2012年7月21日土曜日

102の(下):チェルノブイリで子どもの病気を隠蔽した「エートス・プロジェクト」がフクシマで再稼働・付録あり


 エートス・プロジェクトについて(下)

             市民と科学者の内部被曝研究会 牟田おりえ 
                          2012年7月17日

3.ベラルーシのエートス・プロジェクトとロシャール氏について


  3-1.エートス・プロジェクト
 
2000 5 18 日にシュナイダー氏が広島で発表した「汚染地域における生活条件の回復̶ エートス・アプローチ」(国際放射線防護学会主催)で、なぜ ETHOS プロジェクトが必要と されたかについて述べているので、ご紹介します。現在の日本の事情と似通っています。
チェルノブイリ原発事故から 10 年後の 1996 4 月に始まったこのプロジェクト(CEPN 主導)の達成目標は、汚染地域の住民が回復プロセスにおいて、自主的な自治能力をもった行 動者となるための条件作りで、住民の自信と社会の信頼を取り戻すことだと言っています (p.5)。この実験的プロジェクトの対象として選んだのが、年間線量 1~5mSv、土壌中のセ シウム量が 185~555kBq/m²の所、ベラルーシ法(1991)によると、「移住権利地域」(voluntary relocation zone)であり、かつ、地域コミュニティーがプロジェクトに参加してくれることが 条件で、チェルノブイリの西に位置するブレスト(Brest)地方のストリン(Stolyn)地区の 中の人口 1,265 人のオルマニー(Olmany)村を選びました。理由は強制的移住地域ではない ため、残っている人の生活条件の回復が必要とされたからです。
 
 日本と比較した場合のご参考までに、2012 年 5 22 日に市民放射能測定所理事の丸森あや さんに連れられて、フェルネックスさんとご一緒に福島市内をまわり、渡利地区の公園で撮っ た写真をフランスの放射線専門家に送った時の反応をご紹介します。「この公園は除染作業が 完了しました」という立て看板の隣のモニタリング・ポストの値が 0.479μSv/h を示している写真です。早速驚きの返答がきて、「除染後でも年間線量が 4.2mSv になる! ICRP の非科 学的限度値でも、一般市民が受けていいとされる線量の 4 倍以上だ。土壌の表面のセシウム量 は 240,000Bq/m²だろう」とのことでした。そして、そこでの生活は勿論、子どもを決して近 づけてはならないと忠告しています。
セシウム量だけに関していえば、エートス・プロジェクトが対象とする「移住権利地域」に 相当するわけですが、ベラルーシ法の基本は「年間被曝量が 1 ミリシーベルトを越えなければ、 人々の生活および労働において何の制限措置も必要としない」5というものです。日本政府は 20mSv まで子どもが普通に暮らしていいとしていますし、ロシャール氏も、日本政府の 20mSv を支持しています。
ロシャール氏・シュナイダー氏ら、ヨーロッパから来たプロジェクト・チームがベラルーシで最初に遭遇したのは対話集会における村人、特に母親たちからの質問攻めでした。 

* 子どもたちとここに住み続けても大丈夫でしょうか?
* 健康被害があるでしょうか?
* 移住したほうがいいか、残っても大丈夫か?

村人の「専門家」に対する不信感は強く、プロジェクト・チームが倫理的観点から村人の質
問に答えられないのだというと、別の形で聞いてきました。
* あなただったら、ここに子どもを連れてきて、住みますか? (p.7.)

