2018年9月18日火曜日

352:Fotobericht:日本軍「慰安婦」メモリアル・デー in Berlin / Mahnwache am 14. August

 Es ist sehr spät geworden.Folgende sind Fotos am 14.Augst 2018 aus Berlin.
 大変遅くなりましたが、本年度のベルリンでの「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」の写真報告です。今年は「少女像」が登場し、また例年通り国際色豊かなアクションとなりました。
文末に「しんぶん赤旗」の記事も添付しておきます。











































2018年8月11日土曜日

351:予告:日本軍「慰安婦」メモリアル・デー in Berlin / Mahnwache am 14. August

昨年2017年のメモリアル・デー

 恒例の8月14日に行われる「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」が本年も来週の火曜日に、今年も以下のようにベルリンのブランデンブル門前のパリ広場で開催されます。

 今や世界各地で伝統となったこの活動は、ベルリンでも今年も日韓の女性団体の主催で、ドイツやアジアの国際的NGOの協賛で行われます。
 
 本年はドイツも熱波の来襲のため、開催時間を少し遅らせてあるようですが、今のところの予報では暑さも少しは和らぎそうですので、こぞって参加を呼びかけます。

 詳しい情報は主催者の→Facebook-フェイスブックで確認してください。

これについてはこのブログでも毎年、2013年から写真報告していますが、→昨年の行動の写真はこちらです。 

 今年も相変わらず活発なものになりそうです。

 ちなみに、日本で昨今、そのセクシャルマイノリティーへの差別発言で国際的にも日本の恥の象徴のように報道されている杉田水脈さんという安倍チルドレンの国会議員がいますが、彼女が目の敵にし続けてきたのがこの国際的な活動です。
 この人物が「やまとなでしこ」の名に最もふさわしくない日本女性であることが、今回の発言で自己暴露され、 国際的にも広く認知されたことは必然です。
 
 社会の少数派や弱者を「生産性がない」と決めつけて差別するのは、ナチスのイデオロギーの核心の一つです。欧州の多くの諸国であれば、国会議員の資格を失うのは当然であるばかりか、ドイツでは間違いなく民衆扇動罪で告訴され刑事責任を問われます。
 
 彼女はこれまでも伊藤詩織さんに関するBBCの番組で、性暴力の犠牲者に対して「自己責任」だとの旨の発言をし、それが世界中の女性たちの大きな怒りを買っても、何の反省もしないし、できないような人物です。 安倍政権下の日本社会の堕落を象徴する人物の一人です。
これ以上、ホントに日本の恥を撒き散らして欲しくないものです。

以下日本語とドイツ語での呼びかけです:

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日本語/Deutsch

日本軍「慰安婦」問題の真の解決を求めるスタンディング・デモへのお誘い

ベルリンにお住いの日本市民の皆さんへ

日本軍「慰安婦」問題?「ネットで時々炎上しているアレね」、「日本と韓国の間のいざこざでしょ?」といった声も聞こえてきます。その「慰安婦」問題、1997年から2005年までは、検定済みの中学校用全教科書に書かれていました。中学校で教えられていたのです。ところが、今では高校の教科書からも消えています。なぜだと思いますか。

8月14日、この日は日本軍「慰安婦」メモリアル・デーです。今年も世界の各地で、被害女性を偲び、世界で今日なおも頻発する戦時や紛争時の性暴力に抗議する集会が開かれます。
「女の会」はこの日、ベルリンのブランデンブルク門前で、日本軍「慰安婦」制度のサバイバー、9カ国の9人の女性の写真と被害の事実を展示します。その女性たちが語る史実を、ぜひ自分の目で確かめてください。そして、なぜこの真実が教科書から消されたのかを考えるきっかけにしてください。ネット上のフェイクニュースを信じる前に。

ベルリン・女の会
talk.in.japanese.jtib@gmail.com
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世界各地の戦時・武力紛争下で起こる性暴力をストップしよう!

第6回日本軍「慰安婦」メモリアル・デー
時間:2018年8月14日(火)16時30分 – 18:00 時
場所: Pariser Platz (Brandenburger Tor)

当日は、写真展示の他に、太鼓、舞踏、歌などの上演もあります。
同日14時30分には、日本大使館に公開質問状を届けます。ご都合のつく方は、こちらにもどうぞ。Japanische Botschaft, Hiroshimastr.6 10785 Berlin


Stoppt sexualisierte Gewalt in Kriegen und bewaffneten Konflikten weltweit!

