の責任を全力で担う」ならば、全力で原発を廃止してほしいというのが国民の意思です。こんな首相は国民の煮えたぎる怒りのなかで、柳川鍋のドジョウのようにセシウム豆腐の中で往生していただくしかありません。これを、とりあえずこれから半年間の闘争目的としましょう。

ついでですが、玄葉外相のスピーチも読めます:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20110923_101750.html

こちらの方は、フクシマ近くの出身のせいか少しましです。

「中長期的には原発の安全性を高めて活用しながら、依存度を引き下げていきます。」
との言葉があり、また被害者の気持ちを伝えようとはしています。高校生の作文のようですが、野田首相よりはるかに正直です。

2011年9月21日水曜日

33の補足:ベルリン選挙で得票数の計算間違いか/赤緑連立成立危うし/追加「連立協定」について

第33で報告しましたように、18日のベルリン議会選挙の結果、赤緑の連立政権が成立の可能性が強いと報告しましたが、今夕の報道によると、リヒテンベルク区のひとつの投票所での票集計の計算間違いで社会民主党が1議席失い左翼党1議席増える可能性が出たとのことです。
もしそうなれば、赤緑連立は過半数プラス1議席となり、これでは非常に不安定な連立となるため、連立交渉の行方は混沌となりそうです。安定した赤黒の大連立となり緑の党は野党になる可能性があります。

ドイツの選挙制度は(1)政党を選ぶ比例代表制と(2)個人候補者を選ぶ複合制度になっているため、かなり複雑で 、過剰議席追加制度で最終議席数が選挙のたびに変わり、わずかな得票集計の間違いが全体の力関係に大きな影響を与えることが、希なケースですがあります。この場合もそうなる可能性が出た疑いがあります。
下手すれば、昨日の暫定集計結果が修正され、最終集計結果がでる10月6日まで公式な結果が分からないというとんでもない事態になる可能性もあります。

しかし、これも予期せぬ海賊党の大躍進がもたらすカオス/大混乱とも言えないことはありません。
昨日、緑の党のトリッティン氏は「次の総選挙で海賊党が連邦議会に進出すれば、赤緑連立が不可能になり、大連立の可能性しかなくなるかもしれない」と警告していますが、まさにその懸念がベルリンですでに現実となったのかもしれません。

いやはや、若者の海賊党恐るべし。しかし面白い! さてどうなるか?

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22日の追伸です。上記のように選挙の暫定最終集計が公式に発表された翌日になって、集計に間違いがあったことがわかり、それによって議席配分が変わるというのは、ベルリンの選挙ではこれまでなかったようです。大半のメディアでは、すでに最終議席配分が以下のようになると報道されています:

社会民主党:47、キリスト教民主同盟:39、緑の党;29、左翼党:20、海賊党:15。

この結果では全議席は149(過半数75)、赤緑連立では76、赤黒連立では86となります。
おそらく、ほぼ間違いなく最終的にはこうなるでしょうが、しかしこれはまだ公式には確定していません。
公式のベルリンの選挙管理委員会の暫定最終集計では、わたしが当日に報告したとおりの別の結果(第33の報告)が掲載されておりまだ変更されていません:
http://www.wahlen-berlin.de/home.asp
http://www.wahlen-berlin.de/wahlen/BE2011/Ergebnis/mandateah/mandateah.asp?sel1=1052&sel2=0670

困ったものです。これに加えて、昨日は西ベルリンの住宅街のゴミ箱から、379通もの記入され郵送された不在者投票の封筒が発見され、大騒ぎになり警察が捜査を始めています。
この選挙区ではこのぐらいの票では議席配分に変化は無いと選管が述べていますが、これも困ったものです。 選管の最終的公式結果は10月6日の発表となるとのことです。

さて、政党の方はこんなごたごたをよそ目に
最初の赤緑の連立の予備会談を終えて。9月21日ベルリン市役所,写真DPA
来るべき連立交渉の予備会談に入っています。ドイツでの選挙後の政党間の連立交渉はドイツ人らしくなかなか、メリハリの利いたもので定式化しています。戦後になっても政党政治が定着できなかった日本との違いがこんなところに顕著に出ていますので、少し詳しく書いておきましょう(日本の陣笠国会議員諸氏の参考にもなるでしょうから)。

連立協定/Koalitionsvertrag はいかにしてできるか

一般的には、まづは第一党が可能性が高いと判断した連立候補の党の親玉を呼び、正式な連立協議に入ることができるか否かを確かめるための政策についての予備会談をします。
社民党のヴォヴェライト市長は21日にまず緑の党のキュナスト氏らを市役所に呼び、最初の話し合いを行いました。ベルリンの両党のトップ各5名だけが会談に参加しています。面白いのは、この話し合いには各党のスポークスマンは外されます。具体的な内容が外に漏れる、とりわけありうる連立相手の他党に漏れるのを防ぐためです。
写真は予定されていた2時間を越えて、昼飯の「ジャガイモスープ」をはさんで4時間後に出てきた短い記者会見で、話し合いの「印象」を語るヴォヴェライト市長とキュナスト氏です。両者とも「非常に良い雰囲気で、具体的な話し合いができ、満足している」と述べ、両党の最大の争点となっている市内のアウトバーン建設などについての「具体的」話し合いの内容は一切述べません。
メディアの印象は全般に「過半数ギリギリだが、雰囲気としては赤緑の本格的な連立交渉が始まりそうだ」というものです。

これに続き、本日22日には市長はキリスト教民主同盟(CDU)のヘンケル氏を招き話し合いをしました。これは予定通りの2時間で終わり、したがってジャガイモスープも出なかったようです。両者とも「お互いの一致点と違いがはっきりした」と述べているだけです。
しかも緑の党とは明日の金曜日に第二回目の前交渉をすることになっていますが、CDUとはその予定がないとのことです。
したがって、明日の緑の党との再度の予備会談が順調であれば、社会民主党は来週月曜日に緑の党と正式な連立協議にはいることを決定するであろうというのが、いまのところの大方の見方です。

その上で、正式な連立交渉が始まれば、今度は各党の政策分野の専門党員が入れ替わり立ち代わり大勢参加して、財政、教育、交通といった各分野の具体的な政策を協議し連立政策を練り上げます。
このようにして、最終的には「連立政策協定書」を作成し、それに両党トップが署名してようやく、新政権が成立し議会が招集されます。
このような連立政党政治の手順を踏むため、選挙後に新政権が正式に発足するまでには、州政府段階では最低ひと月、連邦政府段階では2ヶ月かかるのが普通です。
この連立政策協定書というのは、いわば「連立政権のマニフェスト」とも言えるものです。昨年、日本に滞在していた時に与党民主党の国会議員のみなさんと話す機会があったのですが、「民主党のマニフェストなどは、ドイツの連邦政権の連立協定の目次だけのようなものですよ」と申し上げておきましたが、これは誇張でもなんでもない事実です。名目だけでなく実施する内実があるのです。それでも実行が難しいのが民主主義政治体制の現実です。

ちなみに最近のいくつかの連立協定を簡単に紹介しておきましょう。

現在のベルリン市政府の社会民主党と左翼党の2006年の連立協定です:
http://www.berlin.de/rbmskzl/koalitionsvereinbarung/
 21項目に渡り詳しく取り決められており、PDFでは86頁あります。

次に現在の連邦政府のキリスト教民主/社会同盟と自由民主党の2009年の連立協定です:
http://www.cdu.de/portal2009/29145.htm
約130頁あります。メルケル党首らの署名のある現物の写真を挙げておきます。