村人は科学者が自分たちをモルモット扱いしているように感じること、このプロジェクトに 参加することで、どんなメリットがあるのかという懐疑的な質問も多かったそうです。
プロジェクト・チームがしたことは、母親たちに線量計を渡して、自分たちで計測し、内部 被曝についても、子どもたちが何をどのくらい食べれば、線量がどの程度になるのかを自ら計 測して知ることで、その結果、母親たちはむやみに心配しなくなったといいます。
 
プロジェクト・チームは、校医である小児科医に対して、子どもたちの検診と放射線防護と を結びつけるために、定期的なホールボディーカウンターによるモニタリングと健康診断をさ せました。その結果、2,3ヶ月後には子どもたちの内部被曝量が下がり、1997年7月から1998 年 12 月の間の減少率が 30%以上だと報告しています(p.10)。
 
 この報告書に対する疑問は、特にこの箇所で強くなりました。成果報告なのに、子どもの内 部被曝量が数値で示されず、検査方法も検査者も明記されずですから、口から出まかせの数字 と批判されても仕方のない杜撰な報告書です。次節 3-2 でご紹介するように、フェルネックス さんからの情報では、数値を発表できない理由があったわけです。「成功」どころか「惨事」 だったわけですから。
 
 最後に気がつく点として、しきりに「放射能文化」(radiological culture)という言葉を使い、 子どもたちにもこの文化を学ばせると強調しています。しかも「汚染地域に住む子どもたちの教育」という章では、最初にすることとして、プロジェクト・チームと学校側との「ロマンス」 をあげています。この場合の「ロマンス」は単にいい関係と理解するのでしょうが、このプロ ジェクトが母親や学校側に対して、情緒に訴える方法を重要視しているようで、非常な違和感 を覚えます。特に「放射能文化」という語を使い始めたロシャール氏とシュナイダー氏らがな そうとしていることを考えると戦慄を覚えます。20 世紀後半まで市民生活の中には存在しな かった放射能(ここで言う放射能は広島・長崎の原水爆投下に始まり、核実験や幾多の原発事 故から放出された放射性物質)との共存生活を正当化し、受け入れるための新たな「文化」創 出だと理解するからです。人類と自然界を滅ぼす「文化」の創出だと理解できます。
 
出典:ロシャール氏とシュナイダー氏を含む 10 人の執筆者 The ETHOS Project in Belarus 1996-1998: Synthesis of the major outcomes of the ETHOS research project on the rehabilitation of living conditions in contaminated territories affected by the Chernobyl accident”, May, 10th International Congress of the International Radiation Protection Association: http://www.irpa.net/irpa10/pdf/E11.pdf

3-2.エートス・プロジェクトによる子どもの高い罹患率の隠蔽

 
ロシャール氏・シュナイダー氏らによるエートス・プロジェクト成功報告会は、この後、現 在に至るまで 22 年間続くわけですが、2001 年 11 15-16 日に実験地であったベラルーシのス トリンでも第 1 回エートス・プロジェクトの国際セミナーが開かれました。
この会議にはミシェル・フェルネックスさんご夫妻も、ドキュメタリー映画『真実はどこに? ̶̶WHO と IAEA 放射能汚染をめぐって』の監督のウラジーミル・チェルトコフさんも出席し ていらしたそうです。フェルネックスさんはエートス・プロジェクトを計画している福島の人々 に以下の事実を知らせてほしいと書いて下さいました。
この国際セミナーで最後に発表したのは、この地区を担当する小児科医でした。いろい
ろなデータを示してくれましたが、医学のどの分野でも、壊滅的な状態を示すものでした。 * 誕生時からの恒常的な健康悪化
* 深刻な症状の急激な増加
* ブレストでは入院を必要とした子どもが
1986-87 年の 10 倍に増加。
(注:ブレストはオルマニーから西へ 400km ほどの位置にある人口 31 万人の都市で、 放射能汚染の点では、オルマニーほど高くない所のようです)。
この小児科医以外のプレゼンテーションはすべて主催者が準備し、配布資料がありま したが、小児科医の発表については主催者側は何の用意もせず、配布資料もなく、セミ ナー後に公刊された長い報告書には彼女の報告は削除されていました。