Di. 14. 08. 2018 16:30 – 18:00 Uhr /
Pariser Platz (Brandenburger Tor)

Mahnwache zum 6. Internationalen Gedenktag für die Opfer der sexuellen Versklavung („Trostfrauen“) durch das japanische Militär im Zweiten Weltkrieg
Wer kann, kommt ab 14:30 zur Petitionsübergabe an die Japanische Botschaft, Hiroshimastr.6 10785 Berlin (U-Potsdamer Platz)


主催/Veranstaltende: AG „Trostfrauen“ im Korea Verband e.V., Japanische Fraueninitiative Berlin
賛同/Unterstützende: Alliance of internationalist feminists –Berlin, Amnesty International Aktionsgruppe gegen Menschenrechtsverletzungen an Frauen, Courage Kim Hak-soon - Aktionsbündnis zur Aussöhnung im Asien-Pazifik Raum in Deutschland, Deutsche Ostasienmission (DOAM) e.V., Deutsch-Japanisches Friedensforum Berlin e.V., Koreanische Frauengruppe in Deutschland e.V., Korean Women’s International Network Germany, Solidarity of Korean People in Europe

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「慰安婦」問題 − その背景
アジア・太平洋戦争(1931 - 1945)の間、日本軍は、その侵攻地域に慰安所制度を設けました。軍は、当初は日本から、後には当時日本の植民地であった朝鮮と台湾から、また中国から東チモールまで、日本が占領した全地域から、女性や少女を集め、慰安所で兵士に性的サービスをさせました。騙された女性もいれば、暴力をもって連行された女性もいました。しばしば、近隣から女性が屯営に監禁されて、何ヶ月もの間レイプされました。兵士の欲望の充足を目的に、女性たちの身体に対する所有権が奪われたのです。今日、国連人権機関は、慰安所制度を性奴隷制と呼んでいます。多くの女性が命を落とし、あるいはそれ以来精神的、身体的後遺症に悩まされています。
生き残った女性たちは、戦後長い間その体験を語りませんでした。1991年にようやくサバイバーの金学順さんが韓国で名乗り出ると、アジア全域で、昨今の#MeToo同様のカミング・アウトの波が起こりました。
日本政府は1993年に、この犯罪に軍が関与していたことを認め、民間の寄付をベースとする人道的ゼスチャーの基金を設けましたが、サバイバーが求める法的責任と、すベての被害者への公的謝罪と補償を今日まで拒否しています。
2015年末、日本政府は、「『慰安婦』問題の解決」に関して韓国と合意しましたが、法的責任は認めておらず、他の被害国である台湾や中国や東チモールなどとの交渉は拒否しました。国連人権機関は、被害者が参加していない交渉を批判しています。現在の韓国政府は、この合意から距離を置いた立場にあります。
この間、日本は「慰安婦」に関する歴史を想起することへの反対姿勢を強めています。「慰安婦」関連文書をユネスコの記憶遺産に登録しようとの市民社会の努力は、阻止されました。フィリピンやアメリカやオーストラリアやカナダ、そしてドイツでも、記念碑を建てて世論に問題を訴えようとする市民の活動に日本政府は異議を唱えています。日本の生徒たちが「慰安婦」に関して学べなくなって、久しくなりました。この歴史は、すでに教科書から消されてしまっているからです。これら一連の動きは、市民の知る権利、歴史認識を表現する権利を妨げるものでなくて何でしょうか。
サバイバーは今や高齢です。日本政府は法的責任を即刻認め、女性達一人一人に公式に謝罪し補償すべきです、彼女らが、死ぬ前に被害の回復を体験できるように。

更なる情報はこちらから:
http://wam-peace.org/en/ (Women’s Active Museum on War and Peace)
http://fightforjustice.info/?lang=en ( “Comfort Women” Issue Website Production Committee)
http://www.womenandwar.net/contents/main/main.asp (Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan)
http://justiceforcomfortwomen.eu/
V.i.S.d.P Japanische Fraueninitiative Berlin
talk.in.japanese.jtib@gmail.com

Während des Asien-Pazifik-Kriegs (1937-1945) wurden geschätzt 200.000 Mädchen und Frauen aus über 13 Ländern von der japanischen Armee verschleppt und in Militärbordellen über Jahre hinweg aufs Grausamste systematisch vergewaltigt, gefoltert und oft getötet.

