また、このデモにまるで併せたかのようなタイミングで本日、メルケル首相は9日からの7年ぶりの日本への公式訪問を前に、ビデオと政府のプレスリリースを発表し、日本政府との会談では「恐ろしいフクシマ事故で、ドイツは脱原発と再生可能エネルギー政策を大幅に進める決断をし促進している。安全こそが最高の戒律であるからだ。日本もそうすべきであり、また出来る。」との主旨の明確なメッセージを公表しました。
というわけで、 今回はデモの写真報告とメルケル首相のメッセージをまとめてお伝えします。そこでは、一番肝心な翻訳と通訳のキーワードを指摘しておきます。
まずは、脱原発デモの写真報告です。
今年の参加人数は昨年より減って約700人ほどとなりましたが、相変わらず元気でバラエティーに富んだ、若者たちの多い元気なデモでした。日独のメディアも多く取材していましたので、報道も多くなると思います。とりあえず写真だけを掲載し、解説は後ほど付けます。
取り急ぎ、末尾にメルケル首相のメッセージを原文から翻訳しておきます。この解説も後ほど付けます。
(写真はクリックしてパノラマで拡大してご覧ください)
さて一夜明けて、写真に簡単な説明をつけます。
またデモは共同通信とNHKが相次いで丁寧に報道しました。こちらをご覧ください。→共同通信。→NHK。
また、カザグルマデモの→Facebookではドイツ人の参加者の写真がたくさん投稿されています。素晴らしい写真も多く見られます。
この日は、少し風は強くカザグルマデモにはもってこいの好天。気温は14度ほどで春の兆しが。
和服を羽織る準備ですね。
この横断幕「フクシマを忘れるな」は、日本からのプレゼントだそうです。東京の経産省前のテント村にも同じものがあり、今日はデモの先頭に立ちます。
風があり、少女のシャボン玉にも絶好です。
この旗は、ベルリンのシェーネベルク区の市民団体のものですが、歴戦を物語ってボロボロになっています。
反核医師の会の旗もあります。
ベルリンの公共第一テレビのカメラ。さっそく夕方のニュースで伝えています。
何やら、今年はお祭り気分が出そうです。
中心を担うのは、このような日本人の若者たち。コスチュームの準備だけでも大変でしょうね。
ドイツ人若者も創意工夫。
他方ではちゃんとした和服姿も。
ありゃ、日本からの 辛淑玉 (シン・スゴ)さんも参加して、ベルリンの韓国人たちと話しています。
そろそろ、デモ出発前の挨拶とパーホーマンスが始まります。
この緑のクマさんは、アベノミクスをもじったゼロノミクマさんといい、わざわざ日本から出張して、これから各地のデモに参加するようです。ベルリンのクマの親戚ですね。
街宣車もカラフル。
ここから、会津磐梯山の踊りが始まりました。
共催のドイツ「自然友の会」の代表の挨拶と司会で始まります。
まずは、日本人グループ団体の挨拶と、全ての核被害者への黙祷ふが行われました。
この日、わたしのブログの予告を読み、会津出身のご夫婦がわざわざフランクフルトから、参加されていました。ところが「会津から参加者がいないのでがっかりした」と、きつくお叱りを受けました。筆足らずで申し訳ありませんでした。
パリ広場を埋める集会となっています。
クマさんによる踊りのステップの指導がありました。
警備のお巡りさん。右のお巡りさんはなんとちょんまげ姿です。おしゃれですね。
さて、恒例のパーホーマンス。
いよいよ出発です。
おなじみ、ドラム隊も参加。
なにやら、脱原発カーニバルの行列のようです。ひょっとしたらベルリンの新名物になるかもしれません。
幼い子供たちもそれぞれ参加。ドイツの反原発運動はすでに三世代目がこのように育っています。
ウンターデンリンデンを行進。
「フクシマは警告する。世界中で脱原発を!」一旦事故が起これば国境を越え地球規模で放射能汚染となります。この日の挨拶でも「世界から原発が消えるまで闘おう」との挨拶がありました。
核技術とは:「同じコインの裏表。原発と核兵器」
ここで右折してフリードリッヒ通へ
ここは東京の銀座の4丁目交差点にあたり、ちょうど地下鉄の駅の工事が終わりつつある場所です。駅への仮説の入り口がちょうど良い舞台になっているので、
ここでもひと踊り。
昔、天皇皇后も泊まったホテルの前で、一休み。
再稼働反対!などのシュプレヒコールが繰り返されます。
さて行進を再開。
「脱原発をもっと早くやれ!」
ここから右折してラオプチガー通りへ
北朝鮮大使館の元本館が右側に見えます。
このあたりから道路は広くなります。
ポツダム広場が視野に入ってきました。
連邦参議院の建物前を通過。
今回参加したワンちゃんはこの子だけであったようです。
運悪くデモの出会った200番のバスは、デモ隊が通過するまで停車して待ちます。おなじみの風景。
ようやく、終結点のポツダム広場に到着。
会津磐梯山の曲につられて、思わぬ飛び入りが現れました。
たちまち、ポロネーゼのような行進が始まりました。会津磐梯山の新バージョンですね。
ライプチッヒ大学の日本学科学生たちのようです。教授たちも参加していました。
ここで最後の集会。
シン・スゴさんも飛び入りであいさつ。話しは一流です。テーマは別ですが、→彼女との日本語でのトークが10日にありますので、ご参加下さい。
子供たちも3時間のデモを良く頑張りました。ご苦労様でした。
さてデモの写真報告は以上ですが、
続いて、本日訪日を前にしたメルケル首相のメッセージの首相府のビデオは→こちらから見ることができます。
その内容をまとめた→プレスリリースはこちらが原文の全文です。
そこから、脱原発と再生エネルギー促進に関する部分のみを取り急ぎ翻訳しておきます。
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Mit Blick auf den Reaktorunfall in
Fukushima vor vier Jahren sagt Merkel, Deutschland habe damals sehr mitgefühlt
und "weitreichende Entscheidungen getroffen, nämlich schneller aus der
Kernenergie auszusteigen". Deutschland setze jetzt sehr auf erneuerbare
Energien, und sie glaube, "Japan sollte auch diesen Weg gehen – und geht
ihn ja auch". Deutschland und Japan, so die Bundeskanzlerin, sollten
diesen Weg auch ein Stück zusammen gehen. Sie werde deshalb bei ihrem Japan-Besuch
auch über den Ausbau erneuerbarer Energien sprechen. Vielleicht seien die Wege
etwas unterschiedlich, was die Kernenergie anbelange. "Aber ich",
sagt Merkel, "kann nur aus der Erfahrung von Fukushima sagen: Sicherheit
ist das oberste Gebot."
