2014年2月12日水曜日

230:日本は報道の自由ランキングで59位に転落:秘密保護法でついに「顕著な問題国」に。始まった記者の国内亡命

 2002年度からNGO「国境なき記者団」(本部パリ)が公表している報道の自由に関する世界ランキングの→2014年度報告が2月12日に公表されました。
 
 日本の報道の自由は、最初の2002年度では第26位で、以来上下を繰り返してきましたが、2010年度には民主党政権下で第11位にまで上昇し、ドイツの第17位を抜いていたのですが、2013年度はフクシマ事故の報道規制で、一挙に第53位に急下降し、本年度は特定秘密保護法の成立で第59位となりました。そしてついに、この図にあるように、5段階のなかの黄色の「満足できる情況」からオレンジ色の「顕著な問題」のある国へと転落しました。ちなみにドイツは本年度は第14位で白色の「良い情況」の国に入っています。
アメリカ合衆国は、昨年度の第32位から、スノーデン氏などの内部告発者の追訴などのため、今年は第42位まで下がっています。

この図の詳しいPDFはドイツ支部公表による→こちらからご覧ください。

これで、日本は→共同通信が伝えるようにいわゆる「先進国」の中では、唯一の「顕著な問題国」となりました。リストと地図のように、アジアではパプア・ニューギニアや台湾、韓国よりも下位となり、とても先進国とはいえなくなりました。

 今のところ→NHKも客観的に報道していますので、保存しておきましょう:
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 報道自由度 日本は順位下げる
 

ジャーナリストの国際団体、「国境なき記者団」は、国や地域ごとに、どの程度、自由な報道が認められているかを示す「報道の自由度」ランキングを発表し、日本は特定秘密保護法の成立で取材活動がさらに難しくなるだろうとして、前の年の53位から59位と順位を下げました。

「報道の自由度」ランキングは、フランスのパリに本部を置く、ジャーナリストの国際団体「国境なき記者団」が毎年、発表しているもので、今回は世界180の国と地域について12日、発表しました。
このうち日本については、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、フリーランスや外国人の記者が政府や電力会社の記者会見に参加できないことがしばしばあると指摘しています。
 

 そのうえで、去年12月に成立した特定秘密保護法の影響で、フリーランスや外国人の記者が原発の問題を取材するのは今後、さらに難しくなるだろうとして、順位を前の年の53位から59位に下げています。
また、国の情報機関による情報収集活動の実態が明らかになったアメリカも、前の年の32位から46位と大幅にランクを下げています。
このほか、1位のフィンランドを筆頭に上位8位までをヨーロッパが占める一方で、東アジアでは台湾が50位、韓国が57位、中国は175位、北朝鮮は179位と、いずれも順位を下げています。


----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
というのも、今年は特定秘密保護法の施行と、さらに安倍首相「オトモダチ経営委員会」の問題(これについてはドイツでの報道がありますので項を変えて報告の予定です)で、来年度はさらにランクが下がり、NHKは全く報道できなくなる虞れがあるからです。

日本語では→ハフィントンポストが、最も詳しく報告の日本に関する指摘の一部の翻訳も付けて報告していますので参考にしてください。

 さて、今回の報告でも問題点として再三指摘されている「日本特有の記者クラブ制度」と、フクシマ事故の報道制限ついては、2年前の⒋月にフリージャーナリストの上杉隆さんがベルリンで講演された報告(→その1→その2)で詳しく伝えたとおりです。
いずれも、よく読まれた報告ですので未読の方は参考にしてください。

 その時は、公表しませんでしたが、一枚の写真をお見せしましょう。これは上杉氏の講演のあとで、同じフリーランサーとして、日独の報道の自由の落差を現す物証を示したものです。左の上杉氏が示しているのが、ドイツ記者同盟発行の2012年度の記者証で、右の筆者が示しているのが、これを基にドイツ政府直属の連邦新聞庁が発行する同年度の連邦政府のアクレジ証です。これにより、わたしのような外国人のフリーランサーでも一定の実績があれば、ドイツでは大新聞の記者はもちろん、公共テレビの報道局長と全く平等に記者会見で並んで首相にも質問できるのが日常で、少なくとも法的な差別は全くないのです。

 
2012年4月13日ベルリン。写真:矢嶋宰

これらの他に、わたしはドイツ外国人記者協会の記者証も持っていますが、時にはこのおかげでドイツ人記者よりも優遇されることさえあります。例えば来週の2月19日には外国人記者協会会員だけに限定したガウク大統領との記者会見が大統領府であります。
 上杉氏ら日本人フリーランサーや外国人記者に対する差別は、とても先進国とはいえません。

 そして、日本の情況はまさに、今回のランキングが示すように、2年前より極度に悪化しています。
 それを示す一例です。先日から、東京都知事選挙でも現場から最も優れた報告をしてくれ、わたしもとても感謝している田中龍作氏が、→2月9日のツイッターで以下のように伝えています:


読者皆様 田中龍作は日本外国特派員協会FCCJ)」メンバーシップを取得し晴れて会員となりました 秘密保護法下ではフリーランスは報道機関と見なされないからです 簡単に逮捕されないため身分保証が必要でした

 これを目にしたわたしは、「ジャーナリストの国内亡命の始まりだ」と直感しました。ついにここまで来たかと思わざるを得ません。明らかに日本の民主主義が窒息を始めている兆候のひとつです。
 今年は、ジャーナリストのこのような国内亡命が増えるのではないかと危惧します。
その次は、牢獄か国外亡命となります。

0 件のコメント:

コメントを投稿