Am 14.08.1991 trat Frau Kim Hak-soon (Südkorea) als erste sogenannte „Trostfrau“ an die Öffentlichkeit und brach das kollektive Schweigen. Dies hatte eine ähnliche Auswirkung wie die heutige #MeToo Bewegung: Aus den betroffenen Ländern meldeten sich hunderte ehemalige „Trostfrauen“.

Bei der Mahnwache, am 14. August 2018, anlässlich des 6. Internationalen Gedenktags wird an die zahllosen verstorbenen Frauen erinnert und für die Überlebenden und ihre Forderungen demonstriert. Obwohl die überlebenden Frauen ihr Leben lang mit den psychischen und physischen Folgen des Erlebten kämpfen müssen, wird ihnen die Wiederherstellung ihrer Rechte seitens der japanischen Regierung bis heute verwehrt. Ferner versucht die japanische Regierung mit der Ausübung politischen Drucks, internationale Bemühungen des Gedenkens an die sogenannten „Trostfrauen“ zu verhindern. So wurde jüngst eine Statue auf den Philippinen entfernt, die den Opfern der sexuellen Gewalt durch das japanische Militär gewidmet war.

Daher rufen wir Euch dazu auf, am 14. August zusammen den Mut der überlebenden Frauen zu feiern und gemeinsam mit ihnen für ihre Rechte kämpfen.

Auch heute werden Frauen in bewaffneten Konflikten überall auf der Welt sexuell versklavt und getötet! Wir solidarisieren uns mit der Aktionswoche des „Internationalen Bündnisses 8. März “ unter dem Motto „Unsere Körper sind nicht euer Schlachtfeld! Frauen vereint euch gegen Feminizide!“. Als Abschluss der Aktionswoche nimmt das Bündnis an unserer Aktion teil. (Infos: https://www.facebook.com/Alliance-of-internationalist-feminists-berlin-372603526530950/
        
Kontakt: Korea-Verband e.V., Nataly Jung-Hwa Han – V.i.S.d.P., Quitzowstr. 103, 10551 Berlin, Tel: +49(0) 30 39 80 59 84 mail@koreaverband.de // www.trostfrauen.de

2018年7月15日日曜日

350:追悼:クロード・ランズマン氏・20世紀絶対無二の記録映画『ショアー』作者

 日々の雑用にかまけているうちにかなり遅くなりましたが、日本ではあまりにも情報が少ないと思われるので、ぜひとも読者の皆様にお伝えしたいことがあります。
 先の7月5日、クロード・ランズマン氏がパリで亡くなりました。92歳。

晩年のClaude Lanzmann DPA
彼には多くの映画作品と著作がありますが、なんといっても世界中に衝撃を与えた映画『ショアー』(1985年)の作者としては、日本でも知られているところです。
 わたしも1986年のベルリン映画祭でドイツで初めて上映された時から、歴史認識におけるナラティブ・証言の価値に関して決定的な影響を受けました。

 ナチスによるユダヤ人大虐殺をして、被害と加害の体験者の証言で、40年後に否定しようもない現実として世界に提示した20世紀の歴史の闇の実態の絶対無二の記録映画であるからです。
 ドイツやかつてのドイツ軍の占領下にはアウシュヴィッツ歴史博物館を始め歴史の現場が実に数多く保存されていますが、そこで一体何が起こったかを実感として理解するためには、この作品の鑑賞を避けて通ることはできないと考えています。

『ショアー』高橋武智訳・作品社
 日本では、10年の年月をかけて高橋武智氏の翻訳が出版され、映画も上映されました。
今では映画のDVDは日本でも発売されているようです。

 当時、1996年11月29日の「週刊金曜日」に掲載されたわたしのによるこの訳書の書評がありますので、以下オリジナルの写真によりお読みください。
 22年も前のものですが、趣旨は一切古くなっていませんが、若い読者のために幾つか解説を付け加えておきます。(クリックして拡大してください)



いくつかの解説です:
 
 まず、冒頭に引用した、ランズマンの言葉にある「1941年12月7日のあの夜」ですが、特に日本人として知るべきは、この日づけと時刻が、まさに大日本帝國大本営陸海軍部が「帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」と発表した時刻とほぼ同じであることです。
この時点で大戦は世界大戦となり、ナチドイツと軍国日本は破滅への決定的な一歩を踏み出したのです。歴史の偶然とはいえ恐ろしいほどの同時性です。

