記事によれば「事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が作成し、菅氏に提出していた」とのことです。つまり、提出されてから9ヶ月を経てようやく報道されたことになります。20頁あるとされるこの原資料の即時公表が望まれます。
日本の原子力政策の中枢が事故当初より、このようなシナリオを持っていたことは、専門家としては至極当然のことです。原子力村の隠蔽の本質(体質ではない)をよく知っているわたしなどは「何をいまごろになって、こっそり出して」と、彼らの姑息極まる犯罪的本質にむしずが走り、この「原発中毒」連中がいまだに政府の原発政策中枢に居座り続けて事態の矮小化に励んでいることに呆れ返り、危機感がつのるばかりです。
近藤委員長の片腕の鈴木達治郎氏の言動については;
21:原発中毒の人々と「人生の嘘」(1)
http://tkajimura.blogspot.com/2011/08/blog-post_28.html
またこの連中の最近の活発な動きについては、 「田中龍作ジャーナル」の最近の報告:
【検証】細野大臣は「低線量被曝WG」の御用学者らに寄ってたかって洗脳された
http://tanakaryusaku.jp/2011/12/0003372
を、参考にして下さい。本来ならばとっくの昔に公職追放になってしかるべき、原発推進参謀本部の「戦犯」たちの影響力は残念ながら、日本では健在です。
とはいえ、この報道で「そうだったのか」と今頃になって、背筋がふるえている人たちも多いことでしょう。わたし自身は、日本時間の3月12日の未明にはこのような「最悪のシナリオ」によって警告を発しています。ここで、その背景を記録から再現しておきましょう。
それを紹介する前に以下記事の一部を引用します:
福島第1原発:「最悪シナリオ」原子力委員長が3月に作成
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111224k0000e040163000c.html最悪シナリオは、1〜3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。原発から半径170キロ圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算。東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定した。
また、同記事に掲載されている「菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が試算、作成した「最悪シナリオ」の強制移住地域の範囲」の図面がこれです。
さらに毎日新聞はこれに関する同日の記事で:
福島第1原発:「最悪シナリオ」…防災指針、再考が必要
当時の菅直人首相は退任後のインタビューで「最悪の場合、避難対象は首都圏を含め3000万人。国として機能しなくなるかもしれないと思った」と証言している。
現実的には半径170キロ圏内の防護対策や3000万人の避難などは極めて困難だ。原発事故がさらに深刻な事態に進んだ可能性がある以上、原子炉の集中立地や高所に燃料プールを備えた構造上の弊害、防災指針を考え直す必要がある。
と当然の防災指針の再考を主張していますが、構造上の弊害を考慮しただけでも、日本の全ての原発は即時廃炉にせざるをえないことは明らかです。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111224k0000e040163000c.html
また、前回の第57回で紹介したシュピーゲル誌の専門家が4号機の燃料プールの危険性の指摘も、これが現在も大きな危険であり続けていることも想起して下さい。
原発二基分の燃料が入って露天状態のプールの危険性は、ドイツの専門家も事故発生直後からくり返し強調しています。その一例としてプルーグバイル氏らのドイツ公共放送でのインタヴューを挙げておきましょう:
Experten zur Fukushima Katastrophe_ARD_Tagesschau 16/17.3.2011
http://www.youtube.com/watch?v=NJhGxhQV0fg
つまり、フクシマの深刻な危機はいまだに継続しているというのが、世界中の大半の専門家の見解です。
ひとつ間違えば、いつ何時手の付けられない状態になることが想定されています。
それを「収束宣言」するのは、田中龍作氏が東京から報告されているように、全く原発中毒者に「洗脳されている」者の言動です。
最初の警告メールの背景
さて、わたしが東北と東京近郊の親族、友人の安否を確認しつつ、次のように最初の警告メールを出したのは、中央ヨーロッパ時間の3月11日19時19分(日本時間12日03時19分)です:
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From:
Subject: 放射能漏れの場合/子供と母親の疎開
Date: 2011年3月11日 19:19:22:GMT+01:00
To:
梶村です。
(緊急時のため複数の投稿をご容赦下さい)
福島原発の一基がいよいよ危なくなっています。原子炉爆発を回避するために
放射性物質を意図的に外気に出すことを検討しています:
http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=995
風向きにも寄りますが汚染は不可避ですし、炉心溶融が急速に進むと予想できない事態になります。
ここ24時間が危ないでしょう。
あわてることは禁物ですが、その場合は、近くのひとはもちろん、東京近郊でお住まいの方は、子供と母親はできるだけ遠くに疎開させることを準備された方が良いでしょう。子供の被曝は悲惨です。
関西は比較的安全でしょう。
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ここでわたしの判断の根拠として挙げているのは、原子力情報資料室の以下の情報です。
これも挙げておきましょう:
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地震・事故:福島原発 : [訂正]福島第一1号炉でシビアアクシデント(苛酷事故)か
投稿者: 原子力資料情報室 投稿日時: 2011/3/12 2:31:21
東京電力らが3月11日22:00に行なった2号炉に対する解析によると,24:50に燃料溶融が起こり,27:20には原子炉格納容器が設計最高圧に達する可能性があり,格納容器全体が破壊する可能性があるため,格納容器ベント(放射性ガス排出用配管)をつかって,放射性物質を環境中に放出することを検討している.
