2012年10月18日木曜日

120:白ネコでも黒ネコでも脱原発法支持は良いネコ/小沢一郎氏と河合弘之弁護士のドイツ視察・その1


 読者のみなさま、このところ色々と多忙でブログの更新が、前回の日本での脱原発基本法案国会提出の項で中断していましたが、久しぶりにベルリンからの最近の情報をお伝えします。とりあえずは、ドイツの現状を簡単に紹介します。

その1:ドイツの最近の再生エネルギー促進状況

メルケル首相「新しい地平です」9月17日ベルリン
メルケル首相の連邦記者会議での恒例の夏休み明け会見は、今年はギリシャの金融危機などへの対応で大幅に遅れ、ようやく9月17日になって行われました。
内外の記者数百人が押し掛ける会見では首相は、ほぼ二時間にわたり、ありとあらゆる質問にとみに貫禄を示して丁々発止と答えたものです。最近では彼女の辣腕ぶりに「メルキャリズム」(シュピーゲル誌)というマキャベリズムへの掛詞まで現れています。

 さてこの日、 最近のドイツでの再生エネルギー過剰促進に関する質問がありました。昨年のフクシマ事故を契機にした22年までの脱原発政策によって、ドイツでは再生エネルギー発電部門の成長に拍車がかかり、特に太陽光発電が連邦環境省の予測を大幅に越えて急成長。太陽光の強い夏の正午前後には電力の供給過剰で自由取引市場で値崩れが起きて、火力発電などが競争できない市況にまでなる事態が出現しています。それに加えて再生エネルギー発電への促進法での固定買い取り価格の付加金が増大し、一般家庭の電気料金が大幅に上昇しつつあります。

 これについて首相は「この状況は予想できませんでした。私たちが行っている脱原発による持続可能社会への過程は全く新しい地平です。解決の方法を検討しなければなりません」と答えています。首相はここでは触れませんでしたが、事実この夏前には、環境省関係で実績のある専門化などを中心に、独立した民間シンクタンクが新設され、再生エネルギー促進のマーケットデザインの研究が始められています。

 家庭用電気料金の負担に関しては、一世帯あたりの電気料金が最近では年間で6000円 ほど、値上がりすると予測されており、国民が脱原発実現のためには「一月に一杯のカプチーノ代金ぐらいの値上がりを受け入れる用意がある」(南ドイツ新聞)との、これまでの意見もそろそろ限界に近づきつつあるようです。

そこで最近、アルトマイヤー環境相は、再生エネルギー促進法を大幅に修正し、付加金を下げる提案を表明しました。これに対して野党は猛反発。先週の金曜日には緑の党の首脳が記者会見しました。
緑の党首脳記者会見10月12日
緑の党のトリティン共同党首 (元環境相)は、アルトマイヤー大臣の考えは間違いであるとし、再生エネルギー促進のための付加金を削るのではなく、電力の大量消費するアルミ産業なのどへの低料金特例に便乗している部門の特権を見直すべきであると主張しました。大手銀行のコンピューターセンター、大手の屠殺場など食肉産業などは、一般家庭と同様の料金を負担すべきであるとの意見です。

ドイツでは来年9月の総選挙まで一年を切り、そろそろ政党間の論戦も選挙がらみになりつつあり、この問題も選挙戦のテーマの一つとなりそうです。

ホェーン議員「日本の皆さんへよろしく」
この会見にはこの夏、日本の緑の党結成に駆けつけた緑の党連邦議会会派代表のホェーン議員と、彼女の後継者であるウエストファーレン州の環境相女性も地方の再生エネルギー促進の現状を説明するために参加していました。

 会見後に、日本訪問へのお礼を述べますと「日本では新たに政党を結成するのは大変困難であることもわかりましたが、日本市民の反原発の意思は固いことも体験したので嬉しくおもっています。私たちも継続的にその思いに寄り添うことが大切です。日本の皆さんへよろしくと伝えて下さい」との返事がありました。訪問中にかつて彼女を訪問した弁護士のどなたかと合って会談したとものべていました。日本は非常に近くなったようです。

さてこのようなドイツに、一昨日から「国民の生活が第一」の小沢一郎党首以下国会議員団が視察に訪問しています。昨日10月17日にはアルトマイヤー環境大臣と会談し、冒頭の写真の太陽光発電施設を視察して→日本でも早速多く報道されています。

 実は、この視察には脱原発基本法を練り上げて国会提案し、継続審議に持ち込んだ河合弘之弁護士も同行しており、久しぶりにベルリンでお会いしました。
河合弁護士については→以前紹介しましたのでお読み下さい。

 この訪問について一般メディアが報道しない視点から続けて明日報告します。



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