 次に「花田紀凱が平然と朝日新聞社で跋扈する現状がある」とあります。これは前年の1995年に文藝春秋社発刊の「マルコポーロ」という雑誌が「ナチガス室はなかった」という 欧米の歴史修正主義者のダイジェストのような記事を掲載して世界的なスキャンダル(いわゆる「マルコポーロ事件」)となり、雑誌は廃刊され花田編集長は退職しました。
ところがその彼を朝日新聞社が雇用して新しい雑誌を発刊しようとしたことを指摘したものです。この企画も失敗し、朝日新聞社は大恥をかきました。花田氏はその後、彼にふさわしく日本の極右のチンドン屋のみすぼらしい宣伝マン(すまわち太鼓持ち)となり、相も変わらずチンチンドンドンとその生業を続けています。

  もう一つ、文末の本書からの引用文に「まさしく丸太と同じだ、・・・というわけです」とありますが、この犠牲となった死者を「丸太」と呼んだのは、実は日本軍の731部隊が多くの生体実験で殺害した犠牲者の死体をして同じく「丸太」と呼んでいたことと一致しています。そのことから「私たちを今なお過去に縛り付けている『日本のショアー』の言葉ではないのか。」を結語にしたのです。
この言葉の一致は決して偶然ではないと思います。日独の人類史上未曾有の人道犯罪の実行犯たちが、考えついた言葉が期せずして一致するのは必然であると言えましょう。

 このように、ランズマンの歴史的遺作『ショアー』は世界の歴史を学ぶ上で必見の映画であり、必読書でもあることは間違いありません。特に若い読者に勧めたいと思います。

 なお、当然ですが、ランズマン氏の訃報はドイツでは大きく報道され、シュピーゲル誌は5日の当日に電子版で、彼と親しかった人物の回顧録とも言える→長い追悼文を「時間に打ち克った男」との見出しで掲載したのに続き、翌6日の各紙には、左右中立を問わずいずれも優れた内容の追悼文が掲載されました。
 どれを取っても『ショアー』がドイツの「歴史を心に刻む文化」に決定的とも言える影響を与えたかが伝わるもので、この国のジャーナリズムの質量を見事に示したものが大半です。
ランズマン追悼文を掲載するドイツ語各紙6.Juli 2018.

2018年6月23日土曜日

349:沖縄戦終結73年記念日に・小田実対論『正義の戦争はあるか』を紹介します


 本日6月23日は沖縄では悲惨な沖縄戦終結73周年を記念して島民をあげての追悼式典が行われました。 

 以下のビデオは、今から18年前の2000年8月15日の日本の敗戦55周年記念日の前日の14日にNHK・BSで放送されたものです。小田実氏はそれから7年後の2007年7月に亡くなりました。

 このビデオは初放送から10年後の2010年12月11日にBSのアーカイブから選ばれ、オリジナルにプロデューサーの坂元良江氏(テレビマンユニオン)のインタヴューによる解説も加えて放映されたものです。それが最近→You Tubeで見ることができますので紹介させていただきます。

 この番組制作にあたりドイツでの取材企画にはわたしも全面的に協力して、また通訳もしましたので特に思い出の多いドキュメントです。

 沖縄戦の記憶が70年を超えてもますます厳しくよみがえり、平和な世界への祈念がますます強まっていますが、この番組で小田氏と対談した→ジョセフ・ワイゼンバウム氏の「戦争こそが敵なのです」との決定的な一言がますます重く感じられます。

 この世界的に高名な情報科学者も2008年3月に生まれ故郷のベルリンで亡くなり、昨年ドイツ政府の連邦教育研究省に創設されたインターネットの社会的影響を研究する目的のドイツインターネット研究所は彼の名前が冠せられ→ワイゼンバウム研究所とされました。