大作は2005年秋に成立した連邦政府の大連立のそれですが、これは約二ヶ月かかり約190頁もありました。二国間国際条約のようなものです。

現ドイツ連邦政府の連立協定正本2009年10月、連邦政府のホームページより

2011年9月20日火曜日

34:「ついに日本人も反原発デモをスタート」/ドイツでの報道

写真reuters
9月19日の東京での脱原発大デモについてドイツ語圏でも「ついに日本人も抗議デモを始めた」との印象で多くの良い写真を中心に伝え始めました。これが始まりであるとの期待がテノールです。

いくつか挙げておきますが、以下のサイトの報道に通信社の写真に良いものがあります(特にシュピーゲル誌)のでご覧ください。

Japaner starten Demos gegen Atomkraft
http://www.rockefeller-news.com/25853/japaner-starten-demos-gegen-atomkraft/

Zehntausende Japaner demonstrieren gegen Atomkraft
http://www.spiegel.de/panorama/0,1518,787108,00.html

Immer mehr gehen auf die Straße
http://www.taz.de/Anti-Atomkraft-Demo-in-Tokio/!78370/

Zehntausende Japaner protestieren in Tokio gegen Atomkrafthttp://www.suedostschweiz.ch/politik/zehntausende-japaner-protestieren-tokio-gegen-atomkraft

http://www.n-tv.de/politik/Viele-Japaner-fuerchten-Atomkraft-article4336961.html
写真AFP

2011年9月19日月曜日

33:ベルリン州選挙で海賊党が議席乗っ取り、自民党惨敗で赤緑政権へ/海賊党について追加あり

本日(9月18日)行われたベルリン特別市(州のステータス)の議会選挙の投票締め切り後の出口調査の各政党の得票率の第1報から次のとおり伝えます。暫定確定率がでるまで順次書き入れます:
 なお、数値はARD(ドイツ公共第一放送)とZDF(同第二放送)発表のものを使います。
( )内は前回2006年の得票率%

*18時予測(ARD) *19時集計(ZDF)*24時43分暫定最終得票率*暫定獲得議席数

社会民主党
SPD    29、5  28、6      28、3(30、8)    48

キリスト教民主同盟
CDU       23、5  23、1      23、4(21、3)    39

緑の党
GRÜNE  18.0  17、9      17、6(13、1)    30

左翼党
LINKE   11、5  11、5      11、7(13、4)    20

自由民主党
FDP     2.0   2.0       1、8(7、6)      0  

海賊党
PRATEN   8、5   8、9       8、9(前回0、0)   15

その他    7.0   8、0       8、3
ーーーーーーーーーーーー全議席数152(149定数+3過剰議席)/過半数76
コメント:
*まずの大ニュースは海賊党がドイツの州選挙で一挙に議席を獲得したことです。
緑の党は前回に比べて大きく伸びていますが、明らかに急進リベラルの海賊党に
票を盗られています。もうひとつは連邦政府の連立与党の自由民主党が惨敗し
議席を失ったことが確定したことです。
これで、連邦のメルケル政権は非常に危うくなります。金融危機に面して、野党の支持する
少数政権になる可能性が現実的になるでしょう。(18時書き入れ)

 *今回の選挙は多くの集計予測でも開票から1時間でほぼ固まってきました。
先の第27で予測したように、おそらく社会民主党と緑の党の連立政権になると思われます。
いずれにせよこれまでの社会民主党と左翼党の連立は不可能です。社会民主党には緑の党とキリスト教民主同盟とのふたつの連立の選択肢がありますが、政策の一致点などから緑の党との連立を選択する可能性が大きいでしょう。赤緑のどちらの党員と支持者の多数もそれを望んでいます。
19時段階の得票率では全149議席の内で赤が47、緑が30の議席を獲得し合計で77議席で過半数の75議席を越えています。

さて、海賊党は14あるいは15議席を獲得しそうです。これは彼らが提出している候補者リストが15人ですので、全員当選の可能性もあります。いきなり9%というのは当事者自身が予測していない大躍進で、公共放送までが「海賊が議会を乗っ取り」とやっています。これは世界的なニュースとなるでしょう。民放などは「海賊が首都を乗っ取り」ですからね。

惨めなのは原発維持と新自由主義経済にしがみつき、ここ数日はポピュリズムでメルケル首相のギリシャの金融危機援助に公然と反対した自由民主党です。2%以下というのは歴史的惨敗というよりも、おそらくネオナチ党以下でしょうから、もはや政党としての存在価値を失ったとも言えます。メルケル政権はこの結果を受けて大きな試練に立ちます。自由民主党との連立を解消し、社会民主党との暫定大連立、あるいは野党の支持をとった少数政権として議会で政策毎に多数を確保し、その上で2013年の総選挙を前倒しにする可能性も現実味を帯びてきました。(19時30分書き込み)

*夜中過ぎて暫定得票率がでました。ごらんのように赤緑の連立は過半数をわずかに1議席を上回る76議席だけです。赤黒の大連立では86議席で安定していますが、明日からの連立協議の結果、全体の利害関係からして、おそらく赤緑の連立となるというのが、大方の見方です。(25時半書き込み)

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一夜明けて、新聞のひとこま漫画です。
わが愛するベルリンの漫画家Sakuraiさんの 今日の作品、ベルリーナーツァイトング紙
タイトルは「船上に新人登場」。ヴォヴェライト市長:「おれは船長のままだ。他のことはどうでもいい」。後ろで緑の党の市長候補のキュナストさんが、ラップトップを肩に乗り込んで来た海賊に蹴飛ばされている。ベルリン丸船上。
Berliner Zeitung 19.9.2011 -Heiko Sakurai
 今回いきなり9%もの得票率で15議席を獲得した海賊党は、1979年の西ベルリンの選挙でキュナストさんらの緑の党(当時はまだ「アルタナティヴリステ」と名乗っていた)が登場したときのことを、ベルリン子に思い出させています。この時は、全体で3、7%の得票率で市議会には議席は取れませんでしたが、区議会では議席を獲得し、これがそれまで議会外野党の68年世代が議会に進出する嚆矢となりました。海賊党の党員はベルリンでは約1000人、平均年齢は31歳。全国で12000人、平均年齢29歳であるとのことです。つまりそれから32年後の今、まさに68年世代の子供の世代が親を蹴飛ばして登場した様子をこの漫画はみごとに捉えています。
今回の海賊党はいきなり市議会に殴り込んだので当時よりも驚きは大きいのですが、当時と雰囲気がよく似ています。ただインターネット世代ですので当時より動きが速いのです。これでおそらく次の総選挙では連邦議会進出も現実的になって来ました。2009年の総選挙では全国で2%を獲得しています。

余談ですが、昨日ちょうどこれを書いている時に、たまたま海賊党の若者と同い年ほどの大学生の息子が現れ、テレビでの報道を観ながら「面白い、卒業したら就職しないで海賊党に入ろうか」なんぞと言っておりました。

今回の海賊党が支持層以外の他党からかっぱらった72000票はどこからのものかと言えば、緑の党から16000、社会民主党から13000、左翼党から12000、そして前回の棄権票から21000も獲得していると分析されています。
悪天候にもかかわらず投票率が少し上がったのも海賊党のおかげが大きかったようです。いずれにせよ注目すべきことです。ドイツで新しいことが起こるのは、まずはベルリンから始まるのです。

なお、昨晩の結果を受けての海賊党と自由民主党の対照的な雰囲気の写真がシュピーゲル誌の電子版で観ることができます:
http://www.spiegel.de/fotostrecke/fotostrecke-72991.html

シュピーゲル誌も「一体こいつら何ものだ」と報道を始めています。
ここでは普通はあり得ないことですが15人の当選したそれぞれを写真で紹介しています:
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/0,1518,787001,00.html

