そこに行くまでこの政権が維持されるとは思いませんが、成り行きによっては近隣諸国からの提案で、ついに国連総会での非難決議にいたる可能性もあります。
事態をつかむために報道を以下いくつか挙げます。
1)まずは、1月2日の→ニューヨークタイムス社説。 その翻訳「日本の歴史を否定する更なる試み」の→翻訳はこちらです。
乗松聡子さんの翻訳をお借りしますが、社説は安倍晋三の歴史認識を結論として:
安倍氏の恥ずべき衝動的行為は、北朝鮮の核兵器プログラム等の諸問題において、地域における大切な協力関係を脅かすものになりかねない。このような修正主 義は、歴史を歪曲することよりも、長い経済不況からの回復に集中しなければいけないこの国にとって、恥ずかしいことである。
と、日本にとって恥ずべき危険なことだとしています。
なお、安倍批判は同じ平和哲学に掲載されている詳しい寄稿も参考にして下さい。
→成澤宗男: 安倍晋三と極右歴史修正主義者は、世界の敵である
2)次に1月4日、南ドイツ新聞の東京特派員は、安倍政権の→韓国への特使派遣に関する記事で次のように書いています:
Noch im Wahlkampf hatte sich der Nationalist Abe gegen die von Korea und China verlangte Auseinandersetzung mit der Geschichte gewandt. Er kündigte sogar an, er werde womöglich die Kono-Erklärung widerrufen. 1993 hatte der damalige erste Kabinettssekretär Yohei Kono mit einer Entschuldigung anerkannt, die japanische Armee habe Koreanerinnen in Bordelle gezwungen, was Historiker beider Länder längst belegt haben. Abe leugnet das bis heute. Er sagt, die Sexsklavinnen, in Japan euphemistisch Trostfrauen genannt, seien gewöhnliche Prostituierte gewesen; die japanischen Soldaten hätten sie bezahlt.
選挙戦でも国家主義者の安倍は韓国と中国から要請されている歴史問題にも触れている。彼は河野談話の撤回までを公言したのだ。1993年、当時の官房長官河野洋平は、日本軍が朝鮮人女性を売春施設に強制連行したことを謝罪とともに承認したが、これは日韓両国の歴史学者がとっくに証明していたことである。安倍は今日までそれを否定する。彼は、日本では婉曲的に慰安婦と呼ばれている性奴隷女性たちは、普通の売春婦たちであって、日本の兵士たちは金を払っていたと言うのだ。
特派員は、経済優先のため韓国に対してもこのような国家主義を当面は押さえるようだとしていますが、安倍氏の恥ずべき歴史認識をきっちりと指摘しています。
これらに継いで、本日1月6日のしんぶん赤旗と日経新聞の記事を挙げましょう。
3)しんぶん赤旗は、昨年11月にアメリカの地方紙に「慰安婦強制連行を否定する意見広告が掲載され安倍晋三と閣僚4名も賛同署名している」と伝えています。→こちらです。
一部引用し、賛同閣僚リストもお借りします:
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米国の新聞に昨年11月に掲載された日本軍「慰安婦」問題を否定する意見広告に、安倍晋三首相と4人の閣僚(別項)が、賛同者として名前を連ねていること がわかりました。安倍首相は、「慰安婦」問題で政府として「おわびと反省」を表明した河野官房長官談話(1993年)を見直すことを示唆しており、そのこ ととあわせて内外から強い批判が起こることは避けられません。
しんぶん赤旗2013年1月6日より |
