2013年11月6日水曜日

198:「信じたくない」小野寺防衛大臣!日本が盗聴対象の証拠書類はまだ多い。大臣は報道を信頼し感謝すべきです。アメリカと無理心中してはならない。

 昨日、日本でも報道されたように、ニューヨークタイムス紙が日本もアメリカの盗聴対象とされていると報じました。→この記事ですね

 スノーデン氏が暴いた2007年の資料に基づいいて書かれたとする、この記事に次のようにあります:
 
Its officers also operate out of major overseas stations in England, Australia, South Korea and Japan, at overseas military bases, and from locked rooms housing the Special Collection Service inside American missions abroad.

つまり、アメリカは英国、豪州、韓国、日本にある海外米軍基地と大使館内のSCS基地で情報収集をしているとの記事です。(ベルリンのSCSについては→こちらを参考に

これについて、→NHKによれば、本日の閣議後に小野寺防衛大臣は次のように述べています:
 
「あくまで報道があったということで、アメリカ政府がそのようなことを言っているとは承知し ていない。同盟国との間も含め、さまざまな友好国との信頼を傷つけるような行為は決して望ましいことではない。報道は信じたくない」

 しかし、日本の大臣がいくら「報道は望ましくない、報道は信じたくない」などと思っても、スノーデン氏が暴いた機密書類には、また別のトップシークレット資料が、すでに報道されています。それを示しましょう。

 この写真は、前回報告した昨日付けのシュピーゲル誌に掲載された、本年2013年4月のこれまで未公開の機密文書のほんの1部分です。
ホワイトハウスの「諜報注文書」部分。Der Spiegel Nr.45 2013 S.32
同誌によれば、この文書は、National Intelligence Priorites Framework (NIPF)という名のホワイトハウスからNSA とCIAなど情報機関へ宛てた、世界諸国のどのような情報を、5段階の重要度で収集してほしいとの「注文書」であるとのことです。
同じ号のインタヴューでブッシュ政権時代の国家安全保障会議の高官は「ホワイトハウスは情報機関の『お客さん』で、この注文書に応じて活動している」と述べています。

 この写真には、ドイツ、EU、フランスなどへの注文項目と重要度が示されているだけですが、同誌によれば、「世界全体のなかでは、ドイツは重要度が中の下あたりで、フランスと日本と同程度のランクで、イタリアやスペインよりやや上である」とのことです。

 すなわち、今年の最新のこの「注文書」リストにも日本での情報収集があるのです。したがって、日本国の防衛大臣としては、「信じたくない」などと自己欺瞞している場合ではないでしょう。日本国の機密防衛のために、アメリカ政府に真偽を問いただし、きっちりと抗議するのが大臣としてのまずの義務ではないでのすか。小野寺氏の精神状態は、国家主権を放棄したアメリカの保護国の大臣としてのそれです。

 スノーデン氏は、近年にはNSAの職員として日本のある米軍基地(三沢基地とおもわれます)内で働いていたとされていますので、この注文に応じてどのような情報を集めたかをよく知っていると思われます。
 まだまだ、これから日本を対象とした諜報活動の実態が明らかにされるでしょう。

 もうひとつ、同誌は同じ号で、この写真のように、英国政府の露骨な弾圧に抵抗して、スノーデン氏の資料の暴露を続けている、英国のガーディアン氏の編集長にインタビューしています。

Der Spiegel Nr.45 2013

 このなかで、ラスブリッガー編集長は「イギリスの官庁にとっては幸いなことに、私たちはここ4ヶ月半の間、この膨大な資料を非常に責任を持って扱ってきた。したがって官庁は感謝すべきです」と述べています。

「私たちは防諜機関の文書あさりをしようとしているのではないのです。英国の防諜機関GCHQの活動のデタイルを追求したいと願っているのではないのです」としたうえで、「問題は、誰が全体を視野にいれて管理するかなのです。情報機関の監督こそが問題なのです」と述べています。そして、アメリカでもケリー国務大臣などに、次第にこの問題意識が出てきていることを指摘しています。

 このことは、まさに先日のスノーデン氏が「真実への宣言」で述べている問題意識と一致しています(→宣言の翻訳はこちら)。ですからこそ、彼はガーディアン紙を信頼して情報を提供したのです。

 また同紙と協力関係にあるニューヨークタイムスも、昨日の上記の記事ではっきりと述べているように「NSAの依頼でデタイルを控えた部分もある」のです。
 さらにこのことは、先日シュピーゲル誌が、メルケル首相の盗聴問題の証拠を、まずはドイツ政府に示し、政府の面子を保証したうえで報道した姿勢にも見られます。
→この経過の報告はこちら

 もし、これらの報道機関がセンセーション目的で、無責任な暴露報道の競争に走ったら、それこそ世界諸国の友好関係は、あっというまに崩壊して国際的政治危機が防げなくなるでしょう。ジャーナリストたちはそれをよく認識しているのです。
 
 すなわち、世界の信頼される報道機関は、小野寺大臣が述べるように、決して「友好国との信頼を傷つけるようなこと」をしているのではなく、全く反対に、コントロールを失ったアメリカとイギリスの傍聴機関こそが友好諸国を裏切り、信頼を失わせる行為をしている実態を極めて慎重に報道しているのです。
 小野寺大臣もこれらの報道に感謝し、まずは実態を知ろうとすべきなのです。

 いずれにせよアメリカとイギリスの国際的信頼は不可避的に落ちつつあります。
そして、安倍政権はアメリカに習って日本版国家安全保障会議設立に向けた特定秘密保護法などを成立させるようなことは避けるべきです。それは日本を英米ともに無理心中させる途です。そのようなことはあってはならないのです。

 以上ですが 、今朝から、今度はインデペンデント紙が「ベルリンではアメリカ大使館だけでなく、イギリス大使館も、そこで秘密情報を集めている」と→報道しました。今度はイギリス大使が、ドイツ外務省に呼びつけられています。停まるところを知らないですね。これについては、次回で。



 

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