  彼も亡くなってからもますます影響力を増す偉大な人物といえましょう。 

2018年6月10日日曜日

348:米朝首脳会談を前に・ベルリンから見た「拉致問題に拉致された日本社会と外交」の陥穽・カナダG7で孤立するトランプ氏にハシゴを外された安部首相

 (この項の見出しは12日に後半を変えました。また二度にわたって追加加筆があり長くなっています。)
 さて、いよいよ明後日の12日、世界中が注目する米朝首脳会談がシンガポールで始まります。
レイキャビック会談の米ソ首脳 ヴィキペディアより
このトランプ大統領と金正恩委員長の初めての首脳会談が、1986年すなわち32年前のレイキャビック会談でのレーガン米大統領とゴルバチョフソ連邦総書記による会談が、史上初で唯一の実効性を持った核軍縮条約を実現し、欧州における冷戦終結へつながったような歴史的なものになるかは、全く予想不可能です。
 
 レイキャビック会談には、二つの核大国間の水面下での長く深い交渉が前提としてあったことに比べると、今回の首脳会談は、とりわけアメリカ側の準備が驚くほど付け焼き刃で、トランプ氏のパーフォーマンス外交だけに頼っていることから、成功には甚だ心もとないものがあります。従来の軍縮交渉ではありえない前提での首脳会談です。

 しかし、マイナスの二乗がプラスになるような効果があるいは起こり、休戦状態が長く続いている朝鮮戦争の終戦宣言などが実現され、それが中期的な核軍縮や平和条約への端緒になることへの期待は今日段階では許されるでしょう。

 そうなれば東アジアにおける冷戦終結の実現への大きな一歩となるからです。ベルリンの壁の崩壊を壁のそばから体験したわたしは歴史が大きく動く時にはありえないことが起こるものであることを知っているからです。

 逆にどちらかが席を蹴ってしまう最悪の場合には、反対に朝鮮戦争の再発の危機が一挙に高まるので、それだけは回避してもらいたいものです。特にトランプ氏はやりかねません。

  さてこのような世界史の節目に際して、日本の安倍政権の外交といえば、急速に変化する情勢に手をこまねいて、「拉致、拉致!、制裁、制裁!」を念仏のように繰り返すだけで右往左往することしかできない惨めなことになっており、両者の関係諸国からもまともに相手にされていない無能ぶりをさらすだけになっています。

 日本はどうしてこのような無能な外交の三流国家になり下がってしまったのでしょうか。それはひたすらアメリカにすがる安倍政権の歴史認識の質ならびに、それを批判すべき日本社会での、とりわけメディアの質の劣化によるものです。

 先に→346回の投稿では、2007年に「拉致問題に拉致されて動きのとれない政権」であることを指摘した論稿を既に紹介しました。
 この論考に先立ってわたしは小泉政権時に拉致問題が露呈した直後、また翌年に迫った第二次イラク戦争勃発の危機にあった2002年の秋に執筆した論稿がありますのでそれを再録しましょう。

 なぜなら、当面の米朝首脳会談がどのような展開をもたらそうとも、この論考にある日本が追求すべき基本的な歴史の見方が、ここにきていよいよ現実性を持ったものであるからだと考えるからです。本稿は『世界』誌の2003年 1月号に掲載されたものです。

 いつものようにいささか難解で、若い読者には不向きであるかもしれませんが、明日うらしまの歴史体験を語るものとして読んでいただければ幸いです。
(クリックして拡大してお読みください)

6月11日に以下の論考に出てくる場面の写真を二つだけ追加します。
 文中にある旧東独国境警備隊の監視塔の銃眼からの写真。正面に東西ドイツの国境であったシュプレー川が流れ、その向こうに国会議事堂の建物が見える。1995年7月。

『アサヒグラフ』1995年9月1日号 写真:早坂元興特派員

上記写真の左の残土の向こう側に建設されたドイツ連邦プレス会議の建物。川に面した2階と3階にかけての出っ張り窓のあるところは文中にある記者会見場。

ドイツ連邦記者会議 写真:梶村






この論考への注釈:
 この今から16年前の論考は、二つの特徴があります。

 一つは、当時日本のメディアを席巻した感情論に対して冷戦の厳しさを指摘するため、いわゆる拉致問題を鴎外の「山椒大夫」を持ち出して国際人道法の面から論評したものとしては最初のものです。洋の東西にいまだに根強い勧善懲悪思考が必ず「人を恨めば穴二つ」に陥ることを指摘しました。日本の貧弱な外交がここで指摘した陥穽に落ち込んでいます。