2011年9月18日日曜日

お報せ:祝!大沼安史さん「個人新聞」復活

先にお報せしたように、ネット攻撃を受けた大沼安史さんの「個人新聞」が無事に回復し、再び大活躍を始められています。祝復活を申し上げます。

さすがは大沼さん、シュピーゲル誌のシーメンス社の完全原発撤退も早速伝えています:
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/09/post-5204.html

また復活に際して以下のような攻撃の実態を報告されていますので、是非参考にして下さい:

お知らせ] ネット「侵入」攻撃に注意

 http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/09/post-c348.html
このなかで大沼さんは、

知り合いの専門家によると、相当高度な技術レベルをもった方(あるいは集団)による「侵入」オペレーションではないか、とのことです。

こうしたパソコンに対する「ネット攻撃」とともに、私の電話の「盗聴」も行われた(行われている)との感触もっています。詳しくは申し上げませんが、ほぼ間違いのないことです。

 この問題は、同じようなことが他でも相当、起きており、組織的な犯行ではないか、と思われます。

 国会等で追及しなければなりません。

と書かれていますが、わたしも推定しているように、おそらく国家権力が背後にある違法攻撃であると考えて間違いないでしょう。であれば、これ自体が日本の原発推進勢力の実態ですから、是非とも国会で追究すべきでしょう。この段階では、政府に質問し「そのようなことはない」との言質をとっておくべきです。
後にそれが嘘であることがバレた時に責任が追究できるからです。これが民主主義の鉄則です。 

速報:独シーメンス社が原発事業から完全撤退表明/追加あり

速報です。
原子力発電事業の大手ドイツのシーメンス社のペーター・レッシャー社長がシュピーゲル誌のインタヴューで「同社は原子力発電事業から完全に撤退する」と表明しました。シュピーゲル誌電子版が先ほど伝えました:
http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/0,1518,786885,00.html

これによれば:

社長は「われわれにとって原発事業の章は終了した。この決断はフクシマ事故以降のドイツの社会と政治の脱原発への明瞭な回答である」と述べ、シーメンス社はこの分野では「一般の発電所にも使用できる蒸気タービン部門は維持するが、計画中のロシアのロスアトム社との原発建設のジョイントベンチャーはあり得ない」とのことです。
同社はすでに34%の資本参加していたフランスのアルバ社のドイツの子会社であるニュールンベルクのアルバNP社から、アルバ社に6億4800万ユーロ(およそ700億円)を支払うことで撤退することが決定している。

レッシャー社長は「ドイツのエネルギー政策転換は『世紀のプロジェクト』であるとし、2020年までに再生可能エネルギーを35%にすることは可能である」と述べた。

 ーーーーー
以上ですが、欧州ではアレバに次ぐ原発大手のシーメンスが、仏アルバ社との長年の腐れ縁を高額の手切れ金を支払ったうえで、ついに正式に脱原発戦略を表明したことは世界の原発の将来にとって大きなことです。また同社は社長の言葉にあるように、すでに再生エネルギー部門の構築(例えば分散型発電とコジェネなど)にむけて社内体制を大きく変える構造改革に着手しています。
日本の日立や三菱も日本社会と会社の将来のために原発部門からの撤退を具体化する時期でしょう。

今日はベルリン州議会の選挙の投票日です。日本時間の月曜日未明には暫定結果を速報します。この速報のように通信社より早いかどうかは分りませんが、分析は面白いでしょう。お楽しみに。

ーーーーーーーーーー
明日発売のシュピーゲル誌(9月19日号)の本体(写真)から2頁に渡るインタヴューの重要な部分だけを翻訳しておきます(S:シュピーゲル、L:レッシャー社長):

 タイトル:「時代は終結した」

まず福島の事故が起こった時、レッシャー社長が考えたことへの質問に答えて、「日本で4年家族と生活していた経験があるので、まず日本の友人と、シーメンス社の日本の社員の安全の心配をした。ドイツの州選挙や原発のことは考えなかった」との旨の回答に続いて:

L:しかしここドイツにおいて直ぐに明らかになったのは、ドイツ市民の多数は、この出来事が一体何であるのかを知覚したのです=フクシマは原子力の残余リスクに新たな顔を与えたのです。これにドイツはエネルギー転換政策で応じました。これがまたわたしたちシーメンスにおいても事情を変えました。

S:ということは、あなたはそれまでの儲かる原発事業から最終的に撤退するということですか?

L:その通りです。わたしたちは将来、例えば蒸気タービンなどは今まで通り提供します。しかしこれは単に原子力発電だけでなくガスや石炭発電にも使える技術に限られるということです。原子力発電施設の建設全体やそれへの資本参加には、もはや参加しません。この時代(Kapitel)は私たちにとっては終結しまた。

S:フクシマの帰結としてですか?

L: それに加えて、ドイツ社会の原発撤退への社会的、政治的なはっきりとした姿勢に応じる回答としてです。

S:連邦政府から原発撤退への圧力はありましたか?

L:全くありませんでした。

(この項選挙結果速報のため中断し続きます) 
 

2011年9月17日土曜日

32:北斎とセシウムと文殊菩薩(2)セシウムを喰らう染料

http://www.seilnacht.com/Lexikon/preuss2b.より転載
さて、9・11には、ベルリンに平和の青い折り鶴(第30)まで登場し、これはベルリーナーブラウの姿を期せずして見せてくれたのかもしれません。というのは、この青い染料は今でもいたるところに使用されており、明るい青の折り紙にも普通に使われているからです。
先にも書きましたように、葛飾北斎の1783年の「富岳三六景 」にもこれを版画の顔料として豊富に使っており、この顔料なしには彼の傑作も生まれなかったでしょう。しかも非常に安定しているため色彩も当時からほぼ変わっていないといわれています。左のある百科事典からの転載写真がこの染料です。


文末に参考となるサイトを紹介しておきますが、この染料は1706年にベルリンのヨハン・ヤコブ・ ディースバッハという染料製造職人が、当時は非常に高価だったカイガラムシから得られるえんじ色の染料の合成をミョウバンなどと煮詰めて合成している時に、必要な炭酸カリウムが不足し、同僚が油脂の除去に使った汚れた残りをそれとは知らず使ったところ、赤ではなく濃い青が沈殿したのです。つまり偶然により発見されたのです(1、2)。

それまでは明るい青の顔料は瑠璃などの黄金より高価な天然鉱物の粉末しかなかったものですから、これは錬金術師も顔負けの大発見であったといえるでしょう。しめたとばかり、ディースバッハさん、製法を極秘にして、さっそく需要の多い当時のメトロポールであったブルボン王朝はパリに進出し製造を始め大成功したようです。
ところがまだ特許権がなかった悲しさか、1726年にはイングランドの競争相手がほぼ同じ製法を見つけ、原料も安価なため価格が大暴落し大量生産となったとのことです。それを中国の商人が大量に輸入し、その一部が平戸経由で日本に入ってきたとのことです。だから、当時の浮世絵版画師の中では例外的な開明派の北斎もふんだんにこの顔料が使えたのです。鎖国の日本の北斎もちゃんと当時のハイテク商品と経済のグローバル化の恩恵を受けていた一例といえましょう。

