2012年2月20日月曜日

72:食品新規制値決定での「やらせメール問題」で内部被曝研究会が抗議文を発表


 第68回で放射能汚染に関する新規制値に法案に対して内部被曝研究会が厚生労働省に意見と提言をした内容についてお知らせしました。

 ところが、こともあろうに懲りない原子力村の村民である放射線審議会の会長らが、複数の関係学会に対し「新規制値案は厳しすぎるので、反対意見を厚生労働省のパブコメに投稿するよう依頼する「やらせ要請メール」が発覚しました。
 これについては、昨日あたり全国各紙で報道されており、一昨日、共同通信も→トッピクスで報道しています。類似のメールはかなり広範に送られたようで実は、わたしのところにも同様のメールのリークがありました。
内容は、要するに「原発事故による食品の放射能汚染による内部被曝規制値は厳しくする必要はない」との、馬鹿の一つ覚えの繰り返しです。原発中毒の御用学者たちの「じゅげむじゅげむの呪い」ではないかとさえおもえます。
 
 ただし問題が深刻であるのは、発信元が重要な政府機関の公職にある人々であることです。この原発利益集団の「世論工作のやらせ体質」は、無責任な事故と放射能汚染をもたらした人的原因のひとつであることが、ようやく世論でも認識されてきつつあります。いまだにこのような民主主義を蝕む体質が温存されたままでは、深刻な汚染問題の解決の障害となるだけです。
  
 そこで本日、市民と科学者の内部被曝研究会が、以下のようなこの問題に対する抗議文を公表し、関連省庁である文科省と厚労省に対し、真相の解明と責任の所在を明らかにすべしと申し入れていますので、全文を記録しておきます。

研究会はこの中でも食品規制値はドイツ並みにするべきであると、繰り返し主張しています。

以下引用です;

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  食品新規制値決定プロセスで現れたやらせに抗議する


2012219 市民と科学者内部被曝問題研究会 代表 沢田昭


  食品に含まれる放射性セシウムの新基準値(案)について、厚生労働省は意見公募(2012年1月6日~2月4日)を実施しました。この公募には、約 1700件の意見が寄せられ、もっと厳しくすべきだとの意見が約1400件(82%)(厳しすぎるとの意見は約40件)と圧倒的に多かったと報道されてい ます。文部科学省の放射線審議会は、この案の妥当性について諮問を受け、1月16日これを了承する答申をまとめ公表しました。
   
 ところが、放射線審議会前会長(東北大学名誉教授)中村尚司氏および現会長の丹羽太貫氏が、複数の関係学会会長に「やらせ」の意見提出を各学会会員に要請 する文書を出していたことが判明したのです。それは、「(厳しすぎる基準は)安全性の評価と社会的、経済的影響に関する検討がなされておらず紛糾してい る」などとして、関係学会関係者を通じて学会下部組織の会員らに要請文をメールで送ったという趣旨の報道(2012216日、17日付全国各紙、共同 通信)です。
   
 放射線審議会が、答申に別紙を付して「答申が厳しすぎる」旨を表明する見通しだったとしても、両氏が反対意見の提出を関係学会に要請することは絶対に許されず、放射線審議会による明らかな「やらせ」と言わざるをえません。
  これは、公職の「放射性審議会長」に在った者あるいは現にある者が世論偽装工作に関与したことを明白に示すものであり、民主主義国家にあるまじき行為です から、見過ごすことは断じてできません。私たちは強く抗議し、厚生労働省と文部科学省に対して、国民の前に真相を明らかにし、事実の経緯と責任の所在を はっきりさせることを要求します。
   
 この要請文に対して、小宮山洋子厚生労働相は、17日の記者会見で「あってはならないこと。(反対意見の動員は)パブコメの本来の趣旨に反する」と批判し たそうですが、当然の反応でしょう。しかし、平野博文文部科学相は「専門家としての行動。審議会の議論に影響を与えていれば問題だが、そういう事実はな い」と話した(17日、共同通信)とあり、看過できません。
   
 いわゆる「原子力村」の強引な民主主義に敵対する行為が引き続いて生じること自体が、日本の原子力・放射線管理を巡る「安全神話」の危険な醜態を如実に示 しています。8カ月前の20116月、玄海原子力発電所23号機の運転再開に向け、経済産業省が主催し生放送された「佐賀県民向け説明会」実施にあた り、九州電力が関係会社の社員らに、運転再開を支持する文言の電子メールを投稿するよう指示していた「世論偽装工作事件」(サクラ、やらせ)は、未だ記憶 に残っています。
  「原子力村」の一翼を担う科学者集団としての学会が、かかる反民主主義的、非科学的行動を続けているのです。
  