エートス・プロジェクトの目的はなんだったのでしょう? エートス・プロジェクト の医学的失敗は、子どもたちの健康の改善が見られなかったどころか、子ども達の症状 が恒常的に悪化していったことです。特に重篤な症状で入院する子どもたちが 10 倍にも 増えたことです。これは誰もが最も知りたい情報のはずです。
報告書の中で「汚染地域における健康問題に関する研究は続けられなければならない」 とされていますが、この報告は真実ではありません。このセミナーでは小児科医が報告 したのですから。
 
私(牟田)の「ふくしま集団疎開裁判」ML 宛の 6 7 日付けメールでお知らせした内 容をお読みにならなかった方のために、付け加えておきたいと思います。この国際セミ ナーでフェルネックスさんはプロジェクト・チーム内の専門家に実際のところはどうだ ったのか聞いたそうです。
 
状況について、小規模農業の専門家として知られているオラニョン教授の言葉を借り て要約します。この人物とは会議で会ったのですが、そこにはロシャール氏もいました。 オラニョン教授にエートス・プロジェクトの結果を聞くと、「上出来でしたよ。...子ども たちがどんどん悪くなっていきましたからね!」と言うのです。
オラニョン教授は真実を語っていました。私はエートス・プログラムの最終段階の頃 に、ベラルーシのストリンにいましたから、よく知っています。[会議では]報告者すべて が、いかにすばらしいプロジェクトか、市民といかにうまくやったかを説明していまし た。汚染が深刻な地域ほど、[放射線]防護がうまくいったと。母親の[放射能]教育につい て、そして、最後にじゃがいもの生産について、セシウム 137 が以前より少なくなって いたので、ミンスクでもこの汚染野菜が販売できる程度に、ぎりぎりだけれど、下がっ ていたことなど。このように、会議全体は見事にまとめられ、発表者はみなパワーポイ ントでスライドを見やすいスクリーンに映すなど、見事でした。
最後にこの地区を担当している小児科医が登場しました。彼女はパソコンも持たず、 パワーポイントのスライドもなく、手書きの紙原稿と、複雑な表を持って現れ、それを 手で示しながら話すのです。最後の発表者でした。彼女の話は私にはよくわかり、表も 見せてもらいました。
エートス・プロジェクトが行われた 5 年間[注:第 2 回エートス・プロジェクトを含め てだと思われます]、状況はどんどん悪くなっていきました。呼吸器感染が頻度だけでな く、深刻度の点でも増えていき、異常な合併症を伴い、心臓病もずっと深刻化し、どの 症状でも同様でした。[チェルノブイリ原発]爆発の年は、入院が必要な事例は年間 100 だったのに(1986—88 年は変化がなく)、その後、極度の感染症による入院者数は年々上 昇し、最後の年は 1200 事例でした。エートス・プロジェクトが始まって、この増加線は 安定するどころか、落ち着く筈の年にまで上がっていたのです。[学校の]学期中の欠席者 数は増え、尿管の感染症がぶり返し、慢性化しました。問題は生まれると同時に始まり、 新生児のほとんどが治療を必要としていました。
エートス・プロジェクトは医学的に見れば「惨事」です。この小児科医のデータは出 版されることなく、忘れ去られています。エートス・プロジェクトは次のコア(CORE)・ プログラムのモデルとなって、これは今も続いています。ロシャール氏のこのような許 されない行為をどうやって阻止できるかという点について。日本の医者のみなさんが、 この現実に目を覚まし、現状を正しく研究してくれることを今でも[遅すぎるけれど]願っ ています。この放射能事故によって、市民全体の健康がとてもゆっくりとしたペースで はあるけれど、悪化し続け、それは一番幼い子どもから始まり、次に原子炉で働く作業 員、そしてその子どもたちというように、ただし、被曝した父親よりも子どもの方が先 に悪くなる場合が多いということに、日本の医者はもっと関心を払うべきです。

注:この内容をパリ在住のジャーナリスト、コリン・コバヤシさんが 6 28 日にフェルネック スさんの自宅を訪ねて、インタビューし、日本語字幕つきのユーチューブにして下さいました ので、ご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=2_oKtjnh52c&feature=youtu.be

