次々と発言が報道されていますので、その中で脱原発に関するものを今日から数日かけて追加しつつ紹介しましょう。(以下の報道では大統領の名字はウルフとなっていますが、これはあまり正確ではありません)
脱原発とは別に、大統領は震災と津波の被害者に対するドイツ市民の強いシンパシーについてもいたるところでます述べています。大統領によれば、ドイツ市民が集めた義捐金は4500万ユーロ(およそ50億円)になるとのことです。 これも大変ありがたいですが、最大の日本へのお土産は脱原発であることを彼は自覚しています。さて日本社会が、特に政府とマスコミがそれにどれだけ反応するかを観察しましょう。
7月31日に脱原発法に署名し施行させた大統領(第17回)の考えが、随所に出てきます。大統領には再生エネルギー関連企業の代表団が随行しており、日本での商機を狙っています。
http://tkajimura.blogspot.com/2011/08/blog-post_03.html
http://tkajimura.blogspot.com/2011/09/blog-post_09.html
10月22日の日経新聞とのインタヴュー/大統領府HPより |
(1)まずは訪日に先立つ10月22日に大統領府の執務室で日経新聞の菅野幹雄ベルリン支局長の単独インタヴューからです。
これは日経の電子版で全文が読めますので翻訳はそれにより、原文は大統領府の公式ホームページから引用します。
以下引用:
——福島第1原発事故の後、ドイツは非常に迅速に国内の全原発を22年までに停止すると決めました。エネルギー確保を考えた場合、日本では原子力の将来をどうするかはなお非常に難しい問いになっています。ドイツにとって「脱原発」の意味とは。
「この決定はドイツで幅広い社会的合意のもとになされた。しかし、エネルギー政策の転換でドイツが多くをなし遂げねばならないことは疑いがない。プロジェクトは大胆だ。22年までに全原発を止め、エネルギー消費のうち再生可能エネルギーの占める比率を大幅に引き上げねばならない。新たな構想でこの目標にどうやって到達するか。同時に穏便で安定した価格で信頼性の高いエネルギーの供給をどう確立するか。これが目下の問題になっている」
Nach dem Unglück in Fukushima hat Deutschland sehr zügig entschieden, alle Atomkraftwerke in Deutschland bis 2022 still zu legen. In Japan ist im Hinblick auf die Energiesicherheit die Frage noch nicht geklärt, wie man zukünftig mit der Atomkraft umgehen soll. Was bedeutet der Atomausstieg Ihrer Meinung nach für Deutschland?
Diese Entscheidung ist in Deutschland von einem breiten gesellschaftlichen Konsens getragen. Aber Deutschland hat sich mit der Energiewende ohne Zweifel viel vorgenommen. Das Projekt ist mutig: So sollen bis spätestens 2022 alle Kernkraftwerke vom Netz genommen werden. Der Anteil erneuerbarer Energien am Energieverbrauch soll stark anwachsen. Jetzt kommt es darauf an, wie diese Vorgaben mit neuen Konzepten erreicht und gleichzeitig eine verlässliche Energieversorgung bei moderaten und stabilen Preisen gesichert werden kann.
—— 両国間のお互いに対する関心は、残念ながら、あまり高くありません。福島の原発事故は特別な関心を集めてはいるものの「ジャーマン・アングスト(ドイツ人に特有の心配性)」も手伝い、関係強化がただ困難になっている印象もあります。互いの誤解を解いて交流を強化するため、社会、文化、人材といった面でどんな努力が役立ちますか。
「日本とドイツの間には特別に強いつながりがある。だが、まさに旧来の友好を磨かねばならない。そのために日独友好150周年では若者向けの行事をたくさん実施した。インターネットの時代であっても、人と人との交流はかけがえがない。ドイツの多くの若者が引き続き日本への道を発見してくれると確信しており、訪日でもこうした点を強調したい」
「ドイツは福島事故で目に見えた原子力のリスクを考慮し、原子力エネルギーの供給から脱却するという既定路線を加速する決定をした。10年も前から原発の新規建設は中止されている。日本でも原子力の将来について議論が始まっている。だからこそ両国がこの問題で意見を交わすのは良いことだ。ドイツでの原子力に対する疑いの念は、常に代替エネルギーの探求を促し、技術革新の力を解き放ってきた。エネルギー供給の将来を巡る議論が両国の関係を損ねることはなく、非常に重要で真剣な議論のポイントとして関係を豊かにする」
In Japan haben die Menschen nach Fukushima viel über die „German Angst“ gehört. Welche gesellschaftlichen, kulturellen oder persönlichen Bemühungen wären hilfreich, um die Missverständnisse zu überwinden und den Austausch zu verstärken?
Mit Japan haben wir besonders intensive Kontakte. Aber gerade alte Freundschaften müssen gepflegt werden. Daher richten sich viele der Veranstaltungen des Freundschaftsjahres an Jugendliche. Der persönliche Austausch ist – auch in Zeiten des Internets – unersetzlich. Ich bin sicher, dass viele Jugendliche aus Deutschland auch weiter den Weg nach Japan finden werden. Ich möchte mit meinem Besuch ein Zeichen dafür setzen.
Was die Diskussion um die Atomkraft angeht: Deutschland zieht aus den in Fukushima sichtbar gewordenen Risiken der Kernenergie die Konsequenz, den ohnehin beschlossenen Ausstieg aus dieser Form der Energiegewinnung zu beschleunigen. Auf den Neubau von Atomkraftwerken war in Deutschland schon vor einem Jahrzehnt verzichtet worden. Ich sehe, dass auch in Japan eine Diskussion über die Zukunft der Kernenergie begonnen hat. Es ist deshalb gut, wenn beide Länder sich hierüber austauschen. Die Skepsis gegenüber der Atomkraft hat in Deutschland auch immer die Suche nach alternativen Energien befördert und Innovationskräfte freigesetzt. Die Diskussion um die Zukunft der Energieversorgung erschwert unsere Beziehungen also nicht, sondern bereichert sie um einen ganz wichtigen und ernsthaften Diskussionspunkt.
日経新聞の全文は:
http://www.nikkei.com/news/interview/article/g=96958A9C9381959FE0E3E2E4918DE0E0E3E2E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
インタヴューのドイツ語原文は:
http://www.bundespraesident.de/SharedDocs/Reden/DE/Christian-Wulff/Interviews/2011/111022-Japan-Nikkei.html
(2)時事通信の配信記事です:
脱原発へ「日本と協力できる」=蓄電技術に期待—ウルフ独大統領
来日したドイツのウルフ大統領は24日、都内の日本記者クラブで会見し、原発全廃を決めたドイツが日本と協力することは可能と訴えた。ドイツは脱原発で「蓄電や効率の高い電力網」が必要になるが、大統領は「日本のリチウム電池の技術は世界最高峰」と称賛。日独が「技術力を結集してエネルギーをためる技術に力を注げば、工業化社会に新局面をもたらす」と呼び掛けた。
脱原発について大統領は「米仏に実現を疑問視する声があるのは当然」と認めつつ、「月に人を着陸させるのも最初はどうすればいいか思いつかなかったはずだが、一歩一歩進めた」と指摘。日本は今夏「わずかな期間で消費電力を15〜20%も削減し大きな被害も出ていない」と評価し、脱原発を非現実的と決めつけるのは「説得力がない」と主張した。
(2011/10/24-20:29)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011102400792
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