東京新聞によれば:
浜岡原発(静岡県)の差し止め訴訟で弁護団長を務め、連絡会代表の河合弘之弁護士は「これまでも危険性を訴えてきたが、国、電力会社、裁判所は無視し続けてきた。原発はもはや絶対に容認できない。あらゆる手段を尽くして闘い続ける」との声明を発表した。
との ことです。これも非常に大きな出来事です。この河合弁護士は10数年前に浜岡原発の危険性に気づき、静岡の住民に「火をつけてまわって」差し止め訴訟を起こした、実に胆力のある人物です。
彼は、2002年の「浜岡原発とめよう裁判の会」結成集会での連帯のあいさつで以下のように述べています:
私共の裁判の闘いは、ずっーとやってきて全敗でした(笑い)が、一回勝ったら後は全勝です。絶対、トンネルを抜けたら後は明るい未来なのです。だから、そこを目指して頑張らなくてはいけないと思うのです。(略)僕は故・高木仁三郎さんと大変親しく付き合わせて頂きました。彼は本当に反原発運動に、身も心も100%捧げた人ですけれども、「時々、本当に疲れて嫌になってしまう。でも考えると最後は勝つのだから、そう思えば気が楽だな」と、おっしゃっていました。ですから皆さん、反原発の闘いは必ず勝つと確信してください。
当時からの彼のユーモアと原発全廃に向けた半端ではない信念が判るのでここで全文をお読み下さい:http://www.geocities.jp/ear_tn/mokuji/kotoba01.html
わたしも前回報告した日弁連の反原発部会のドイツ調査団におつきあいをして河合氏に何度か会っています。2009年の 年末の際は参加されていなかったのですが、ここで健在ぶりを知り頼もしく思い、この際、紹介しておきます。
この写真は2004年、脱原発法で再生可能エネルギー転換が急速に進むドイツの情況を調査し、当時の世界最大のオフショアー風力発電プロジェクトなどを視察したさいのものです。これはライプチッヒ郊外のシーメンス社の当時としては最大の太陽光発電実験プロジェクトの現場です。
中央が河合弘之弁護士。2004年11月4日、撮影梶村 |
今見れば、まだまだ初期の太陽光パネルであることがわかります。技術者から説明を受けています。
そういえば、シーメンス社は東芝や日立と同じくドイツの原発産業の大手ですが、最近の最終的脱原発確定により、原発部門から完全に撤退し社の構造改革に基づく新たな戦略を近く実行するとの報道があります。再生可能エネルギーと分散型コジェネなどへ重点をシフトするとのことです。
さて河合氏は昨日の脱原発弁護団全国連絡会を結成するにあたって7月8日、社会民主党の福島みずほ党首と対談して考えを述べています;
河合弘之弁護士「脱原発弁護士、大いに語る」
文字:
http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-entry-1875.html
対談動画:
http://www.youtube.com/watch?v=XcOEPO_6TFM&nofeather=True
ここから一部を断片的に引用しておきます:
河合:
菅さんはいろいろ言われているけれど、浜岡原発を止め、再開はストレステストが終わってからという、極めて当然の、しかし非常に反対の強い決断をした、この2つだけでも彼は非常に評価すべき宰相だと思いますよ。僕はできればデモに行って、菅さん頑張ってと言いたいです。彼が原発を完全に止め、エネルギーシフトを方向付け、歴史に残る宰相として退陣すべきで、それまでは辞めるべきじゃない。前の数ヶ月で辞めてしまったへなへなの首相達と違って、何を言われようと自分のやりたいことをやるまでは辞めないというあのしぶとさはおおいに買うべきです。
この点はわたしも全く同じ意見です。菅直人総理がここで永田町のサーカスのノミどもにどれだけ生き血を吸われようが、頑張ってほしいものです。
福島
メディアもそうで、私が付き合っているのは比較的若い世代なので、みな、こんなこと起きるんだったらもうやらないほうがいい、という人が圧倒的に増えてますね。で、とんでもないことが起きたし、今でも苦しんでる人が多いんですが、どうやって絶望からこの社会を変えられるか、なんですよ。でも河合さん、バイタリティというか、みなで力を合わせれば、この社会を変えられるというのをやっていきたいと思ってるんです。浜岡も再稼働もそうですが、だめかと思ってると、変わるじゃないですか。私も国会で浜岡のことを何度も質問し、始めはみな何言ってんだという感じだったんですが、最後は変わるんですよ。
河合
特に斑目尋問を追及したからね、あれは面白かったな。でも、僕がそういうと、今でも、「だけど、今原発止めるのは非現実的だから徐々に」なんて言う。でも徐々に何てやっててその間に事故が起きたらどうすんだというのが僕の考えで、それで僕はこの本にも書いたんだけど、今すぐに原発止めても差し支えない、何の問題もないというのが数字の上で明らかなのね。どういうことかというと、159ページのこれが原子力の総設備容量、この黒いところが実際に稼働している電力量、火力の設備容量はこんなに大きくて稼働はわずか50%なんですね。だから原発のこの黒いところを全部ペケにして全部今すぐ止めても、火力発電の稼働率を20%上げたら全部補える、今までと全く同じように供給できる。まして水力など設備容量の20%弱しか使ってないわけで、それを 80%くらいまで上げると、原発の不足が補える。
ということは、すぐ止めても何の問題もないということです。若干原料代が高いというくらいで、いいじゃないですか、少しくらい上がったって安全な方が。電気料金が上がったら経済が破滅するみたいなことを言う経済人がいますが、全く嘘ですよ。僕の提案は、日本の原発はまず即止める、全部止める、足らない分は火力発電で補う、それもなるべくCO2の少ない天然ガスでやる、そしてそれでついないでいる間、固定価格買取制度で自然エネルギーを劇的に増やす、そうすれば10年くらいで完全にキャッチアップできるんです。
つまり、日本も決断さえすればドイツと同様に早いうちに、再生可能エネルギーにシフトし、持続可能社会に移行することができるのです。
河合氏はこの対談の中で、「反原発市民運動も弁護団と車の両輪となるように全国的に団結してほしい」と述べています。この考えにわたしも大賛成です。フクシマで日本の原発ロビーは完璧を誇っていた外堀の水が干上がってしまっています。これから全国の弁護団と住民が一致して闘えば、本丸を落とすことができます。
その時は、日本の電力会社も日立も東芝も生まれかわるでしょう。
ドイツも30年かかって、ようやく勝利したのです。日本でも不可能ではないばかりではなく、それしか日本が生き残る道はないのです。
河合弘之弁護士は 市民と連帯しながら先頭で闘い続けてくださるでしょう。ガンバレ日弁連の脱原発弁護士!
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