さて、発明者の故郷のプロイセンでは、この安価となったこの染料を軍服に使ったため、一般にはプロイセンブラウ(独)、プルシアンブルー(英)と通称されるようになりました。いわばプロイセン軍国主義の象徴的な色となったわけです。フリードリッヒ大王からビスマルクまで軍服はこの鮮やかな青でした。万年筆の青インクはいまでもこれが使われているとのことです。
ヴィキペディアより転載
余談ですが、この絵は1871年1月18日、普仏戦争で勝利しパリを占領したプロイセン軍がヴェルサイユ宮殿の鏡の間でドイツ帝国の建国を宣言したときの様子を描いたものです。ナポレオン戦争から始まり第二次世界大戦終結まで続いたフランスとプロイセンの長い対立の一幕です。壇上のヴルヘルム1世などは青の軍服を着ていますが、真ん中に立っているビスマルクは白の軍服です。ところがこれは史実ではなく実際には彼もやはり青の軍服であったそうです。
北斎展をちょうど夏休みにベルリンの文書館で研究中のドイツ史の芝健介教授を、古文書の山の中からさそいだして一緒に観たのですが、その後、ベルリーナブラウに話が及んだとき、教授からそのことを聴きました。同じ青にするとビスマルクが目立たないから画家が白の軍服にしたそうです。笑うべき史実の改竄ですね。(この絵を観ていると、後にゲーリングが似たような白の元帥服を着て威張っていましたが。ひょっとしたらこの絵のビスマルクの真似をしたのではないかと疑われますね。これこそナチスの研究者である芝教授に訊ねる質問です)

そこで、わたしの方からは「このベルリーナブラウはセシウム137を喰らう染料である」との話をしました。教授は「これは奇想天外な」と驚かれていました。その通りですが、これは事実です。
 わたしがこれを知ったのは、福島事故が起こってしばらくした3月22日のディツァイト紙の電子版報道によってです。
「薬品としての『プロイセンブラウ』で放射性セシウムに対抗/有名な染料は体内のセシウム137を吸収する。放射能汚染を防ぐことはできないが、しかし被害と病を縮小できる」との見出しで、ベルリンの薬品会社のその名もずばり「ベルリーナーブラウ」というセシウム解毒剤についてくわしく紹介してあります(3)。





セシウム解毒剤「ベルリーナブラウ」Heyl社のホームページより転載
この写真はそのハイル社のホームページ(4)から転載しましたが、調べてみるとこの薬品は、ドイツとアメリカに続き、昨年10月から日本でも厚生労働省により試薬として厳しい管理の下で(全例調査の実施を条件として)使用が許可になっているとのことです。すでに日本でも製品としてあるとのことです。次の写真にある「Radiogardase」という商品名です。
詳しいことは、放射線医学総合研究所の緊急被ばく医療センターの注意書きをご覧ください。
ここのプルシアンブルー使用に関する注意のPDFを参照;
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i5

放射線医学総合研究所のHPより転載


この薬品の要点は「(ヨード剤のように)あらかじめ服用しセシウム被曝を予防することはできないが、大量に体内被曝した際には服用によりかなりのセシウム137を取り込み体外に排泄する効果がある」とのことです。当然排泄物も青となるそうです。
同報道によれば、同社のこの薬品は先に紹介した1987年のブラジルの ゴイアニアの汚染事故(第25、26で報告)の際にすでに使用されたとのことです。

さらに、体内被曝だけでなくベルリーナブラウは、体内被曝だけではなく土壌のセシウム除染に活躍しそうです。ちょうど北斎展が始まった8月末にNHKも以下のように伝えています(すでにネットでは読めないので全文を挙げておきます):
ーーーーーーーーーーーーーーー
“新技術でセシウムを除去”
8月31日 21時23分 NHK

土壌に含まれるセシウムだけをより分け取り除く新しい技術を開発したと茨城県つくば市の産業技術総合研究所が発表しました。汚染土壌の表面を削り取る方法に比べて廃棄物の量が大幅に少なくなるということです。

発表したのは茨城県つくば市にある産業技術総合研究所の川本徹研究グループ長らのグループです。この技術は、土壌に含まれるセシウムを低い濃度の酸で抽出したあと、顔料に吸着させるもので、99.5パーセントのセシウムを取り除くことができるということです。東京電力福島第一原子力発電所の事故で広がった放射性セシウムに汚染された土壌への対策として、現在、表面を削り取る方法が主に行われていますが、削った土壌の廃棄方法が課題となっています。研究グループによりますと、この技術はセシウムだけを分離するため、表面を削り取る方法に比べて、廃棄物の量がおよそ150分の1と大幅に少なくなるということです。川本研究グループ長は「廃棄物の量が少なくなるのが最大の特長です。低濃度の酸で抽出するため、土壌に与えるダメージが少ないのもメリットです」と話していました。研究グループは、今後、さらに技術改良を進め、企業の協力を募ったうえで福島県などの土壌を使った実証試験を行い、実用化を目指したいとしています。
ーーーーーーーーーーーーーー
ここにある「顔料」がベルリーナブラウです。

その他の報道と、産業技術総合研究所の詳しいプレスリリースは以下の(5、6)を参照して下さい。
そもそも、セシウム137は自然界にはほぼ存在しない放射線物質です。人間が核技術によって作り出し、核実験と、原発が事故により「汚い巨大な核爆弾」と化したことにより、膨大な汚染で人間だけでなく生きとし生きる動植物の遺伝子に襲いかかっているのです。
福島の避難地域に置きざれにされている多くの動物や家畜たちもベルリーナブラウで命が救えるかもしれないと思うのです。飼い主が避難し路頭に迷っている牛たちも保護して、汚染のない飼料とともにこの薬品を与えれば、青い大小便でセシウムを排泄しまた健康体になるのではないかと思います。

本当の被害者はこれから生まれて来る生物の次の世代なのです。これは人類史上最悪の人間による「自然に対する犯罪」です。
20世紀が生んだこの罪悪から誰ひとりとして逃れることはできないのです。しかしこれは断じて宿命ではありません。

(この項続きます。次は「北斎と文珠菩薩」です)

(1)ベルリーナブラウについてのヴィキペディア:
http://de.wikipedia.org/wiki/Berliner_Blau

(2)同日本語
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%BA%E9%9D%92

(3)ディ ツァイト紙電子版報道
http://www.zeit.de/wissen/gesundheit/2011-03/Medikament-Caesium-Strahlen

(4)ハイル社/ベルリンのHP
http://www.heyl-berlin.de/index.php?details=heyl/pharma_antidota

(5)プルシアンブルーを利用して多様な形態のセシウム吸着材を共同開発
http://www.eco-front.com/news_RiwKIm0ly.html

 (6)産業技術総合研究所プレスリリース
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110824/pr20110824.html

2011年9月13日火曜日

31:日本の自然エネルギー革命シナリオ: [r]evolution・グリーンピース発表

 3・11原発事故とその後の日本での原発稼働状態を背景に、本日、グリーンピースインターナショナルは2012年に原発が全停止しても、日本はこの危機を再生可能エネルギー社会へ転換する革命の契機とすることができるとのシナリオを発表しました。
以下は、グリンピースからのお知らせと、新政府への要請署名の依頼です。

わたしもさっそく、日本語の要約版(10頁)を読んでみましたが、国際的なエキスパートによる非常に優れたシナリオで、放射能汚染に脅かされている日本に [r]evolution(「革命的」進化)の希望を与えてくれるものです。

 原発などなくても日本のエネルギー供給は十分可能です。必要なのは(1)「どのように」との指針と、(2)市民と行政と経済界の実行の意思です。

 同様なシナリオをドイツはフクシマを契機にしてドイツなりに実現しつつあります。いわんや大事故を起こした日本には、ドイツを追い抜いて脱原発社会を世界に先駆けて実現することが要請されていますし、また意志さえあればその能力を十二分に備えていると、国際社会が客観的に観ていることの一例がこのシナリオであると言えましょう。
日本の危機は世界のevolution(進化)の契機になりつつあるのです。日本のみなさまもそのことを自覚していただきたく思います。

以下、転載を歓迎いたします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本日グリーンピースは、

『自然エネルギー革命シナリオ -
2012年、すべての原発停止で日本がよみがえる』
を発表しました。
http://www.greenpeace.org/japan/enelevo?gv20110912
このシナリオは、2012年春までに、日本国内のすべての
原子力発電所の稼働停止を想定し、原発にも化石燃料にも
]頼らない未来へのエネルギー政策を提案するレポートです。
同時に、電力も雇用もまかなえてCO2削減目標も
達成できる具体策も提示します。

