2013年9月8日日曜日

185:日本は80年前の東京オリンピク返上の歴史をふりかえろう。日中戦争とフクシマの処理で破綻。

 先ほどブエノスアイレスの国際オリンピック委員会の総会で、2020年の夏期オリンピック開催が東京に決定しました。
 3兆円の経済効果があり、アベノミクスの4本目の矢と見越されているようです。この決定に注文をつけるつもりはありませんが、あまり喜ばない方がよいでしょう。

 1964年の東京オリンピックは、60年ローマ、72年ミュンヘンと、かつての日独伊枢軸国、すなわち第二次世界大戦での敗戦国の国際社会への復帰を象徴するものでした。

 しかし今回は事情が違います。メディアも含め、舞い上がるまえに、歴史を振り返りましょう。

若い方は、ほとんど知らないでしょうが、日本はかつて1940年に決まっていた東京オリンピック開催を返上した歴史があります。これがまぼろしのオリンピックの公式ポスターです。2020年から80年前に予定され、中止となった幻のオリンピックです。

なぜ、そのようなことになったかは、→ヴィキでは以下のように解説されています。


1938昭和13年)に入ると日中戦争の長期化が予想されるようになったために、鉄鋼を中心とした戦略資材の逼迫を理由に、軍部が「木材か石材を使え」などと無理な注文を出した上に、杉山元陸軍大臣が議会においてオリンピック中止を進言するなど、反対の態度を鮮明にした。さらに河野が再び開催中止を求める質問を行うなど、開催に否定的な空気が国内で広まった。それまでオリンピック開催を盛り上げる一翼を担ってきた読売新聞や東京朝日新聞などでは、オリンピック関係の記事がこの年から打って変わって縮小している。
さらに、軍部からの圧力を受けた近衛文麿首相は、623に行われた閣議で戦争遂行以外の資材の使用を制限する需要計画を決定し、この中にオリンピックの中止が明記されていたことから、事実上オリンピックの開催中止が内定した。


すなわち、日本が始めていた日中戦争の推進のために開催を返上したのです。



さらに、80年まえの東京オリンピックはこの絵はがきに見られるように、朝鮮半島も併合された日本での開催であることが内外に誇示されていました。本当は当時の傀儡国家であった、いわゆる「満州国」もこの図面に入れたかったのでしょうが、公式には独立国としていたために、そうはしなかったのです。

 当時、日本の侵略で、朝鮮と中国でどれだけ多くの人々が生命と財産を奪われ苦しんでいたのか、また現在、フクシマ事故でどれだけ多くの人々が、同様に棄民同様になっている現状をここで考えてみるべきです。

  先ほどプレゼンテーションで安倍首相は、「フクシマの放射能汚染は東京には全く影響はない。空気も水も食物も安全だ」と、誰からも信じられていない真っ赤な嘘を堂々と述べて、それがあたかも効果があったように喜んでいると報道されていますが、そんなに甘いものではありません。

 フクシマの放射能環境汚染が、これからさらに拡大し深刻になることは防げません。1940年の開催返上に続き、80年後の2020年には、原発事故の処理のためにオリンピックを返上しなければならなくなることを、わたしは危惧します。

 日本が当時、日中戦争で追い込まれ破綻したように、今回はフクシマと原発政策の処理で追い込まれて破綻するおそれは 、極めて現実的なものです。
80年前に、もし中国侵略を抑制して近隣諸国の人々を苦しめず、オリンピックを成功させていたならば、世界の歴史は 全く違ったものになったでしょう。今回は逆に、オリンピックではなくフクシマの処理にまず国の全力を注ぐべきでしょう。地球環境の汚染と、自国民の苦難を無視してお祭りにふけるような国の将来は暗いものです。

下の写真は、日本が選ばれて直ぐに、ブエノスアイレスからドイツの通信社・dpaが 配信したものです。

 いずれもフクシマの危険性をみじんも感じず、徹底的に無視して済ませると思い込んでいる面々の「勝利」の記念写真です。かれらがフクシマと、原子力政策の処理で破綻することは確実です。

 かつては、軍事侵略で中国を押さえ込めると思い込んでいた過信と誤算、今回は原発事故を押さえ込めると思い込んでいる過信と誤算。歴史に学ばない無知無責任な日本の姿のプレゼンテーションの記念写真となるでしょう。その意味で歴史的な光景です。
    この人たちは、DiscoverではなくNever Tomorrowと主張しているのです。

 日本は、オリンピクに膨大な資金をつぎ込むのではなく、まずはフクシマの処理に邁進すべきなのです。地に落ちた世界の信用はそうして回復されるのです。歴史に学びましょう。



原発推進派の東京オリンピック。dpa




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