 もう一つは、9・11のニューヨーク・ワシントン同時テロを契機にアメリカで勃興したケーガン氏らのネオコンの「テロへの戦争論」のイデオロギーを、第二次イラク戦争を前にして日本で批判的に紹介した初めてのものであることです。
 そしてこの共和党のイデオローグのケーガン氏もトランプ氏の登場に危機感を持って、大統領選挙の際から反トランプ 陣営に立ったことを指摘しておきます。
 
 アメリカファーストをスローガンにするゼネコンの商法で世界政治を仕切ろうとするトランプ政権は、ここ100年近い合衆国の覇権主義の本格的な終わりの始まりだといえましょう。「パクッスアメリカーナ・アメリカによる平和」の終焉が始まっていることを日本は自覚すべきです。

速報として付録です:

ヨーロッパ時間の9日の夕方、以上の投稿を書いている時に、カナダで開催されているG7首脳会談の舞台裏の様子を見事に物語る写真を、メルケル首相に同行しているドイツ政府スポークスマンのザイベルト氏が先ほど彼のツイッターで伝えました。

 G7の二日目の朝、首脳宣言をなんとか実現しようとして、公式会談の裏舞台でマクロン仏大統領と並んで、トランプ大統領を説得するメルケル首相の姿です。そばで腕を組んでいる安倍首相、その隣で見守る超保守のボルトン補佐官らの表情がすべてを物語っています。

これが孤立しながら、平気でふんぞりかえる唯我独尊のトランプ大統領の姿です。
この日は、首脳のほとんどが徹夜で首脳宣言のすり合わせをして最後の詰めをトランプ氏に迫っている時のものです。
フランスからの報道によれば、メルケル首相が説教し、マクロン大統領がなだめるという役割分担でなんとか首脳宣言に同意したようです。 安倍首相はそばに立って沈黙しているだけであったようです。

 ザイベルト氏によれば随行しているドイツ政府のカメラマンJesco Denzelさんによる写真です。早速dpa-ドイツ通信が流していますので、この写真は明日から世界中のメディアで使われて歴史に残るでしょう。

 G7を維持するために何とか首脳宣言は成立しましたが、肝心要のトランプ氏の関税問題には踏み込まない骨抜きのものになったようです。

写真に関する6月11日再追加です:

 トランプ氏にハシゴ外された安倍首相。さてどうする?


 ここまで書いてひと寝入りして起きてみると、予想した通り写真が世界中に広まっているだけではなく、トランプ氏が一旦同意した首脳宣言への署名をシンガポールへの途上で拒否することをツイッターで通告したために、余計に歴史的なものとして世界中のトップ記事に使われています。

 まるで中世の封建領主並みの呆れた振る舞いですね。

 そこで日本政府の反応をみると、同行し自分も写っている西村副官房長官が、このよううにドイツ政府の写真をちゃっかりパクって、あたかも安倍氏が首脳宣を「主導した」かのようなことをツイッターに書き込んでいます。
 それだけではありません。この場面の写真を各国政府の政治筋がそれぞれ別の写真で伝えたものですから、安倍首相が説得しているような写真を使って追加しました。


 首相官邸はこれです。


 そして安倍首相本人はこう書き込んでいます。

 その上で、首相は→「G7終幕 会見で結束の意義強調」と記者会見をしています。
これは官邸のHPでも保存されています。
 ところが、そこに届いたのがトランプ氏の通達です。


 カナダの首相府はもちろん、ドイツ首相府やマクロン大統領府はすぐに反論し、「宣言は首脳全員で同意されたものであるので有効である」との表明をしています。
 週明けの欧州主要国での論調は、おしなべて(つまり保守革新を問わず)ここにきてついにトランプ政権への信頼が完全に失われたものになっています。

 どういったわけか安倍首相も日本政府も、このトランプ氏の勝手極まる行動には一切口をつぐんだままで、また日本のメディアもこれに関する政府の見解を問いただした報道も今のところでは見ることができません。明らかに「臭いものには蓋」の悪しき習性がここにも見られます。

 漁夫の利で合意を主導したかの筋書きを、3時間後にトランプ氏本人によってあっさりハシゴを外された安倍首相、果たしてどうするのでしょうか? 
だんまりを決め込んめばメンツが保たれるとでも思っているのでしょうか?
であれば姑息でお粗末な噴飯芝居となり、トランプ氏のポチとして信用が落ちるだけです。この点を追及しない日本のメディアも同罪です。