また、当時フェルネックスさんが書かれた投稿記事も日本語訳して、アップして下さいまし たので、あわせてお読みいただければと思います。 http://echoechanges-echoechanges.blogspot.fr/2012/07/blog-post_16.html

3-3. エートス・プロジェクトのもう一つの顔

 
フェルネックスさんが福島のみなさんに是非伝えてもらいたいというもう一つの点は、エー トス・プロジェクトがベラルーシに入ってくる 6 年以上前から住民の放射線測定や放射線被害 防止のための研究と活動を続けていた民間組織「ベルラド研究所」の計測機を使用し、研究所 の技師を使って、地域の生産物の放射線量を計測したのですが、その結果を研究所長のワシー リ・ネステレンコ博士に渡さずに隠蔽したのです。現実は、計測結果が期待したものではなか ったからです。世界銀行なども関わる世界的なプロジェクトですから、資金も潤沢だった筈で すが、ベルラド研究所の技師と機具を使い、その分の給料を要求しても認めず、また、研究所 が開発したペクチンを 3 週間子どもに与え、セシウムの蓄積を減らすプログラムへの資金援助 も断り続けていました。エートス・プロジェクトが得た情報の提供と、研究所の活動に対する 支援を依頼すると、「ストリン地方で追跡調査する予算はない」と一蹴されたそうです。
 
ワシリー・ネステレンコ博士(1934-2008)はベラルーシの核エネルギー研究所所長で、原 子炉開発で著名だったそうですが、チェルノブイリ事故に衝撃を受け、事故直後にヘリコプタ ーで上空を飛んで視察をし、その後は亡くなるまで住民を放射線被害から守るために研究と活 動を終生続けた方です。また、バンダジェフスキー博士と共に、内部被曝の研究をして、目下 チェルノブイリの放射能被害に関する研究書としては最高と評価されているニューヨーク科 学アカデミー刊『チェルノブイリ̶̶大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(ネットで閲覧 可:http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf、翻訳は岩波書店から 刊行予定とのことです)の編著者の一人です。

おわりに
 
 4 21 日に東京大学で内部被曝問題研究会・東京大学講演会実行委員会・北海道大学 GCOE 境界研究の拠点形成共催で行われた「低線量被ばくに向き合う̶̶チェルノブイリからの教訓」 講演会でウクライナ国立放射線研究所小児放射線部長のエフゲーニアヤ・ステパーノヴァさん がなさった報告内容は衝撃的でした。
慢性疾患を持つ子どもの割合が 1986-87 年の 8.4%から、2005 年の 77.8%に増加したという 研究データ、その他、ありとあらゆる疾患に苦しむ子どもの割合が年を経るごとに増加してい る現実は、日本の放射能被害のこれからの発症率を想像させます。
更に悲惨なのはベラルーシの子どもたちです。ガリーナ・バンダジェフスカヤ(小児科医、 心臓専門医、バンダジェフスキー夫人)さんが 2012 5 12 日にジュネーブで開催された 「WHO 独立を求める会」(Independent WHO)主催の「放射能防護に関する科学者と市民フ ォーラム̶̶チェルノブイリからフクシマまで」で報告なさいました。
2009 年のベラルーシ全土の就学児童のうち、58.1%が機能障害と慢性疾患リスクを抱え、 13.8%が慢性疾患を発症しており、2007 年のデータと比べると、健康な子どもの数は減少して いるそうです。2002 年から 2010 年のデータでは、先天性心臓病の率が 3 倍以上に増加してい ること、先天性心臓奇形の頻度も上昇し続けていること、悪性腫瘍だけでなく、眼疾患、循環 器系疾患等々、25 年後の今子どもたちに何が起こっているかを詳細に報告なさいました。そし て最後に悲痛な叫びに近い訴えをなさいました。「政府はこの国の未成年者の健康が悪化したこ とを認め、子どもたちの健康にとって有害な状況は政府・放射線防護専門家・科学者が改善し、 治療に対して、具体的な行動を起こすことが不可欠です。政府がすべき最も重要な義務は、子 どもと青少年の健康を守ることです。これらの子どもたちが国の経済の可能性を決定し,その 国の人口増加能力があるかどうかを決めるのです」。
 
