これがBBCの動画です。
それらの中でも、ドイツの→ハンデルスブラット紙の東京特派員が、電子版で「日本の新たな安全保障政策に対する焼身自殺」との見出しと、「日本の首相は第二次大戦後に定着した平和憲法という日本の安全保障政策の基軸を揺さぶっている:これが東京で悲劇的抗議を呼び起こした」との小見出しで詳しく報道しています。
最初の記事では、日本メディアの報道に関して以下のように伝えています。:
ただし、電子版の差し替え記事では削られていますので、その部分を保存のため訳出しておきます。
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Die japanischen Medien sprangen erst mit extremer Verspätung auf den entsetzlichen Vorfall an. Der öffentlich-rechtliche Fernsehsender NHK verschwieg den Japanern in seinen Hauptnachrichten um 19 Uhr den Vorfall sogar gänzlich. Warum, ist unklar.
Klar jedoch ist, dass der neue Intendant des Senders bei seinem Antritt gesagt hatte, dass sein Sender die Regierung nicht kritisieren solle. Und die neue Sicherheitspolitik, gegen die sich der Protest des Unbekannten richtet, ist das langjährige Hauptprojekt von Japans Ministerpräsident Shinzo Abe. Es kommt dem Umsturz eines seit Jahrzehnten geltenden Pfeilers der japanischen Sicherheitspolitik gleich.
日本の諸メディアは、極端な遅滞でこの驚くべき事件に取りかかっている。公共放送のNHKにいたっては、19時の主要ニュースで事件を全く報道しなかった。理由は判らない。
ところが、はっきり判っていることは、この放送の新会長が就任時に、放送では政府批判をしてはならないと述べたことだ。この氏名不詳の抗議者が対抗しようとする新しい安全保障政策は安倍晋三首相の長年の主要なプロジェクトである。これは何十年も効力を持った日本の安全保障政策の柱を倒すことと同じなのである。
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続けて保守紙の→ディ・ヴェルト紙の同じく東京特派員が、これについて以下のように伝えています。その部分は以下のとおりです。見出しは「日本の再軍事化へ焼身自殺」です。-------------------------------------------
Selbstverbrennungen sind in Japan extrem selten. Trotzdem verzichtete der öffentlich-rechtliche Fernsehsender NHK auf einen Bericht darüber in den Hauptnachrichten um 19 Uhr Ortszeit, also fünf Stunden nach dem Vorfall. An der Neutralität des Senders kamen in den letzten Monaten immer mehr Zweifel auf. Er wird seit einem halben Jahr von einem Mann geführt, der von Premierminister Abe persönlich ausgesucht wurde.
焼身自殺は日本では非常に稀である。にもかかわらず公共放送のNHKは19時の主要ニュースで報道をあきらめている、すなわち事件から5時間後にである。この放送の中立性については、ここ数ヶ月間に疑いが増加ししつつある。ここ半年間、安倍首相によって個人的に選ばれた人物によって指導されているのである。
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まるで自殺したのはNHKであるとの印象が得られます。
以上のふたつの新聞は、日本でいえば日経と読売のようなものです。ドイツでは保守であればこそ、メディアの中立性に厳格であることが、ここにも現れています。どちらも明らかに深い懸念を示しています。もはやAHK(安倍放送協会)と呼んだ方が相応しいでしょう。また、中道左派の南ドイツ新聞と双璧の中道右派のフランクフルター・アルゲマイネ紙が、NHK問題を→「政府放送局である」と厳しく批判したことは2月にすでに伝えたとおりです。 同特派員は→今回も電子版で詳しく現場情報とともに、集団自衛権を特に高年齢の日本人が懸念していることをこのデモの写真を加えて、日本のメディアはツイッターなどのソーシャルメディアに遅れて伝えたと報告しています。
ドイツ各紙の指摘はとても重要だと思います。
返信削除ただ、日本の放送は公平であることが求められますが、日本でもドイツでも新聞を含めたメディアは権力に取り込まれないことが求められるのであり、必ずしも中立である必要はないと理解しておりました。
「ドイツでは保守であればこそ、メディアの中立性に厳格であることが、ここにも現れています」とは、ドイツのメディアは中立を求められるのでしょうか?
春田明郎さま、
削除ドイツだけでなくオランダの主要紙も同じような指摘をしています。ご指摘のとおり、わたしもメディアはおしなべて中立の立場を取る必要はないとおもいます。ただし、公共放送は中立で公平な報道をすることが求められます。民間放送よりも厳格にそれが要請されることはいうまでもありません。
ドイツでもメディア全体が中立性を求められることはありませんが、公共、民間を問わず、それぞれの立場で批判的であることは公共、民間のいずれもつねに努力しています。このブログで紹介している多くの民間紙の論評や、公共放送のルポ(例「フクシマの嘘」)などに見られるとおりです。
批判性を失えば、それは公器としてのメディアと言えないでしょう。
ましてや社会的に大きな関心をもたれている件を無視するにいたっては論外です。この報道の不作為は虚偽報道の一種とみて良いでしょう。新宿焼身自殺事件のNHKによる無視はその典型例です。
民主主義の実現は情報の透明を糧にしてのみ可能なのです。