さてこれが、本日のフランクフルターアルゲマイネ紙日曜版のトップに掲載された写真です。この一枚の紙切れが、世界のトップニュースを引き起こす原因となったのです。
(写真はクリックすれば拡大してパノラマで見れます)
Frankfurter Allgemeine Sonntag 27.Okt.2013 |
簡単にシュピーゲル誌による経過の概要を述べます。この資料に関して、同誌の編集長が政府報道官のザイベルト氏(彼もドイツ公共第二テレビ・ZDFの元ジャーナリストです)に、「政府でも真偽を鑑定するように」と手渡したのが、10月17日の木曜日のことでした。
ドイツ政府報道官ザイベルト氏 写真:梶村 |
本日、10月27日の日曜日には、その経過と結果についてプリントメディア本体で報じられましたので報告します。
今日段階では、ドイツ政界で、アメリカ政府がスパイ活動を停止する協定に応じない場合は、目下話合われているEUとアメリカ間の自由貿易交渉を凍結すべきだとの意見も次第に大きくなってきており、この問題は単にドイツとアメリカの2国間の問題を越えた欧米間の深刻な問題となりつつあります。
10月27日プリントメディアの一部 |
Der Spiegel Nr.44.2013 |
これにならって、わたしも写真で判りやすく示しましょう。
アメリカ大使館最上階のSCSの巣の位置,写真:Reuters |
それにしても、スペシャルコレクションサービスとはよく言ったものです! まさに「特選サービス」ですね。
この報道で特に重要なのは、極秘とされた2010年のNSAの資料によれば 、SCSは世界中の80都市のアメリカ公館に拠点があり、その内、ヨーロッパでは19カ所。パリ、ローマ、マドリッド、プラハなど。ドイツだけはベルリンとフランクフルトの2都市があり特別であるとあることです。
次にその都市名を示したトップシークレット資料の写真ですが、大半の都市名が編集部によって読めないように消されています。しかし、東京、北京、ソウルなどは間違いなくこのリストにあることが確認されるのは時間の問題です。東アジアにはおよそ12都市にあるようです、
シュピーゲル誌より |
すなわち、アメリカ大使館屋上にはSCSという名のスパイ鳥が巣をかけているのです。
これが初めて暴かれた極秘スパイの巣として、ベルリン観光の新名所になることは間違いありません。 なにしろ世界初ですからね。ベルリンっ子は昔から世界初が大好きで、しかも、今年はついに観光客数がローマを抜いて、パリ、ロンドンに継ぐ第3位になったと市長も喜んでいますので、間もなくベルリン観光案内に写真も出るでしょう。
ちなみに本日の大衆紙ビルトによれば、情報筋の話しとして、現在ベルリンにはどうやら18羽のこの機関のスパイ鳥がいるとのことですが、真偽は確認できません。
さて、被害に遭ったメルケル首相の主な仕事場である連邦首相府をわたしの写真で示しておきましょう。
ドイツ連邦首相府の正面 写真:梶村 |
連邦政府閣議室 写真:梶村 |
特にここはアメリカ大使館から800メートルで間が公園であるために「盗聴には持ってこいの環境だ 」と、元の連邦情報局の長官も本日の報道で述べています。
ですから、ここで執務したふたりの首相が、盗聴特選サービスの餌食になったことはまず間違いないでしょう。
昨日報告しましたように、これまでに判明していることは、2002年からメルケル氏の野党時代の携帯も盗聴リストに掲載されていることから、このような盗聴が本格的になったのは、シュレダー政権が当時、アメリカのイラク戦争に正面から反対し、ブッシュ大統領を怒らせ、独米関係が冷たくなった時期が始まりではないのかというのが、現時点での大方の推定です。
また当時の外相、シュタインマイヤー氏は、9・11以降ではないのかとも述べています。すなわち、貿易センタービルを攻撃したパイロットたちが中東諸国からのドイツへ留学生であったため、以降アメリカの諜報機関がベルリンでの活動を強化したとも考えられるという説です。
さてシュピーゲル誌はスパイの巣の内部も暴いています。同じくNSAのトップシークレットの資料によれば、室内にはコードネームが「アインシュタイン」である超高性能のアンテナと、「カスタネット」と呼ばれるオペレーター機器がそこにはあるとのことです。
シュピーゲル誌より |
ヒントですが、シュピーゲル誌によれば、SCSはどこの拠点でも同じような技術と方法でスパイ活動をやっているとのことです。ということは、アメリカの外交官が出入りする建物の屋上に、窓がなく怪しげな特殊な建造物があれば、そこにアインシュタインをカスタネットで操るスパイ鳥の巣がある可能性が大きいということです。
日本のジャーナリズムにも願わくば、ドイツ以下の欧米に負けないように努力して東京のスパイ鳥の巣を暴いてもらいたいものです。それができないようでは民主主義社会の報道機関としての資格はまるでありません。
言うまでもなく政治家だけでなく、市民の誰もが盗聴の対象となることは民主主義の基盤を崩す、立派な犯罪であるからです。
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