 4 21 日の講演会の DVD がようやく完成したので、ご紹介します。講演会ではわかりにく かった部分を字幕で補い、翻訳・通訳の間違いも専門家に念入りなチェックをお願いし、コメンテーターの今中哲二さんにも内容チェックなど、緻密な編集をなさったので、講演会よりも わかりやすいものになりました。ご注文は牟田(muta.orie@gmail.com)までお願いします。2 枚1組セットで送料込み¥2,000 です。
ジュネーブ・フォーラムの報告集は目下、各国言語に翻訳中で、近いうちに公刊される予定 です。
 
最後に、エートス・プロジェクトの背景を知る意味でも、なぜ世界の市民の健康を守る役割 である筈の WHO が核推進の IAEA と一緒に放射能被害に眼をつぶっているのか等の背景も知 っておく必要があると思いますので、是非以下の DVD をご覧ください。

* ウラジミール・チェルトコフ監督『真実はどこに?̶̶WHO と IAEA 放射能汚染をめぐ って』(2004)の DVD をご覧ください。フェルネックスさん、ネステレンコさん、その 他、チェルノブイリの子どもたちを救うために長年闘ってきた方々がIAEA, WHOと激 論する会議の様子や、放射線被害に苦しむ子どもたちの話を追求しています。
* ウラジミール・チェルトコフ監督『サクリファイス』(犠牲)はチェルノブイリ事故処理 にあたった作業員たちの記録とインタビューです。

1 ミシェル・フェルネックス(Michel Fernex):スイスのバーゼル大学医学部名誉教授。長年 WHO の委員として感染症研究に携わった。チェルノブイリ事故後になぜ WHO が援助しないの かに疑問を持ち、1957 年の IAEA WHO の協定にいきあたった過程が『真実はどこに?』で 描かれている。2012 年 5 12 日のジュネーブ・フォーラムでは「福島の失われた時間」とい う発表をし(フクシマ集団疎開裁判ブログに掲載)、福島の子どもたちが心配だと、その直後に 自費で日本に向かい、広島・京都・浦和(肥田舜太郎先生との講演会)・福島・東京で講演会+ 上映会(『真実はどこに?』)、そして福島の市民や医師、農家の人々との交流会でアドバイスを なさいました。市民の心配の声に真摯に耳を傾け、一人一人に向き合う姿には感銘を受けまし た。フェルネックスさん他の『終わりのない惨劇̶̶チェルノブイリの教訓から』(竹内雅史訳、 緑風出版、2012)もあわせてお読みいただければ、かなり問題が見えてくると思います。

2 ミハイル・マリコ「チェルノブイリ原発事故:国際原子力共同体の危機」、今中哲二(編)『チ ェルノブイリによる放射能災害̶̶国際共同研究報告書』、技術と人間、1998、ネットで閲覧可: http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Malko96a-j.html
 
3 V.G.バリヤフタル他、今中哲二(訳)「IAEA 報告への反論」、『技術と人間』1992 年 9 月号所 収、ネットで閲覧可:http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/GN1992-9.pdf.

