2016年5月14日土曜日

318:東京は賄賂で得た五輪開催を辞退し、インスタンブールに譲るのが名誉を守る唯一の途

 2013年9月のブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会で、2020年オリンピクが東京で開催されることが決定された日に、わたしはこのブログで→「日本は80年前の東京オリンピク返上の歴史をふりかえろう」と呼びかけました。

そこでこのように書いています:
 フクシマの放射能環境汚染が、これからさらに拡大し深刻になることは防げません。1940年の開催返上に続き、80年後の2020年には、原発事故の処理のためにオリンピックを返上しなければならなくなることを、わたしは危惧します。
 日本が当時、日中戦争で追い込まれ破綻したように、今回はフクシマと原発政策の処理で追い込まれて破綻するおそれは 、極めて現実的なものです。


 この 考えは、いまでもそのままであるだけではなく、その後の原発再稼働の現実、また長期化する熊本・阿蘇を中心とする地震がついに川内原発の鼻の先の薩摩半島沖まで迫っている現実を前に、いよいよ切羽詰まったものとなっています。オリンピックどころではなくなるのではないかと考えているところです。

 そう考えている矢先に、このオリンピック開催を日本が賄賂で獲得したのではないかとの疑惑が出てきました。 この疑惑はソチの冬期オリンピックでのロシア人選手のドーピングもみ消し疑惑に関するフランスの検察捜査の途上で発覚したものです。
 そこで、ヨーロッパのこれに関する報道を見ますと、すでにこの問題は2014年末にドイツのメディアが報じて以来、かなり大きく報道されており、カナダのモントリオールに本部のある→世界アンチドーピング機関が調査を始めたのが発端です。

モントリオールの世界アンチドーピング機関 ロイター

 その後、このスキャンダルのもみ消しに世界陸連のボスであるラミン・ディアク会長が賄賂を受け取り、そのもみ消しを図ったことが明らかになったため、フランス検察が捜査を始め、彼は逮捕起訴されました。当時、ドイツのメディアでも「五輪史上最悪の汚いスキャンダル」と 伝えています。
 その賄賂の窓口になったのが、ディアク会長の息子の知人名義のシンガポールのダミー会社であったため、スキャンダル発覚後姿を消した息子のパパ・マッタサ・ディアクは現在、国際刑事警察機構を通じて国際手配されています。
今回フランスの検察が明らかにしたのは、日本のオリンピック招致委員会が、2013年9月の東京五輪の決定の前の7月と、決定後の10月に2度に分けて2億3000万円余りを「報酬」として送金したのがこのダミー会社であったとの捜査結果です。これらのことは、すでに日本のメディアでもかなり報道されているとおりです。
この送金が、賄賂に使われていないと証明することなどほぼ不可能でしょう。

 昨日は、ニューヨークタイムスが、世界アンチドーピング機関にグレゴリー・ロドシェンコというロシアのドーピングを実施したインサイダーが、身の危険を察知してアメリカに亡命して証言し、ソチのオリンピックでは金メダルをとった少なくとも15人のロシア選手が、組織的にドーピングをしたことが、その手口を含め詳細に証明されたと報道。それに対してロシア政府が、先般のパナマ文書の疑惑に対してと同様に「欧米の反ロシアのキャンペーンだ」と、またまた虚しい陰謀論で反発しているというのが現状です。
 そのため、ドイツのメディアなどでは、「国際オリンピック委員会はこの夏のリオ・デジャネイロの大会にロシアの参加を拒否すべきだ」との要求が起こっていると→シュピーゲル誌電子版が、本日伝えています。 

 フランス当局の捜査によって、これからもっと詳しい事実が明らかになってくるでしょうが 、ドイツの報道によれば、五輪決定の前にロビー活動を行っていたディアクの別のもう一人の息子が、投票で東京と競合したトルコ側に票のとりまとめを名目に賄賂を要求し、トルコ側が 断ったため日本へ票を持って行くことを証明する記録文書を捜査当局が握っているとのことです。つまり日本日本側が賄賂金の支払いに応じたのではないかとの疑惑が、かなり確実なものとし て浮上したのです。

 これら一連の報道を見ると、折りも折り国際調査報道の大きな成果である→「パナマ文書」の公表と並行して暴露されたこの疑惑との関連にも思い当たります。
暴露されたパナマ文書にはこの疑惑を裏づけるものはないでしょうが、そこで明らかになった電通などが、オフショアーの会社を多く設立して活動しているのと、良く似た構造であることが判ります。
 この送金疑惑も電通関連の事業のひとつとして実施されたととのことですが、ダミー会社を通じて賄賂などの資金をやり取りするやり方はまったく同じです。近いうちに言い逃れの出来ない全貌が暴かれ、日本は賄賂で五輪開催を買収したと報じられる日が、間もなく来るのではないかとわたしは、いま危惧しています。

 そうなれば、下手にもみ消し工作を行ったり、無理矢理開催を行おうとしたりすると、東京五輪ボイコットの声が起こることも間違いありません。

 そうなる前に、日本政府と日本のオリンピック委員会は、世界の世論が納得できる調査事実を公表し、そこで、賄賂で五輪開催を買収したことが明らかになれば、潔く不正を認めた上で、決選投票で破れたトルコへ開催権を譲渡したいとの意思表示をすべきであると思います。

 安倍政権と舛添都政には致命的な痛手であっても、それこそが日本の名誉と信用を保つ唯一の途なのです。 

 そしてまた、そうすれば東北地方の大震災の復興、フクシマ原発の廃棄、さらには熊本地震の被災地の復興への人的、財政的余力をもたらすことになるのです。

この疑惑報道の震源地がドイツにあることが判りましたので、数日中に報告します。 
18日追記:震源について→次に報告しました

 

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