そしてこのシナリオを、みなさんの
「2012年、すべての原発を停止してください」の声と一緒に
新政府に届けるためオンライン署名をお願いしています。

署名受け付けは、9月30日までです。
ぜひ、今すぐご参加ください!
http://www.greenpeace.org/japan/2012?gv20110912


ツイッターやブログなどで、周りの方にも署名参加を
呼び掛けていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
グリーンピースの活動をご支援ください
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グリーンピースは、政府や企業からの資金援助は、
活動に影響を及ぼす可能性があるため、一切受けていません。

わたしたちの活動を支えるのは、みなさまお1人お1人の
力です。ぜひ、温かいご支援をお願いいたします。
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2011年9月12日月曜日

30:ベルリンの9・11の青い折り鶴


これは、ベルリンのブランデンブルク門で行われた9月11日のアクションのロゴです。英語のNINE ELEVEN /9・11のもじりで、NINEが同じ発音のドイツ語のNEIN(ナイン、英語のNOの意味)に置き換えてあります。すなわち宗教対立を煽った「9・11にNO !」の意思表示をしたものです。

ドイツの多くの宗教団体の信者の若者たちが集まって、対話によって宗教間の対立を乗り越えて平和共存のヴィジョンを実現しようとする運動のようです。ここを参照して下さい:
http://www.religionenaufdemwegdesfriedens.de/
http://religionenaufdemwegdesfriedens.de/home/englisch/

今日は、ベルリンでも10年前の同時テロの犠牲者を追悼して市役所などで行式の追悼行事が行われましたが、そこでもこの団体が参加して、大きな役割を果たしています。
そして午後に、ブランデンブルク門のパリ広場で 伝統的な「青い平和の鳩」を人々の集まりで形作ろうと呼びかけました。
わたしも、短時間でしたがその様子を見てきましたので、簡単に写真で紹介します。


 今日はブランデンブルク門の側のアメリカ大使館正門の星条旗は追悼の半旗です。





 大使館前のパリ広場に机を持ち出して何やらやっているのを見ると、折り紙で青い鶴を折っています。
折り鶴は反核平和運動の象徴です。
観光客らしい日本人の若者たちも加わって、さっそく折り方の手ほどきをしていました。

門を背景になかなか良い光景です。
 広場の中央のテントの舞台では若者たちの平和ソングが始まりました。

これが素晴らしい人気でした。
キリスト教徒とイスラム教徒の若者たちの混成合唱団ですね。

ムスリムの若い女性たちも大勢見かけました。

 門の前には、ベルリンの壁のオリジナルがひとつ持ち出され、人々がそれに世界中の言語で「平和」という文字を書き込んでいました。






よく見ると、オリーブの枝の代わりに、世界中の宗教の枝を加えた平和の青い鳩のそばに、青い折り鶴が一羽、留められていました。

ヒロシマの反核平和運動の象徴である折り鶴が、今日、ベルリンの青い折り鶴として、世界中の人々の手で、このように生き続けていることを目の当りにできた211年の9・11でした。

なを、このイベントには、各宗教団体とベルリン市、また連邦政府家族省が協賛しているのですが、州選挙の真っ最中である今日も、政治家はひとりも姿を現しませんでした。
宗教と政治が相互の利用を避けるからです。

2011年9月10日土曜日

29:菅直人首相の東電訓示全文・3月15日早朝/東京新聞/写真追加

ちょっと風邪気味なのですが、これは非常に重要なので書いておきます。

去る3月15日の早朝、菅直人首相が東電が「福島第一原発から撤退したい」との情報を得て激怒し、東電本社に乗り込んで同社内に政府と東京電力の統合本部を設置したことは当時広く報道されました。
東京新聞は9月6日の菅直人氏とのインタビューで、この日のことを聴いています。ようやく緊迫した当時の舞台裏が本人の口から語られたわけです(下記2)。
これに続いて同紙は今日9月9日の朝刊に、この日の東電での首相訓示の全文を入手したと報道、電子版でこのように伝えています:

 (1)命懸けて。逃げても逃げ切れぬ  前首相の東電訓示
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011090902000035.html

 ところが、電子版では肝心の「訓示全文」が読めませんので、この記事と併せて掲載されている全文を、長いものではないので、世界中で読んでいただくためにそのままを書き写しておきます。東京新聞のご協力に感謝いたします。
ーーーーーーーーーーー
前首相訓示全文

  今回のことの重大性は皆さんが一番分っていると思う。政府と東電がリアルタイムで対策を打つ必要がある。私が本部長、海江田大臣と清水社長が副本部長ということになった。
 これは2号機だけの話ではない。2号機を放棄すれば、1号機、3号機、4号機から6号機。さらに福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。これらを放棄した場合、何ヶ月後かにはすべての原発、核廃棄物が崩壊して、放射能を発することになる。チェルノブイリの二〜三倍のものが十基、二十基と合わさる。日本の国が成立しなくなる。
 何としても、命懸けでこの状況を押さえ込まない限りは、撤退して黙って見過ごすことはできない。そんなことをすれば、外国が「自分たちがやる」と言い出しかねない。皆さんが当事者です。命を懸けて下さい。逃げても逃げ切れない。情報伝達が遅いし、不正確だ。しかも間違っている。皆さん、萎縮しないでくれ。必要な情報を上げてくれ。
 目の前のこととともに、五時間先、十時間先、一日先、一週間先を読み行動することが大事だ。金がいくらかかっても構わない。東電がやるしかない。日本がつぶれるかもしれない時に、撤退はあり得ない。会長、社長も覚悟を決めてくれ。六十歳以上が現地に行けばよい。自分はその覚悟でやる。撤退はあり得ない。撤退したら東電は必ずつぶれる。
(東京新聞2011年9月9日朝刊掲載)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
この資料のソースは当然明らかにされていませんが、おそらくは菅総理の官房でしょう。東電がだすわけがないからです。であれば、これは公式な一次資料となります。

この訓示から伺えるように、この時点で東電が福島第一を放棄撤退していたら、菅直人首相の危惧は現実のものとなったに違いありません。すなわち首相は東電の会長以下を叱り上げて、日本を危急存亡の危機から、間一髪で救ったことになります。また世界を未曾有の放射能汚染から守ったことになります。本物の政治家としての立派な行動ですから、やがて世界も注目するでしょう。 これはとてつもなく重要なことです。よって記録しておきます。戦後史の節目として記録される資料として貴重でしょう。

 この記事に先立つインタヴュー:
(2) 首都圏壊滅の危機感 菅前首相に聞く/東京新聞9月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011090690070913.html

またこの日のことについては昨日、読売新聞がこれを裏付ける、もう1人の当事者である枝野幸男前官房長官の言葉として「『菅内閣への評価はいろいろあり得るが、あの瞬間はあの人が首相で良かった』と評価した。」と伝えて、首相の行動を裏付けています:
(3)前首相の東電乗り込み、危急存亡の理由が・読売新聞/9月8日
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110907-OYT1T01246.htm


 なを、この件とは別ですが、本日の毎日新聞の以下の記事も優れたものです。
特に小出氏の専門家としての現状認識は重要ですので挙げておきます:
島第1原発:収束いまだ見えず 事故から半年/毎日新聞9月9日
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110909k0000m040164000c.html


福島第1原発:京都大原子炉実験所・小出裕章助教に聞く/毎日新聞9月9日
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110909k0000m040167000c.html

(15日追加です)上記の訓示全文掲載分の新聞のオリジナルがようやくベルリンにも着きましたので、その写真を追加しておきます:

東京新聞2011年9月9日朝刊2面より

2011年9月9日金曜日

28:北斎とセシウムと文殊菩薩(1)ベルリーナブラウ

  以前にも書きましたが、今年は日独(正しくは江戸幕府とプロイセン)国交締結150周年にあたり、3月11日の大震災大津波と大原発事故にもかかわらず、ベルリン多くの記念行事が行われています。そのひとつとして8月26日から大規模な「葛飾北斎回顧展」がマーティン・ゴロピウス館で開催されて人気を呼んでいます。25日の開会式にはヴルフ大統領も挨拶され、招待客が押し掛けて入場制限になったほどです。
 なぜ人気があるかといえば、日本の浮世絵は、特に北斎は19世紀から20世紀にかけてヨーロッパの印象派や表現主義、つまり近代絵画に非常に大きな影響を与えたというよく知られた事実があるからです。これには、北斎もまた進取の気性のあるひとで、オランダから長崎経由で入ってきた「眼鏡絵」の手法を取り入れており、それらの作品を、目利きのシーボルトが蒐集してヨーロッパに紹介したというグローバルな文化交流の背景があります。
挨拶するヴルフ大統領8月25日
しかもこの展覧会の出品作品は北斎の生まれた墨田区の協力も得て、ほとんどが日本からのもので、初めて海外で展示されるされる作品もあり、約450点と展示数も多く90歳の長寿であった北斎の長い生涯の全体が鳥瞰できるという、おそらくこれまで最大の回顧展ですから、興味ある人には見逃せない機会です。
ドイツ紙の中には、画例集『北斎漫画』を「マンガの歴史」だと書いたりもしましたので、日本の漫画ファンも押し寄せるという効果ももっているようです。開会式の挨拶でヴルフ大統領も「亀の親子の遊ぶ絵などは子供も喜ぶでしょう」と述べたものです。
ただ残念ながら期間は10月24日までで、しかもベルリンのみで終わりますので、ベルリンへいらっしゃる機会のある方は是非ご覧ください。もちろん専門家はアメリカからもやってきているとのことです。ドイツ語のカタログはドイツでのこのての絵画展にふさわしい内容の充実した立派なものです:

http://www.berlinerfestspiele.de/de/aktuell/festivals/11_gropiusbau/mgb_start.php

「神奈川沖波裏」中央ドイツ新聞8月26日、写真:DAPD
しかし、わたしはこの歴史的な日本文化の展覧会を以上のような一般の興味を外れた視点から視ていました。
この写真は、開会式当日世界的にも有名な「富岳三六景」のひとつを凝視している筆者をドイツの通信社のカメラマンが撮ったものです。それをある新聞が掲載したのです。ドイツ人の美人が見ている写真でも使えばよいのに、日本人の鼻眼鏡の爺さんの写真とは、いささか興ざめですが、実はわたしは撮られていることも気づかないほど熱心に見ていたのです。
何をそんなに注視しているかといえばこの版画にも北斎がたっぷり使った青の色彩のオリジナルをここぞとばかり観たのです。


北斎「富岳三六景・甲州かじか沢」写真提供:東京都墨田区
展覧会のポスターに使われているこの 一枚はこの写真ではかなり色調が変わって見えますが、実際は上の写真のように明るく落ち着いた青です。ゴロピウス館のシベルニッヒ館長はカタログに江戸の文化史を執筆されているほどの日本通ですが、おそらく彼の希望でこの絵がポスターに使われたのでしょう。彼は網を引いている漁師を指さして「これが展覧会を操るわたしだよ」と冗談を言って筆者を笑わせたものです。
実は、彼も記者会見で述べたことですが、たっぷり使われているこの作品の青の絵の具/染料は、生粋のベルリン生まれなのです。そのことを北斎が知っていたかどうかはわかりませんが、ドイツでは「ベルリンの青/Berliner Blau」と呼ばれている絵の具を江戸でつかった美術品が、いわば里帰りした展示会でもあるのです。しかもこのベルリーナブラウが、フクシマの汚染の防御と処理に直接大きな役割を果たすかも知れないのです。

(長くなるので「続きは次のお楽しみ」にしてください)


2011年9月6日火曜日

27:ドイツ州選挙で社会民主党と緑の党が躍進・次のベルリンは?/追加あり

昨日(9月4日)のドイツのメクレンブルク・フォアポンメルン州の州議会選挙で、社会民主党/SPDと緑の党/Grüneが大躍進し、連邦政府の連立与党であるキリスト教民主同盟/CDUと自由民主党/FDPが惨敗したことが、日本でも報道されています。
Der Spiegel Online
得票率の暫定結果はこの図のとおりです。(シュピーゲル誌電子版より借用しました。)
同州はメルケル首相の選挙区もあり、彼女は7回も応援演説に駆けつけたのですが、同党はご覧のとおり前回の2006年より5%以上減らし、SPDが同程度増加しています。
また緑の党は同州では今回初めて5%条項を突破して初めて議席を獲得しました。緑の党は伝統的に旧東独の州では弱体でしたが、これによって全国の州議会に議席を確保しました。もちろんこれは同党の原発撤退政策が追い風になっています。
残念なのは、ネオナチの党である国家民主党/NPDが得票を減らしつつも議席を確保したことです。同党はこれで旧東独のザクセン州とともに州議会で議席を確保することに成功しています。もし同党が議席を失えば、社会民主党と緑の党の連立政権が可能であったとされていました。とはいえ、緑の党の議会進出で、脱原発後の政策として同州でも再生可能エネルギー政策が、これまで以上に促進されることは間違いありません。
社会民主党は明日から、CDUと左派党/Linkeと連立の話し合いに入ります。

ところで、この選挙でも連邦与党の自由民主党が前回の10%近くから3%を切って惨敗し議会から消えたことが連邦与党に大きなショックを与えています。2週間後のベルリンの州選挙でも同党は5%以下と予想されていますので、結果によってはメルケル政権は、世界経済の急速な悪化もあり、2013年の総選挙を待たず、崩壊の危機に立たされる可能性もあります。
メルケル首相の脱原発への決断は社会全体としては評価が高いのですが、自党内で落胆が大きく内輪もめが進んでおり、またドイツ戦後史で大きな役割を果たして来た自由民主党は、原発促進では最右翼であり、ネオリベラルの経済政策を主張し続けたため、ドイツのリベラリズムの地位を緑の党にほぼ完全に奪われ、急速に政治舞台から消え去ろうとしています。
原発促進にしがみつく政党は、いずれ市民から厳しい判断をくだされる運命になることの実例だといえます。フクシマを体験している日本でもそうなるでしょう。日本の民主党と自民党も当然ですが、このドイツの政情を教訓とすべきです。 生き残りたければ原発からはっきりと絶縁すべきです。

ドイツのメディアでは、いずれにせよ次期の連邦政権は社会民主党と緑の党の連立となることが、まるで既成事実であるかのような論調です。今年中に決められるであろう社会民主党の首相候補に誰がなるかが、目下の政治記者たちの注目の的です。


9月18日のベルリン特別州の議会選挙でも緑の党の躍進は間違いありませんが、昨年の秋に予測された緑の党の政権奪取は無理なようです。一時期、世論調査で緑の党が社会民主党を上回り30%台に乗ったのですが、ここに来て20%ほどに落ちています。大きな理由は市長候補の人気の差です。もう2期の10年もやっている社会民主党のヴォーヴェライト市長の人気が強いのです。緑の党のキュナスト候補は大物ですが、選挙戦術で中道路線をとり過ぎて失敗しています。その隙をついて、インターネットの自由を主張する若者たちの「海賊党/Piratenpartei」という、まさにベルリンらしい急進リベラルの政党が5%を獲得するのではないかとの予想もあります。緑の党の中道化に飽き足らない若者が支持しています。
おそらくベルリンの州議会選挙結果は社会民主党と緑の党の連立でしょう。ついでですから、ベルリンの顔を紹介しておきましょう。
ヴォヴェライト市長8月4日記者会見で