実際には,1号炉で格納容器内の蒸気圧が通常の400kPaから設計値を超える600kPaにまで高まっており,かなりまとまった量の放射性物質を放出する危険性がある.
東京電力らによる2号炉のシミュレーション:
(実績)14:47 原子炉スクラム(RCIC[原子炉隔離時冷却系]起動)
(実績)20:30 RCIC停止(原子炉への注水機能喪失)
(実績)22:50 水位計復活(L2:燃料上部より約3.4mの水位)
(予測)22:50 炉心露出
(予測)23:50 燃料被覆管破損(予測)24:50 燃料熔融
(予測)27:20 原子炉格納容器設計最高圧(527.6kPa)到達
原子炉格納容器ベントにより放射性物質の放出
下記の資料より転載
官邸ホームページ 東北地方太平洋沖地震への対応
http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/jisin/20110311miyagi/201103120030.pdf
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情報室が引用資料として挙げている首相官邸危機管理のペーパーの日時は12日0時20分となっています。その7頁から2号炉のシュミレーションを引用しています。 しかし、1号炉の危険性もすでに指摘されています。
わたしはこれを見て、最初の警告メールを出したのです。
さてドイツ側ですが、この時点では、グリーンピースや反核医師の会など民間団体は、緊急冷却水電源遮断の報道を得て、早々とメルトダウンの可能性を指摘しています。
そして、レットゲン環境相による最初の警告の報道があったのは現地時間の11日19時02分(日本時間の12日03時02分)でした。わたしがメールを書いている時刻です。以下は南ドイツ新聞の電子版速報です:
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19:02 Uhr
Angesichts der Probleme im japanischen Atomkraftwerk Fukushima hat Bundesumweltminister Norbert Rötttgen (CDU) betont, dass dort " äußerstenfalls eine Kernschmelze" droht. Dies könne bis zu drei Blöcke des AKW betreffen. "das ist eine ernste Situation"sagte Rötttgen am Freitagabend in Bonn. Die japanische Regierung würde aber derzeit alles dafür tun, die Notstromversorgung für das Kählsystem wieder in Betrieb zu bekommen. Angesichts der weiten Entfernung und des angekündigten Wetters sei im Falle einer Kernschmelze in dem japanischen Atomkraftwerk für Deutschland nicht mit radioaktiver Strahlung zu rechnen, so Röttgen.