後述しますがこの意見広告は第一次安倍内閣の2007年に「ワシントンポスト」に掲載されたものと同じであるようです。当時は首相の安倍の名前はありませんでしたが、今度は賛同者となっており、しかもその内4名を閣僚指名したとあってはアメリカ政府も穏やかではないようです。
4)これについて本日の日経新聞がワシントンから以下のように伝えていますので→全文をお借りします:
米、日本政府の歴史認識見直しをけん制 [01/06]
見直しは韓国や中国など近隣諸国と日本の関係の深刻な悪化につながりかねず、 オバマ政権が重視するアジア太平洋地域の安定などにも悪影響を与えるとみているためだ。
米側は昨年末、複数の日本政府高官にこうした意向を伝えた。
オバマ政権高官は日本経済新聞の取材に 「特に『河野談話』を見直すことになれば米政府として何らかの具体的な対応をせざるをえない」と述べ、 正式な懸念を示す声明の発出などの可能性に言及。談話の見直しの動きを強くけん制した格好だ。
安倍内閣は日本による過去の植民地支配と侵略を謝罪した1995年の村山富市首相談話を引き継ぐ一方、 「21世紀の未来志向」をうたう新たな首相談話を検討する有識者会議を設ける方針。
「河野談話」についても菅義偉官房長官が「政治、外交問題にするつもりはない」とする一方で、 踏襲するかどうかを明言しなかった。【ワシントン=中山真】
5)追加です。
英エコノミスト誌の5日の論評→Back to the futureが翻訳されてBPに掲載されましたので以下部分を引用します。 全文は→「未来に背を向けて」こちらです。
未来に背を向けて
(英エコノミスト誌 2013年1月5日号)
安倍晋三首相が指名した恐ろしいまでに右傾的な内閣は、この地域にとって悪い兆しだ。
最初に首相を務めた2006年から2007年にかけての散々な経験から学んだと、同氏は語る。この時は、第2次世界大戦時の犯罪行為を巡って無用な論争が生じ、内閣でも失態が相次いだことで、経済政策の立案に集中できない状態に陥った・・・
問題は、安倍氏が内閣を経済重視の方針に従わせ続けることができるかどうかだ。同氏が選んだ19人の閣僚の顔ぶれを見ると、長期的に考えて、安倍氏自身が方針順守を望んでいることすら疑わしいと思わざるを得ない・・・
新内閣を「保守的」と表現しては、その真の性質を捉えているとは言えない。これは急進的な国家主義者から成る内閣なのだ・・・
株式市場は今や、東日本大震災と津波が発生した2011年3月11日の水準を上回っている。投資家は、電力会社や原子力発電設備の製造業者の支持を受けている自民党が、反原発派を抑え込んで、停止中の日本の原子炉を再稼働させると見ている・・・
安倍氏は中国に対して怖じ気づいてはならないが、自らの国家主義的性向を抑え、過去の亡霊を自民党の物置にしっかりと閉じ込めておかなくてはいけない。こ うした自制はいかなる場合においても難しいはずだ。そして安倍氏の新内閣の陣容は、このような自制をほぼ不可能にしているのだ。
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以上のように、今度の安倍政権は発足早々からその歴史認識で世界世論からは、恥知らずの歴史修正主義政権として危険視されています。日本の大メディアはここでもその深刻さをあまり認識していないようです。安倍政権の外交でのアキレス腱は歴史認識にあることの認識が欠落しているのです。悪臭の発生源が足下にあるのに気付かないのはメディアとしても致命的です。2007年には内外で二枚舌をつかってごまかそうとしましたが、それでも米下院の決議となったことから何一つ学んではいないのが日本のメディアです。その意味で安倍政権と同罪であり、同様に無能なのです。
女性の人権と尊厳を公然と踏みにじることなど一国の首相のやることではないのです。
安倍晋三氏の歴史認識批判は、わたしも以前からいやになるほどしてきましたが、世界世論もすっかり愛想を尽かしそうです。
これは安倍氏が2007年3月に最初に強制連行を否定した際に書いたものです。ニューヨークタイムスもげっそりしているでしょう。→「天日下の凅轍の鮒」
ところが、さらにエスカレートするのでオランダ軍法会議の以下のような資料を挙げて、強制連行の事実を証明する連載を週刊金曜日に執筆して、強制連行問題を決着させましたが、これは→一冊の本になりました。この中で同年のワシントンポストでの意見広告も、歴史改竄の実例として完璧に批判してあります。