4年前のフクシマ原発事故に関してメルケルは、ドイツは当時大変に震撼した、そして「大きな決断をしました。すなわちより早急に原子力エネルギーから撤退するということです」と述べた。現在ドイツは非常に再生可能エネルギーを促進している。そして彼女は「日本もまたこの道を歩むべきだし、それは可能だ」と信じている。だから連邦首相として、ドイツと日本は、この道の一部を共に歩むべきであると考える。したがって彼女の日本訪問でも、再生可能エネルギーの促進について話すことになる。核エネルギーに関しては、道程があるいは少し異なるかもしれない。「しかし私は」とメルケルは続けて「フクシマの経験から言えることはただひとつ:安全が最高の戒律であるということです」と述べた。
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なお、 ここには触れられていませんが、メルケル首相は、ビデオでは、上記の前に、「日独の長い自然科学の交流と協力に関しては、これからも老化する両国の生活水準を維持するためにも必要である」と強調したうえで、「自然科学だけでなく、これからは少し哲学も加えるべきだ」と、意味深長なことを付言していることを指摘しておきます。
なお、NHKは、これについて本日→夜のニュースで以下のように伝えていますので、全文を引用させていただきます。
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独首相 日本にエネルギー政策転換促す考え
ドイツのメルケル首相は日本を訪問するのを前に、ドイツが進めている脱原発政策について、「日本も同じ道を進むべきだ」と述べ、エネルギー政策の転換を呼びかける考えを示しました。
メルケル首相が9日から7年ぶりに日本を訪問するのを前に、ドイツ政府は7日、メルケル首相と福島出身でベルリンで化学の研究をしている日本人研究者との対話の映像をインターネット上で公開しました。この中で、メルケル首相は4年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「ドイツは、このぞっとするような原発事故を連帯感を持って受け止め、より早く原子力から撤退する道を選んだ」と述べました。
そのうえで、「ドイツは今、再生可能エネルギーへの転換を進めている。日本もドイツと協力して同じ道を進むべきだ」と述べ、今回の日本訪問中、エネルギー政策の転換を呼びかけていく考えを示しました。
メ ルケル首相は日本は島国で資源にも乏しいとして、ドイツと完全に同じような政策を進めるのは難しいという認識も示しましたが、「福島の事故の経験から言え ることは、安全性が最も重要だということだ」と述べ、ドイツとしては今後も脱原発政策を着実に進める姿勢を強調しました。
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ひとつだけ解説しておきます。ここででは首相の言葉が「安全性が最も重要だということだ」と紹介されてており、報道としては間違いではないのですが、厳密には「安全が最高の戒律であるということです」と翻訳すべきです。
というのも、das Gebotという言葉は、宗教的倫理的な戒律のことです。これはユダヤ・キリスト教ではモーゼの十戒のはじめの「汝殺すなかれ」、仏教では五戒のはじめの不殺生戒にと意味を同じくする言葉です。
「哲学も」と述べるメルケル首相の思考を理解する上で、極めて重要な点ですのでこれも付言しておきます。
NHKも含め、安倍政権との危機認識の差を示唆する言葉ではないでしょうか?
悲しいことに、この点を理解したうえでの報道が日本からあることを、わたしは期待していません。
これを認識しなければ、メルケル首相の訪日では、日本政府はもちろん、9日の→朝日新聞主催の講演でも、理解の本質的なすれ違いが起きます。これをわたしは危惧するものです。
すなわちキーワードであるこの言葉ひとつを、どのように理解し、また翻訳、通訳するかが、メルケル首相の訪日の意義を大きく左右することになることは間違いないのです。
「安全が最高の戒律」というのは、「殺すな」ということなのです。
首相府のビデオがYou Tubeに投稿されていますので追加します。
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