19時02分
日本の福島原発の問題に関してノーベルト・レットゲン連邦環境相は「同地では最悪の場合、核溶融が迫っている」と強調した。それが3基の原子炉で起こり得る。「これは深刻な事態だ」とレットゲンは金曜日の夕刻にボンで述べた。しかし日本政府は目下、冷却装置の緊急電源が再び稼働するようにあらゆる手だてをするであろう。遠距離であることと、天候予想からして日本の原発での核溶融によってドイツでの放射能汚染は想定できないとレットゲンは述べた。
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この時点での正確な判断に関して、後の7月6日、レットゲン大臣はベルリンでの記者会見で、菅野幹雄日経新聞のベルリン支局長による「驚くべき早い時点での判断の情報をどこから得ましたか」との質問に答えて「あの金曜日に環境省内に設けた危機対策本部による情報です。あらゆる状況情報からして核溶融が起こりつつあることは排除できないとの判断があったのです」と述べています。
ということは、上記首相官邸に寄せられた東電などのシュミレーションとほぼ同内容の判断を環境相危機対策本部もほぼ同時並行して行っていたことになります。驚くべき危機管理能力です。
メルケル首相はこの日の夕刻、ある州選挙の応援に出かけていますが、レットゲン氏からの情報を得ています。そして翌日の12日の朝、ベルリンで1号機の爆発の映像を見て環境相の警告が現実となったことを知ります。首相が脱原発の決断をしたのは、この12日の土曜日のことでした(『世界』2011年8月号の拙稿には危機対策本部のザイラー氏の言葉にも触れています)。
また、事故直後から菅直人首相も、この原子力委員会の「最悪シナリオ」を待たずとも、最悪の判断をしていたようです。これについてはすでに書いた通りです:
29:菅直人首相の東電訓示全文・3月15日早朝/東京新聞http://tkajimura.blogspot.com/2011/09/blog-post_10.html
いずれにせよ、アンゲラ・メルケルと菅直人という日独の首相のフクシマ事故の深刻さに関する当初の状況判断は、2日ほどのズレがあるものの、ほぼ一致していたといえるでしょう。
さて、このような情報を背景として発信されたわたしの「最初の警告メール」が、現実的な判断であったことは、原発中毒者たちの「最悪シナリオ」でも裏付けられたともいえるでしょう。
1号機が核溶融による水素爆発で放射線物質を大量に放出したのは、この最初の警告メールから12時間29分後の、日本時間12日15時36分でした。
この最初の水素爆発に関して、枝野官房長官が「原子炉そのものとは確認されていないが、なんらかの爆発的な事象が確認された。総理や専門家をまじえて、情報の把握と分析など対応にあたっているところである。放射能について測定はおこなわれているところであるが、18時過ぎに新しい数字がでてきます。落ち着いて行動を」と述べ、全く事態が掌握できていないみっともない緊急記者会見があったのは、何と2時間以上を経た17時45分でした。水素爆発が確認されたのはさらに3時間後でした。
日本の原発事故への危機対策が機能不全で、周章狼狽している有り様が世界中に明らかになったのはこの記者会見が始まりでした。
これが原子力委員会の原発中毒の近藤委員長以下には「想定されていない」震災原発事故の始まりでした。いわんや、震災と津波による凄まじい被害に身体と頭が一杯の日本の住民の圧倒的な大多数が、この時点で原発事故の実情を把握することなど事実上不可能でした。したがってわたしのこの最初の警告メールは、日本で事態を把握していたごく少数者の情報に依拠した例外的なものであったことは推定できます。
この警告によって、関東周辺の親族と友人たちの幼い子供たちが、早期に日本国外と関西方面に避難をしたこともつけ加えておきます。
さらに、クリスマスイヴに「最悪のシナリオ」のプレゼントをこっそりと贈った、原発中毒者たちの最低の姑息さについては、改めて書きます。この連中を批判し、少なくとも公職から追放しない限り、間違いなく誤ちが繰り返されるからです。
(訂正:一夜明けて読み直しますと、わたしの最初の警告メールの日本時間が夏時間で計算されており、1時間早くなっていましたので、該当部分を1時間遅れに訂正しました。読者のみなさまにお詫びして訂正します。26日朝追記)
因循姑息の腐れ霞ヶ関に原発ウジ虫がはびこる。
返信削除龍神よ「天誅」の決断を下されよ。
のほほんと洗脳に身を委ねる世人多し。
世界市民は愚民に警告するも大和の風は馬耳東風。
「最悪のシナリオ」の棚卸しよりも紅白歌脱線がお好きとは、
追従マスコミも危機麻痺庶民も一蓮托生の憂いとなろう。
[祈願信念脱原発・天誅姑息愚臣唾棄東電] 絵馬奉納!
日本在住の八百万の神々にも「天誅」助力をお願い奉る。
舶来の神々にも同様のことご依頼申し上げる次第。