安倍内閣の閣僚の大半はこの歴史的事実の改竄がどんなに日本の国益を害するものであるかを理解しようとはしませんし、その能力が無いのです。
蘭領東印度バタビア臨時軍法会議の「スマラン事件」で懲役12年となった能崎清次陸軍中将に対する判決文原文(冒頭部分)。「判決、女王の名において!」とある。右上には「スマラン強制売春」との手書きの書き込みが見られる。1949年2月18日。
安倍氏が政権を投げ出してから書いたのが→こちらです。
当時既に安倍晋三氏のの盲動によって、いわゆる「慰安婦」制度は日本軍の強制労働による性奴隷制度であることは、被害諸国だけでなくアメリカ下院や欧州議会でも承認され非難決議もだされており、いまさら論争にはならないのです。さらに昨年秋にはジュネーブの国連人権委員会で勧告決議が出されています、残るは国連総会ぐらいなのです。
もうかなり前になりますが、わたしは日本のガラパゴス化という言葉を聴いて、「ジャパゴロス」という言葉を使ったことがあります。ガラパゴスとジャパンを殺すをかけた造語です。
安倍政権はフクシマ事故を軽視し原発を推進し、財政赤字を極端に増やし日本を滅ぼすジャパゴロス政権と言えましょう。
ついでに最近聴いた、ドイツでの日本の評判についてふたつばかり。
昨年末のことですが、日本のあるテレビチームがフランクフルトの金融街で欧州金融危機の見通しについて、市民にインタビューしたところ、それに答えたある年配の女性が、「ところで、日本はまた原発推進の首相を選んだが、なぜ日本のような文明国がそんな選択をするのか理解できない。日本人は何を考えているのか教えてほしい?」と逆に質問され、恥かしい思いをしたそうです。
もうひとつは、欧州金融危機でドイツの欧州域内の自動車の売り上げが落ちて困っていたところ、中国で販売量が急増し、初めて中国市場での売り上げ量がEU内を上回り、ドイツ経済はこの下支えで堅調を保ったのですが、「これも中国の反日を煽った日本の右翼政治家のおかげだ」との、思わぬ漁父の利を喜ぶ声が自動車産業内であるそうです。
日本の経済界主流も小泉政権時代の中国との政冷経熱時代は過去になったことを認識できず、また石原慎太郎ごときを牽制できないほど、骨の髄までジャパゴロス化しているようです。
日本への信頼の失墜は残念ながら急速です。
以上のような、実に下らないことではなく、もっと日本と世界の人々に有益なことを報告して行きたいと思っています。安倍政権ような劣等政府の政治家たちににつき合っている余裕は日本の市民にはもうありません。
フクシマ事故を無視するような碌でもない政府は、こちらのほうから相手にできません。いまはこのような政治家連中を一掃し市民民主主義政権を実現する準備をする時ですから。
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追伸メモ(1月8日):
上記5)の英国の週刊誌エコノミストは、英字紙の中ではもっとも高級な経済誌として知られています。東京支局は読売新聞社の中に間借りしています。
3・11の直後、1人の支局員ケネス・クキエ(Kenneth Cukier)記者が1週間ほどかけて現場で取材した経験について、ちょうど1年前に小林恭子さんという方がインタヴューをしてそれが彼女のブログで2回に分けて読めます。
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英「エコノミスト」東京支局記者が語る震災報道の衝撃 「日本国民を裏切ったのは・・・」
→その1、 →その2
優れたインタヴューで翻訳も素晴らしいので、是非全文を読んでいただきたいのですが、この中で、記者は震災と原発事故で東京で起こったことについて、以下のように語っています。 それから1年後の今回の安倍政権批判の同誌の観点の背景、危機感が示されていると思いますので、1部引用させていただきます。特にエコノミスト支局の家主の読売新聞はナベツネさんはじめ、しっかり読むべきでしょう。「あなたたちは国民を裏切った」と店子が、あなたたちの本拠で公然と語ってるのです。これこそがジャーナリストなのです。
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