まずは社会民主党左派のベテラン市長クラウス・ヴォヴェライト氏です。彼は10年前に初めて市長候補になった際、「わたしはホモセクシャルです。これは良いことだ」とカムアウトしましたが、この言葉が評判になり、今でも人気抜群です(当時「週刊金曜日」に報告したことがあります)。
この日の外国人特派員との記者会見でも、人気の秘密を聴かれて「クラウスはベルリンに合うのでしょうね」と余裕たっぷり。社民党の赤のネクタイではなく、ピンクのネクタイがよく似合っていました。
わたしは「外国人居住者にも地方選挙権は与えるべき」と質問ではなく要求をしましたが、「よく判っています。次期には実現の努力をします」と返事がありました。
まあ、ベルリンの姉妹都市である東京都知事の誰かさんとは、まったく別世界の政治家ですね。
キュナスト氏とクレッチュマン首相8月19日





日本でも報道されたバーデン・ヴルテンベルク州の首相となったクレッチュマン氏が、ちょうど権力掌握100日目となった8月19日に、連邦記者会議の招待で緑の党のベルリン市長候補のレナーテ・キュナスト連邦議会共同総務との共同記者会見に望みました。これが、キュナスト氏には失敗でした。ケレッチュマン首相の人気が大き過ぎ、あやかろうとしたのが逆効果になったのです。
彼女には気の毒なことでしたが、大勢の記者のなかで、わたしがクレッチュマン首相に脱原発の質問をした際に、「あなたは日本では、いまやメルケル首相についで良く知られたドイツの政治家です」と冒頭に述べたことが、翌日の新聞に大きく採り上げられてしまったのです。 クレッチュマン氏の地元の保守紙までが「遠い日本の記者までが、地方州の政治を注目しているとは、疑いなく特別のことだ」と書いたのです。実際に彼の人気は地元でうなぎ上りです。ハンデルスブラット(全国経済紙)はわたしの名前までも挙げて「クレッチュマンが大喜び」と書きました。(記事は下記)

おまけ、昨日散歩がてら近くの子どもたちのお祭りに出かけたついでのスナップです。「海賊党」の選挙ポスターのひとつです。 もしこの党が議席を獲得すれば、大きなニュースになるでしょう。若者のインターネット政党が政界に進出するのは、世界でも初めてのことだろうからです。
(訂正:と書きましたら、海賊党はスエーデンで2006年に発足し、同国の国会では議席は得ていませんが、2009年の欧州議会選挙で7%を得て、1議席を確保しています。ですから世界初は欧州議会です。訂正します:
http://de.wikipedia.org/wiki/Piratpartiet)

http://sv.wikipedia.org/wiki/Piratpartiet

(追加)またシュピーゲル誌電子版は最新の記事で、緑の党のキュナスト氏が「もし海賊党が議席を得れば、議会での協力もあり得る」と述べたとのことです。つまり、どうやら議会進出は現実的なようです。
5%とれば7議席は確保できるとのことです。同記事では候補者の写真も多く見られます:
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/0,1518,784334,00.html


もしそうなったら、彼らに訴えて大沼安史氏をネット攻撃する連中に反撃してもらうことにします。
大沼さん、期待して下さい。

(追加)上記の8月19日の記者会見の報道:
Stuttgarter Zeitung
http://www.stuttgarter-zeitung.de/inhalt.die-gruenen-kuenast-holt-sich-tipps-bei-kretschmann.efb3657c-0c51-4873-b47f-14a3507bf2f9.html Handelsblatt
http://www.handelsblatt.com/politik/deutschland/kretschmann-festspiele-im-laendle-berlin-und-japan/4521294.html

2011年9月2日金曜日

緊急:大沼安史氏にサイバー攻撃・反撃と連帯を呼びかけます

世界各地の読者のみなさま、
仙台の反原発国際派の大沼安史氏が昨日からサイバーテロの標的になっているとのことです。
最後の書き込みです:
 http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/

フクシマ・お知らせ〕 1昨日(1日)から徹底した「ネット攻撃」を受けています! 
大沼 ブログ掲載 困難な状態です メールもやられてしまいました!


このような卑劣な違法行為を誰がやっているかは、もちろん判りません。間違いないのは、数少ない反原発国際派として、日本の貧困な一般のメディアでは得られない情報を提供することを嫌う勢力であることは間違いありません。

かつて1933年にナチスが権力を掌握して、まず最初にやったことは、共産党、社会民主党ら政敵の粛正です。その後、徐々にユダヤ人排斥にとりかかりました。ナチスが最も嫌ったのは、政敵のイデオロギーだけではなく、国境を越える彼らの国際性だったのです。大沼氏の言論を封じようとする勢力はこのような勢力の「精神の兄弟」であるといえます。


また、見過ごせないのは、フクシマのあと日本政府にもこの徴候がることです。政府は下記の日弁連会長声明にあるように「風評被害を防ぐ」ことを名目にネットの監視を始めています。したがって、大沼氏に対する卑劣な攻撃の背後に「日本政府が黒子としてあるのではないか」と疑われてもしかたがない立派な根拠があります。

新内閣成立と同時にこのようなことが起きるのが悪い予兆でなければよいのですが。 

とりあえず、読者のみなさまに大沼安史氏への連帯を呼びかけます。
まずはこの事実を広く報せて卑劣な行為に反撃しましょう。

以上緊急にお報せします。

参考:日本弁護士連合会
原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングに関する会長声明 
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110729_4.html




 

26:ゴイアニア被曝事故の鉛棺(2)

(1)からの続きです。

ドイツの環境保護のあるサイトではこの事故についての報告がありますが、そこに以下の記述があります:

Opfer im Bleisarg begraben
An den direkten Folgen der harten Gammastrahlen des Caesium 137 sind kurz nach dem Freisetzen des Materials vier Menschen gestorben. Darunter die sechs Jahre alte Leide Alves Ferreira, deren hochgradig radioaktiver Leichnam in einem bleiernen Sarg mit Zementmantel begraben wurde.

犠牲者 鉛棺で埋葬
セシウム137の酷いガンマー線の直接の影響により、この物質の放出の直後に4人が死亡した。そのひとり6歳のLeide Alves Ferreiraの高い放射性遺体はコンクリートで覆い固められた鉛の棺に入れられ埋葬された。 
http://www.oekosmos.de/artikel/details/radioaktives-altmetall/

これが危険を知らず、放射線物質に触れてしまった幼い少女の悲惨な最期です。

ヨローッパでは古くから贅沢品として腐敗しない鉛の棺で埋葬することも あったとのことですが、これはもとより放射線遮断のためではありません。

また、ドイツでもかなり前ですが、原子力発電所の第一次冷却系の過失による蒸気漏れ事故で、作業員が死亡、高線量のため同様に鉛棺に入れられ埋葬されたとの報道がありました

この方法は、遺体を焼却もできない土葬もできないジレンマのひとつの解決策かもしれません。

大地震と大津波の犠牲になった方々の多くの遺体が原発事故のため長く放置され、放射線汚染され収容もままならぬ状態が現実なのです。これからどのようにして死者の尊厳を損しない ように収容し埋葬されるのかはわたしにも判りません。ただ前例としての以上の事実を報告しておきます。

ただ、このフクシマの現実は、核技術がいかに自然の摂理に背き、生きとし生きるものの尊厳を拒絶して止まないものであるかを語っています。この現実から目をそらすことは許されず直視しなければならないのです。