4 出典:ETHOS IN FUKUSHIMA ブログ http://ethos-fukushima.blogspot.jp/2012_01_01_archive.html

5 ウラジーミル・P・マツコ、今中哲二「ベラルーシにおける法的取り組みと影響研究の概要」、 今中哲二(編)『チェルノブイリによる放射能災害̶̶国際共同研究報告書』、技術と人間、1998、 ネットで閲覧可:http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/J-Version.html 

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付録

牟田論文は以上の通りですが、梶村よりの付録として、では現実に日本においてこの「偽エートス・プロジェクト」が、どのようにおこなわれているかをネットで見られる実例をふたつだけ挙げておきます。
 牟田論文の裏付けとしてご参考まで。

ひとつは、そのものズバリ:
ETHOS IN FUKUSHIMA

もうひとつもズバリでこれです:
→【フクシマの話を聞こう】チェルノブイリが生んだ「エートス」との出会い 安東量子

いやはや素晴らしい!
世界の原発マフィアたちは実に着々と仕事をしています。
終わりに写真を一枚お借りします。上記「フクシマの話しを聞こう」からのもので、
福島に乗り込んだロシャール氏です。
22日、付録の追加ふたつです。

まずは、牟田氏がここで紹介されている →「真実はどこに? - WHOとIAEA 放射能汚染を巡って -(原題:Controverses nucléaires)」 がYou Tube(51分)で見ることができます。
これを見ると2004年ごろにベラルーシの子どもたちがどんな状態になっているかが理解できますので、是非ご覧ください。仏露英語からていねいで正確な日本語になっています。

もうひとつは、このドキュメントの争点の背景となっているWHOとのIAEA の問題については、3ヶ月前に書きました →「IAEAとWHOのさるぐつわ協定」をお読み下さい。この「さるぐつわ協定」を理解しないと、なぜこのような争いになるのかが理解できないからです。おおいに手前味噌ですが、日本語のネット上で、この問題を簡単明瞭に資料を挙げて説明したのは、これが初めてであるようです。

23日さらに追加します。
この問題では、同じくいわき市の市民運動の方のHPに→ エートス関連記事情報リンク集
が 昨日開設されています。進行中の情報はここから得られるでしょう。





7 件のコメント:

  1. [ Das leise Sterben 静かなる死 ]
    衝撃的で当時とても和訳する気になれなかった、
    と訳者は書いておられます。
    日本人だけの癖であろうか?衝撃を何故避けてしまうのか、
    当時の政府と東電の行動も同様でした。
    衝撃的事実は目を覚ます起爆力に成り得たと思うのだが。

    私は昨年の3月の躊躇いに衝撃をうけています。

    http://echoechanges-echoechanges.blogspot.com/2011/11/vendredi-21-octobre-2011-canard-plus.html

    これは3月、福島原発が爆発した直後にドイツのニュース専門チャンネルn-tv オンライン版に掲載された記事です。タイトルからしてあまりに衝撃的で、当時とても和訳する気にならなかったのですが、福島から遠く離れた横浜でもストロンチウムの検出された今、翻訳してみることにしました。ここでインタビューに答えているドイツの女医ドルテ・ズィーデントプフさんは同じ時期、ドイツ第一テレビARD局の『遺伝子の中で荒れ狂うチェルノブイリ』 にも登場されていました。

    (以下ソース内容から抜粋)
    n-tv:汚染地域で生きること言うことを、どのように想像したらいいのでしょうか?

    生きるですって? 何よりも人々は死んで行くのです。静かに死んでいきます。主に癌が原因ですが、あらゆる病気で人々は死んでいきます。ストロンチウム も大きく起因しています。例えばエネルギー交換が不可能となって心筋がやられます。ベラルーシーで行った診察は、子供達が2歳、3歳、4歳にして急性心不 全で死んで行くことを証明しています。癌だけではないのです。腎臓不全、肝不全や多くは血液製造障害が原因で人々は死んでいきます。これらは「チェルノブ イリ・エイズ」という名称で知られ、生き延びられるチャンスはほとんどありません。

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  2. Fabyさま、

    ご指摘のインタヴューの内容はドイツではよく知られています。昨年のチェルノブイリ25周年の国際会議でも多くの報告がありました。
    ベラルーシの汚染地帯では何と子どもの80%が健康ではないとの報告があります。特に知能障害が増えているようです。どうやら内部被曝で脳神経の障害が起きているらしいのです。

