2013年10月30日水曜日

193:アメリカ秘密特殊諜報部門は中国の四都市に、日本と韓国にはなし。ドイツ連邦議会で盗聴問題が議題に:参考人スノーデン氏も視野に

 一昨日、→192回の報告で、シュピーゲル誌が暴いた→SCS・アメリカ合衆国秘密特殊諜報部門のスパイ鳥の巣が、東京や北京にもあるに違いないと書きましたが、その推定は正しくはありませんでした。
昨日28日、同誌が電子版の動画ニュースマガジンで→「スパイされた政府地域」と題して80カ所の地名を全て明らかにした極秘文書を明らかにしましたので、東アジアに関してのみ報告します。

Spiegel TV
ここから、東アジアの地名だけを拡大しますと次のようです。

 このトップシークレットの資料は2010年8月作成のものとされていますが、東アジアでの諜報拠点は、バンコク、北京、成都、チェンマイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、プノンペン、ラングーン、上海、台北の12都市となっています。

 すなわち、中国には4都市、台北を入れると5都市となります。
 興味あることに、他方で、東京とソウルという親米軍事同盟諸国で、首都に大きな米軍基地のある都市のアメリカ公館にはこの秘密諜報組織の拠点は設置されていないことになります。
両都市には、NSAとCIAの拠点と人員は第二次世界大戦後、あるいは朝鮮戦争後から多くいるので必要ないとされているのかもしれません。

なにしろこの組織は、1970年代後半からあるとされ、アメリカ政府がは今に至るまで、その存在を絶対に認めない極秘部門ですので、これに関する情報は限られており、実態がほぼ不明のため、組織名の日本語訳もなく、その推定される活動内容からして、上記のように「アメリカ合衆国秘密特殊諜報部門」とするのが適切である考えます。

 わたしは、諜報機関については詳しくないので、専門家の知識にゆだねたいのですが、旧日本陸軍の中野学校出身者が侵略戦争の最前線で行った極秘活動の戦後アメリカ版のようなものであろうとも考えてよいのではないでしょうか。いずれにせよ、ここにリストアップされている都市は、アメリカのスパイの最前線であることは間違いありません。アメリカが、東アジアでは、中国を最大のターゲットとしていることの証拠となるものです。

 このリストにはいわゆる「Five Eyes・5人の眼」としてよく知られている"no spying pact"・非スパイ協定国のアングロサクソン系の首都名がないのは当然としても、そうではない東京やソウルが対象とされていないのは意味深長です。

さて、ドイツではもちろん戦後最悪のアメリカ政府との危機として受け止められています。
これは、本日のベルリンの新聞のひとこまマンガです。
Berliner Zeitung 29.Okt,2013 Heiko Sakurai
 タイトルは「首相と治安関係の大臣の新しい服」です。メルケル首相とポファラ官房長官およびフリードリッヒ内務大臣の三人は、先の6月にシュピーゲル誌が、アメリカによるドイツ市民の膨大な情報収集を報じて問題の発端になった際に、首相はこのふたりをワシントンへ派遣して、その後3人で「アメリカ政府はドイツでは違法行為は行っていないと確約を得たから問題は終わった」と公言して幕引きをした張本人たちです。
 それが、よりによって首相の携帯電話が10年以上も盗聴された事実が明らかになり、アメリカから馬鹿にされて大恥をかかされることになってしまいいました。それをメルヘン「はだかの王様」にかけて揶揄したものです。首相が「ありがとうよ、ありがとうよ、ありがとうよ、バラク」と内心で激怒していることが実にうまく表現されています。
 いずれまた、書こうと思いますが、メルケル首相を怒らしたら、アメリカ大統領といえども、ひどい目に遭うことも大いにあります。いずれにしてもこの問題は、予期できない波紋を広げるでしょう。

 さて、もうひとつは昨日の南ドイツ新聞のひとこまマンガと論説の写真です。
Süddeutsche Zeitung 28,Okt.2013

 「Changs」と題されたオバマ氏を皮肉ったマンガには、解説は不要でしょう。ただ、オバマ氏はアメリカでよりはもちろん、世界の中ではドイツで最も人気のあったアメリカ大統領ですから、失望もまた大きいことだけは指摘しておきます。
ブッシュ政権下のネオコンの世界戦略がオバマ政権で変わるのではないかとの期待が、この問題で裏切られたという意見が、一挙に大きくなりつつあります。

 その下の「ありがとう、エドワード・スノーデン」とした論説は、同紙のプランテル政治部長のもので、要旨は、ドイツの主権が侵害されている事実を暴いてくれたスノーデン氏に、ドイツは感謝しなければならない。彼はこれから始まる検察の捜査に決定的証拠を提供もできるし、また議会での調査委員会の参考人として証言をしてもらうこともできる。したがって、彼を滞在中のロシアからドイツ政府の保護の下にドイツへ招き、亡命権も保障できれば、それ自体が侵害されたドイツの主権の回復の一歩となりえるのだ、というものです。

 このような主張は日々高まっており、昨日は総選挙後に招集されたばかりの新連邦衆議院の本会議が、11月18日に盗聴問題を議題として取り上げることが決定されています。
また、本日はフリードリッヒ内相が、議会の専門委員会での参考人としてスノーデン氏が考えられると、初めて述べたとの報道もあります。

 なを、本日の日本のメディアでは、その多くが「日本は傍受対象に含まれない」との見出しになっていますが、間違いではありませんが、次には「それは何故であるのか?」を追求するべきなのです。
 日本がアメリカの事実上の精神にいたるまでの植民地であるとからではないでしょうか? ドイツはそうではないから、首相の携帯を傍受するのであると思います。
この実情を隠蔽しようとする手はずが、日本の国会での秘密保護法案なのです。


 


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