2018年3月17日土曜日

342:腐りきった日本の「歴史の改竄・修正主義」とは何か? 一例としての西尾幹二氏のドイツ批判

   日本からの情報によれば、このところ連日、東京の国会や首相官邸付近だけでなく全国各地で人々が森友問題で安倍内閣総辞職を要求して抗議活動が起こっているとのことです。

(追加:京都でも若者たちが中心に元気に賑やかなデモをやっていますね。「親子連れも多かった」との報告も見れます。それが市民の本当の姿です。→内閣総辞職を求める京都アクション

 民主主義社会では権力の源泉は有権者であり、在住外国人や未成年者子供も含めた市民です。その認識が欠落している安倍政権は世界の民主社会の市民から笑い者になりつつあります。

 ところでこの間、国の行政機関としては要の一つである財務省による公文書の改竄が連日メディアの見出しになっています。これは明白な国家犯罪です。正しい情報は民主主義の血液です。それが偽物となれば民主主義は必ず死滅します。その意味で日本の民主主義は、安倍政権のもとで腐り始めて存亡の危機に直面しています。

 財務官僚が絶対にやってはならない公文書を改竄する犯罪に手を染めて自殺に追い込まれる事態は、トップの安倍晋三内閣総理大臣が国会で嘘をぬけぬけと述べたことに動機があることは今や誰しも疑うことができません。
「魚は頭から腐る」という古いロシアの諺そのものです。これ以上腐った頭を放置するとどうなるかは多言はいらないでしょう。

 これとの関連で、先日の朝日新聞の特集記事→「壁」なき時代、深まる分断を同社の石合力欧州総局長がベルリンから書いていますが、その記事の中にわたしの発言が以下のように引用されています。
(17日加筆:以下の引用の記事と論考の解像度が低かったため改めました。読みにくい際にはクリックしてパノラマを拡大すれば読めるはずです)
朝日新聞2018年2月27日朝刊

 この文末の「(日独は)もう全く違う国になってしまった」とのわたしの発言の前に、「日本では歴史修正主義的な論調が目立つ」という一文があります。

 このブログの読者の皆様には、わたしがすでに30年近くも前からに日本の歴史修正主義を指摘して厳しく批判してきたことはご存知であると思いますが、ただ現在の若い人々はその実物が知られておらず、現在のようなデジタル空間では知られていないとの指摘もあり、それはその通りです。そこで一つの典型的な例として、ここに日本の歴史修正主義者でドイツの歴史を改竄するデマゴーグの代表格であった西尾幹二氏を批判した『世界』1997年7月号での論考を掲載しましょう。

 というのも 執筆は20年前のことになるとはいえ、当時はまだ若かった安倍晋三議員は、右派の国会議員の集まりに同氏を講師に招いたりして「勉強」した一人ですから、ここにも安倍流の歴史修正主義の「教養」の一つがあるからです。また→「ナチに改憲の手口を学べ」と公言して、世界中から批判を受けた麻生太郎大臣も同氏の歴史観から学んでいるとしても不思議ではありません。

 現在の日本の腐りきった歴史の改竄と修正主義が政府中枢に入り込み始めた時期はこの頃です。

 かなり長く、硬い文章なのでデジタル世代には読むにはかなり忍耐がいるかもしれません。クリックしてパノラマで拡大してください。








この論考は何しろ21年前のものですから、二つだけ解説しておきます。
一つは、当時、西尾氏はこの批判に反論できなかったために、論争で決着がついたものと日本の知識人の論壇では評価されました。

 そしてもう一つは、この論考執筆の翌年の1998年秋に成立したドイツのシュレダー政権で、冷戦時代には不可能であった東欧諸国のナチスによる強制労働の被害者への補償を実現すべく、2000年8月に連邦議会での圧倒的多数で「記憶・責任・未来」基金設立立法を決議し、2007年までに、166万人の被害者へ約7000億円の補償金を支払を履行しました。これは現在の貨幣価値では1兆円ほどになるでしょう。
 これで西尾流のドイツ批判がいかに歴史を歪め改竄したものであるかが、現実に証明されました。
そして、上記朝日新聞の記事にあるワイツゼッカー元大統領の「ドイツの近隣諸国の友好関係」の背景の一つの大きな理由がこれなのです。

 にもかかわらず、氏のデマは日本の極右論壇などで広げられ、現在でもネットで散見されます。真面目な市民の皆さん、くれぐれも嘘を信じ込まないように注意してください。



















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