フクシマ後の防災の日に

犠牲者のみなさまに合掌しつつ

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注;ゴイアニア事故については:

ご存知の京都大学の小出裕章先生が、原発事故の解説のなかで判り易く採り上げておられます:
http://chikyuza.net/n/archives/5043

緊急医療の専門サイトが「癌治療線源盗難事例」として挙げています:
http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/3_3_1.html

ウ゛ィキペディアの英文
http://en.wikipedia.org/wiki/Goi%C3%A2nia_accident

1987事故年当時のシュピーゲル誌報道
http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-13524893.html

また、公式なものとしてはIAEAが1988年に事故報告を公表しておりPDFで読めます。

25:ゴイアニア被曝事故の鉛棺(1)

1987年9月のゴイアニア被曝事故の除染作業

Karen Kasmauski撮影Goiania,Brazil,1987
上記の二枚の写真は1987年9月にブラジルのゴイアニアという街で起こった大規模な放射線物質汚染事故後の街の除染作業の様子です。これらは:
http://www.smashinglists.com/worst-nuclear-accidents-disasters-in-history/
などから借用しました。

チェルノブイリの事故の翌年に起こったこの事故は、日本ではあまり知られていませんので、今回は予定を変更して、あえて採り上げておきます。実は文科省が一昨日発表したセシウムによる土壌汚染マップに関して、ある報告をする予定でしたが次回に廻します。

このブラジルでの悲惨な事故に関する参考資料は文末にいくつか挙げておきますが、とりあえずは、ヴィキペディアの日本語版では以下のように簡単に説明されています:

ゴイアニア被曝事故(ポルトガル語: Acidente radiologico de Goiania)とは、1987年9月にブラジルのゴイアニア市で発生した原子力事故。
 同市内にあった廃病院に放置されていた放射線療法用の医療機器から放射線源格納容器が盗難により持ち出され、その後廃品業者などの人手を通しているうちに格納容器が解体されてガンマ線源のセシウム137が露出。光る特性に興味を持った住人が接触した結果、合計250人が被曝し、そのうち4名が放射線障害で死亡した。

今日は関東大震災の起こった「防災の日」で、それに関する日本からの報道もありますが、フクシマの原発震災後初めてのその日として、昨年までと様変わりしたようです。事故からおよそ半年後の今日初めて、大熊町の避難者の方々が、非常な高線量の中を自宅を二時間だけ帰られる報道には胸が締め付けられます。
しかし、わたしが「ついに出たか」とショックを受けたのは共同通信の以下の報道です:

 20キロ圏に数百〜千の遺体か 「死亡後に被ばくの疑い」
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033101000278.html

この記事によれば:

27日には、原発から約5キロの福島県大熊町で見つかった遺体から高い放射線量を測定しており、警察関係者は「死亡後に放射性物質を浴びて被ばくした遺体もある」と指摘。警察当局は警察官が二次被ばくせずに遺体を収容する方法などの検討を始めた。

 27日に、大熊町で見つかった遺体は、除染が必要な基準の一つである10万cpm(cpmは放射線量の単位)まで計ることができる測量計の針が、振り切れる状態だったという。このため福島県警の部隊は遺体の収容を断念している。
と放置されたままの遺体がに高い汚染度であるとのことです。
 そのため、

遺体は最終的に遺族か各市町村に引き渡すことになるが、火葬すると放射性物質を含んだ煙が拡散する恐れがあり、土葬の場合も土中や周辺に広がる状況が懸念される。
 
 
と報告されています。 
これを読んで、わたしが思い出したのがゴイアニア被曝事故です。この事故で亡くなった4名の人々の遺体も高線量被曝のため、そのままでは埋葬できなかったのです。火葬も土葬もできないとなるとどうするのか。唯一の「解決策」が、放射線を遮断する厚い鉛のお棺に入れ、それをコンクリートで固めて埋葬することでした。 
(2)に続く 

2011年9月1日木曜日

24:ヨシヒコドジョウの日本政治は雪隠詰め

野田氏を首相に選んだ日本についての欧米メディアの論評は、扱いが小さくあまり関心がありません。
内容としては「この6年で6人目で首相の名前も顔も覚えられない」というげっそり感をテノールにして「菅直人内閣の脱原発政策は後退するだろう」、また「増税で超赤字財政の緩和が期待される」との点が大旨で共通しています。世界的金融危機の中で日本経済がギリシャやスペインのように破綻寸前になるのを心配しているのです。
政局に関しては昨日8月30日付けで「南ドイツ新聞」の東京特派員クリストフ・ナイドハルト/Christoph Neidhart 氏が解説記事で 「建設的な自己破壊/Kreative Selbstzerstörung」との見出し「日本の政治の終わりのない貧困は、新首相でも継続するであろう」との小見出しで書いています(現在のところ電子版には掲載されていません)。内容は見出しのように民主党の政権獲得後のバラバラな内情のお粗末さを解説し、総選挙となっても「自民党も同じく内輪が割れており、いまだに腐敗したままで人気がない。彼らも政権にはつけないだろう」と結論しています。
つまり、日本の政治が「雪隠詰め」になっていることを伝えているのです。いやはや、その通りです。

このことを、揶揄しているのが、英国のガーディアンです。
大沼安史さんがブログの「机の上の空 個人新聞」で同記事を巧みに翻訳されているのでご覧ください:
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/
英紙ガーディアンが日本のドジョウ宰相、「ヨシヒコ」を「人物紹介」
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/08/post-78b9.html#trackback
大沼さん、ご苦労さまです。

また同じく大沼さん経由で知ったのですが、フリージャーナリストの上杉隆さんが、8月上旬にドイツの公共第二テレビ(ZDF)が伝えたフクシマからのルポを日本語字幕入りで掲載されていますので是非ご覧ください:
http://uesugitakashi.com/?p=964
避難区域外が高度汚染しているのに 、放ったらかしにされている農民の姿と言葉を現場から伝えています。まさに政治の無能と貧困によるヒバク棄民の実情です。
このなかで、東京での記者会見で細野原子力大臣にZDFの特派員が、このような実情について質問すると、大臣が返答に困り、役人たちが数分間、書類をかき回してしどろもどろする光景も見られます。こんな醜態は、ドイツであればたちまちメディア挙げてのスキャンダルになるのですが、会見に大勢の日本人記者がいるにもかかわらずそうはならないのは、彼らがノミのサーカスにたかる一員であることを如実に語っています。なぜ起こらないのか理解不能です。
実際のノミのサーカスでは、ノミを調教するのに狭い箱に入れて慣らすそうですが、日本のジャーナリストたちもサーカスの親方により、決して怒らないように調教されているのです。

ノミのメディアよ哀れ


なを、メルケル首相はさっそく昨日、野田新首相に就任の祝辞を送りましたが、そのなかに以下の言葉があります:
Bei der Bewältigung der vielfältigen Herausforderungen nach der Katastrophe des 11. März dieses Jahres stehen wir eng an Japans Seite. Ich würde mich sehr freuen, Sie bald als meinen Gast in Deutschland begrüßen zu dürfen.

本年3月11日のカタストロフ後の多面的挑戦の克服に関して、私たちはぴったりと日本の側におります。閣下を近いうちにドイツで私の客人として歓迎できることが許されるならば大変な喜びとするものであります。 

菅直人氏はフクシマもありドイツ訪問はできませんでしたが、井の中のドジョウ野田宰相には、是非訪問していただき、メルケル首相から直々に脱原発の実現を学んでほしいものです。望まれれば、メルケル首相は本気で助言することは間違いないでしょう。もっともメルケル政権もかなり危うくなっているので、それだけの余裕があるかは不明ですが。
いづれにせよ、訪独されれば、もちろんわたしも脱原発の旗をもって大歓迎いたします。