    実に恐ろしいことです。フクシマでも多かれ少なかれ似たような事例がすでに出ているでしょう。まずは地元の医師たちが勉強して事実をしっかりと把握することが何よりも大切です。まだ水面下ですが心ある医学者たちが動き始めているようです。日本の一般の医師たちにとっては、まったく「想定外の事態」なのです。

    そして、出来るだけ早く汚染地帯からの移住が必要です。特に子どもと若い女性のいる家庭にはそれが必要だと思います。内部被曝で遺伝子がズタズタに切られてしまいつつあるからです。

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    1. 梶村さま
      私は昨年の10月21日に和訳されたものを見逃していたうえに、
      数日前にこの情報に接したのは何であったのかと嘆息いたしました。
      311以来多くの重要な情報が海外から得られました。
      それも多くの日本人にとっては日本語に訳されるまで知り得なかったのですが。
      避難の感覚の賞味期限が切れかかっている今こそです。
      死を語る事で生きる人たちが増えるはずです。

      「被爆てんでんこ」で逃げることに後ろめたさを感じている方々に情報を。
      知性の衣で化けた死の宣教師が世界に広がることがないように。
      どなたも躊躇せずに真実を伝えて下さいますように。

      Faby

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  3. Fabyさま、

    ICRP勧告111に注目して、この「偽エートス・プロジェクト」をいわきで立ち上げた市民の皆さんは、ICRPとローシャル氏にとってはいわば「かもがネギ背負って現れた」ようなものでしょう。
    牟田さんが懸念されているように「捕って喰われる」殊にならないように願いますが、もう明らかに彼らの大きな口の中にいるようです。

    赤ずきんちゃんではないですが、救い出すことを考えねばなりませんね。この際、猟師の鉄砲玉は事実/factです。

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    1. 梶村さま

      進んで狼に身を委ねる方は安らぎを得ているのかもしれません。
      自分の不安を上手に慰撫する理由を求めているからでは。
      この際、既に狼の腹に納まってしまった方の意志も尊重いたします。

      が、
      取って食われる罠について警告することができます。
      狼は祖母さんに化けて赤ずきんちゃんを騙しましたね。
      狼を暴露する猟師は私たち、その正体を知る者が適任でしょう。
      私たちとはもちろん政治に携わる方々もですが。

      狼がどんな知的偽装をしようとも、見抜き拒絶することが最強でしょう。
      直感と洞察力を備えた七匹の子やぎの末っ子を増やすことです。

      狼は心の中に潜む真実を恐れる幼い獣です。
      狡猾なライネケの僕と見えます。
      撃つならライネケ狐が先でしょう。

      近頃はトンだ脂肪の塊まで官邸に居座っております。

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  4. Fabyさま、

    わっはっは!、ご洞察のとおりです。本当の悪党はライネケ狐です。この狡猾狐はどんなことがあっても生き残りますからね。

    実はわたしは芥川ではありませんが、ゲーテのこの作品の大フアンでして、あるとき行きつけの古本屋の主人に勧められてKaulbachの挿絵のある1846年版を購入して堪能しています。
    挿絵はこれですhttp://www.christian-von-kamp.de/Reineke.html

    最近もこの偽エートスプロジェクトに近い田中俊一氏らがなんと原子力規制委員会を牛耳ろうとしていますね。この連中こそライネケ狐の日本での直接の手下ですね。まずはこの連中を撃つ必要がありましょう。

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  5. 梶村さま

    ゲーテの恐い辛辣な寓話・・・イソップは草食系。
    やはり肉食系の歴史そのものですね。
    銅版画の緻密な挿絵は恐いほど生き生きしていて、
    絵の中にポダム一族がいるような現実味です。

    狐の宴会に鴨が葱を背負ってやってくるのは無分別。
    (偽りの希望を差し出す陰には必ず強欲の亡者がいる。魚影亭)

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