 そもそも、元会長らが要請理由の第一に挙げる「安全性の評価と社会・経済的影響に関する検討がなされていない」ということは、率直に言えば、放 射線の管理を「人間の命と健康を守るために行う」のではなく、「東電と政府の事故に対する責任を如何に少なくするかの検討をしないといけない」という意味 であり、ICRP(国際放射線防護委員会)の“ALARA勧告などに謳われている、「原子力村」だけがメリットを得る手前勝手な功利主義そのものです。
 
 「電力を得るという公共のメリットのためには犠牲が出てもかまわない」という考えは、憲法の基本精神である「個の尊厳」と、25条の「すべて国民 は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければな らない」と規定されている精神に、真っ向から反する憲法違反の考え方です。
 
 犠牲の強要をシステムとして住民に押し付けなければやっていけない原発は、もともと存続させる根拠が無かったのです。住民への犠牲の強要は、事故 が起これば途方もなく大きくなります。事故で放出される放射能で汚染されることは、住民には何のメリットもありません。功利主義の前提条件にも反します。 東京電力は全存在を掛けて、住民の被曝を防護しなければなりません。
 
 ドイツでは、一般住民の年間被曝限度は0.3ミリシーベルト(mS/年)です。日本でも、内部被曝も考慮して住民の被曝を防護するためには、ド イツ並みの被曝限度にしなければ、住民の健康を守ることは不可能です。新基準値は少なくともドイツ並みの5ベクレル(Bq/kg)程度にするべきです。放 射線感受性の高い乳幼児向けの乳幼児食品が50ベクレルとはもってのほかで、1ベクレルにするべきです。
 
 今後、汚染は長期にわたって続きます。チェルノブイリ周辺の住民は、貧しいがゆえに放射能汚染食品を食べなければなりませんでした。一方、日本で は、政府の強制で汚染食品を食べさせられようとしています。私たち住民は、真剣に被曝ゼロを目指すことを求めなければ、自らの命を守れません。
 
 少なくとも百年先を見通しながら、農業・畜産業・林業・水産業を続け、伝統文化を守り発展させ、食糧自給率100%を目指すためには、家族ぐるみ、集落ぐるみ、村・町ぐるみの集団疎開が、緊急の必要条件です。
 この長期的プロジェクトは、中央政府が大きな基金を準備して財政的に支える仕組みをつくらない限り、不可能です。被曝し続けている子どもたちのい のちをまもるために、多額の税金も投入するべきです。自然環境を守りながら安全な食糧を生産するために、多額の税金も投入するべきです。これこそが、真の 意味での国の防衛ではないでしょうか。
 
 私たちは、子どものいのちを守る立場から、このような原発推進者側の「やらせ」行動を厳しく糾弾し、以下の2点を強く要求します。

 1)厚生労働省と文部科学省に対して、遅くとも今年3月中旬までに、国民の前に「やらせ」の真相を明らかにし、事実の経緯と責任の所在をはっきりさせること。

 2)圧倒的多数の市民の意見・希望に応えて、さらに厳しい食の基準値を定めること。
                                        
                            以上

2 件のコメント:

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  2. 手書きボードでアピール 
     [ 原発から43Km 死ぬまでやるよ!乳搾り]
    http://2logch.livedoor.biz/image/20111220001903_355_1.jpg
    画像:生産者と乳牛、飼育舎の前で。

    

やらせ、隠蔽、疑わしき情報に翻弄される時間のなかで、
    
決意は皮肉か、抗議か、自暴自棄か。
    
誇りというには痛ましい現実がある。
    
真実から遠い危うい決意をせざるをえないか。

    

政官と企業が事実を隠し誤摩化す。
    
メディアを使い情報操作する。
    
その結果がこれではないか。

    同じ「核」災害の条件のなかで己のあり方を選択するにしても、
    生産される限り流通し続けることには変わりはない。
    「絆」を利用した「やらせ」に加担してしまうことも悲しい出来事だ。

    

一連の「やらせ」は根が深い。
    
金肥で巨大化した「利権のルーツ」のひげ根だ。

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